第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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シンポジウム

[SY1] ルーティンケアの変遷

Sat. Jun 11, 2022 10:00 AM - 11:30 AM 第8会場 (総合展示場 E展示場)

座長:植村 桜(大阪市立総合医療センター)
   安藤 有子(関西医科大学附属病院)
演者:露木 菜緒(Critical Care Research Institute(CCRI))
   小池 真理子(順天堂大学医学部附属順天堂医院)
   平良 沙紀(福岡大学病院)
   増田 博紀(社会福祉法人恩賜財団 済生会熊本病院)

10:25 AM - 10:50 AM

[SY1-02] 体位変換の変遷〜腹臥位におけるケア〜

○小池 真理子1 (1. 順天堂大学医学部附属順天堂医院)

Keywords:体位変換、腹臥位、皮膚障害

重症肺炎に対する腹臥位療法の効果については以前から有効性が示されている。COVI D-19流行後、人工呼吸器管理が必要となった重症呼吸不全の患者に対して、腹臥位療法が多くの施設で実施されるようになり、腹臥位への反転をサポートする器具が複数のメーカーより発売されている。腹臥位療法を実施するに当たっては、患者の状態から呼吸・循環動態の変化、チューブトラブル、皮膚障害など様々なリスクが伴う。また、実施の方法については安全管理上から、実際の患者へ実施する前に練習が必要である。当院でもCOVID-19流行の第1波より重症肺炎患者への腹臥位療法を実施している。長時間の腹臥位療法ではチューブトラブル、皮膚障害の回避のため患者の体型やチューブ位置に合わせたポジショニングが重要となる。当院ではCOVID-19流行の第4波より腹臥位反転及び体位維持をサポートする器具(以下、器具A)を導入し、腹臥位療法を実施した。器具Aはチューブ類への干渉が少なく体位維持ができる、肥満患者の腹臥位反転時にスタッフの身体的負担を軽減できるといったメリットがあるが、器具Aを使用し腹臥位療法を数回実施すると皮膚障害が問題となった。皮膚障害はポジショニング枕使用時にも問題となったが、器具Aでは支持基底面積が少ないため患者の身体と器具接触面の体圧が高くなり腹臥位中に30分〜1時間毎に除圧を実施していても皮膚障害を防ぐことができなかった。また、器具を使用する上で関係するスタッフでの回練習が複数回必要となるが、当院ではチームの医師が週単位で入れ替わることなどから練習ができず、限られたスタッフしか器具Aの使用ができなかった。さらに、器具自体が重く持ち上げにスタッフの身体的負担が生じること、器具が大きく保管の場所が必要となるなどの課題があり、器具A導入前に使用していたポジショニング枕を使用した方法へと戻った。しかし、導入した器具Aは決して安価なものではないため、使用する患者の選定や使用中の看護ケアについて検討し器具を活用していく必要がある。