第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

Presentation information

シンポジウム

[SY2] 特定行為関連看護師のタスクシフティング・タスクシェアリング -働き方はどう変わったか-

Sat. Jun 11, 2022 11:30 AM - 12:50 PM 第9会場 (総合展示場 F展示場)

座長:溝口 裕美(一般財団法人平成紫川会 小倉記念病院)
   塚原 大輔(株式会社キュアメド)
演者:西村 基記(国立病院機構 北海道医療センター)
   畑 貴美子(横須賀市立うわまち病院)
   後小路 隆(社会医療法人陽明会 小波瀬病院)

12:00 PM - 12:25 PM

[SY2-02] 特定ケア看護師の5年間の働き方の変遷とこれからのミッション
−集中治療室から地域支援に向けて−

○畑 貴美子1 (1. 横須賀市立うわまち病院)

Keywords:特定行為研修、タスクシェア、働き方改革

私は、集中ケア認定看護師としてICUやRST(Respiration Support Team)、RRS(Rapid Response System)、院内外の看護師指導など6年間活動後、特定行為研修を受講した。特定行為研修を受講する動機は「患者を待たせることなくスムーズに対応したい」と漠然と考えていた。
私が研修を受けた特定行為研修機関は、所属する施設の経営母体である地域医療振興協会が運営するものである。地域医療振興協会は、地域医療、僻地医療を支えることを理念としている。そのため2015年10月に「いつでも、どこでも、誰にでも」をモットーに活動できる看護師育成のため、特定行為研修を開始した。本研修は、特定行為21区分38行為を1年間かけて修了し、その後1年間自施設や僻地の診療所で臨床研修を行ない、実践能力を身につけている。その特定行為研修を修了した看護師を「特定ケア看護師」と呼称している。特定ケア看護師に求められている能力は、特定行為だけにこだわらず、その背景に必要なフィジカルアセスメント、臨床推論などを駆使して、患者に「ケア」と「キュア」の視点で関わり、地域医療に貢献できることである。
このような背景で特定行為研修を修了し、特定ケア看護師として5年間活動してきた。活動開始当初は、院内初の特定ケア看護師であったため周囲の理解も少なく、組織横断的な活動は困難であった。そのため、まずはICU内で集中治療医と一緒にICU回診や多職種カンファレンスに参加し、直接指示のもと活動していた。徐々にRSTやRRSの活動も通じて、院内への周知や後輩育成に繋がり、現在は組織横断的に活動することができている。これまでの活動期間中に、関連施設の医師が少ない病院から派遣要請があり、特定ケア看護師として他施設での活動も経験してきた。特定ケア看護師として活動する自分自身のビジョンは、当初ICUで活動し、急変予防や急変対応に特定行為研修で得た知識を生かしたいと考えていた。しかし、ICUでは医師がそばにいる環境であり、手順書を用いた特定行為を実践することはなく、直接指示で実施する環境である。医師が不足している施設で活動する経験を経て、地域で活動する特定ケア看護師の働き方も考えることができた。特定ケア看護師が必要とされる地域で活動するためには、十分な指導を受け、実践力を身につけることも重要である。また一人だけでは地域に出て活動することは、継続的な支援としては不十分である。現在は特定行為研修の指導にも関わり、後輩育成を急務として活動している。
本シンポジウムでは、私が経験してきた5年間の活動から得た学びと今後の課題を報告、検討していきたい。