第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

Presentation information

シンポジウム

[SY7] クリティカルケア領域の人材育成

Sun. Jun 12, 2022 9:00 AM - 10:30 AM 第10会場 (総合展示場 G展示場)

座長:山本 小奈実(山口大学大学院医学系研究科)
   西村 祐枝(岡山市立市民病院)
演者:宮岡 里衣(岡山大学病院 看護教育センター)
   上澤 弘美(総合病院 土浦協同病院 看護部)
   里田 佳代子(一般財団法人平成紫川会 小倉記念病院)
   矢野 博史(日本赤十字広島看護大学)

9:25 AM - 9:50 AM

[SY7-02] 医療情勢の変化に応じた看護教育の構築にむけての取り組み

○上澤 弘美1 (1. 総合病院 土浦協同病院 看護部)

Keywords:臨床判断モデル、看護方式、教育

EICUでは様々な疾患の重症患者が入室してくるため、看護師はそれぞれの患者の特徴を捉えケアを提供するといった思考と実践が求められる。この実践は新人看護師にも求められる内容である。そのため、2018年度よりTannerの臨床判断モデルを導入し、シャドーイングや発話を中心に新人看護師教育を開始した。また、Lasaterの臨床判断ルーブリック日本語版を取り入れ、看護師の臨床判断の発達を評価していくとともに、臨床判断ルーブリック日本語版での評価を、日本集中治療医学会が公表している「集中治療に携わる看護師のクリニカルラダー」を自部署の特徴に合せて修正したEICUラダーとリンクさせ個々の評価を数値化(可視化)し教育を行ってきた。
しかし、新型コロナウイルス感染症(以下;COVID-19)が瞬く間に拡がりパンデミックを引き起こし、COVID-19陽性重症患者の対応のためクリティカルケア領域の看護師の増員が急務となった。そのため一般病棟の看護師3~5名が2~3か月クールの交代体制でEICUに応援にくることになった。応援に来る看護師のレディネスは様々であるが、末梢動脈ラインや人工呼吸器管理をしている患者を看たことがないといった状況が共通してみられていた。
応援に来ている看護師の教育では、クリティカルケア看護学会から出ている「ICU 経験のない看護師のための重症患者管理クイックガイド」、「COVID-19 重症患者実践ガイド」などを活用し、EICUスタッフと患者を一緒に看てもらいながら、新人看護師の教育と同様にシャドーイングや思考発話による支援を行っていった。しかし、応援に来ている看護師の多くは人工呼吸器を装着している重症患者を1人で看ることに不安があり、看護師によっては応援に来ている期間1人で患者を看ることができない状況もあった。同時にEICU看護師もそのような状況に対して、自身たちの指導方法や関わり方が悪いのではないかと悩むようになり、EICU看護師、応援に来ている看護師ともに負担を与えていることが伺われた。
そのため、EICUでは従来プライマリーナーシングの看護方式をとりながら、看護を提供していたが、看護方式をパートナーシップ・ナーシング・システム(以下;PNS)に変更し教育を行った。具体的には、応援に来ている看護師がEICU看護師とパートナーをくみ、発問を行い、EICU看護師が様々な考え方を応援に来ている看護師に伝え、応援に来ている看護師にも自由に発言をしてもらいながら臨床判断モデルを活用していった。2~3か月クールの交代体制という短期間で応援にくる看護師に対して、EICUの看護師の思考と実践を知ることは、今後病棟に戻ったあともEICUでの経験を活かせることができると考えている。
今回のシンポジウムでは、COVID-19の影響による医療情勢の変化に対応するために、EICUへ応援にくる看護師の教育に苦慮したこと、看護方式を変更することに対する看護師の反応などについて、内容を抜粋して情報提供していきたい。