第21回日本救急看護学会学術集会

Presentation information

教育講演

[EL10] 目は口ほどに物を言う⁉意識障害患者のフィジカルアセスメントのコツ

Sat. Oct 5, 2019 1:30 PM - 2:30 PM 第3会場 (2F 中会議室201)

座長:清村 紀子(大分大学医学部)

[EL10] 目は口ほどに物を言う!? 意識障害患者のフィジカルアセスメントのコツ

久松 正樹 (社会医療法人 医仁会 中村記念南病院)

患者さんが「痛くない」と表現します。しかし、その言葉だけを聞いて「患者さんは本当に痛くない」と考える看護師はいないと思います。なぜなら看護師は言葉だけではなく、患者さんの訴える表情や声のトーンにも注目しているからです。

言語的コミュニケーションは1割、非言語的コミュニケーションは9割というのは「メラビアンの法則」として有名です。私達は本来、言語だけではなく表情や声といった非言語的コミュニケーションを読み取って、相手を理解しているはずです。それにも関わらず、言葉を発することができない患者さんを目の前にした時、私達は突然苦手意識を持ってしまいます。特に中枢神経障害を有する場合、頭蓋内で起きている現象は打診や聴診の技術を使っても読み解く事は困難であり、それらが更に苦手意識を強くしてしまいます。意識障害患者の変化を早期に察するには、高度な観察力が必要です。その基本にあるのは、日々の観察であり、いつもと違う様子を見抜く力です。しかし、救急領域ではその「いつもと違う」の「いつも」がありません。そんな時、患者の「眼」に注目してみてはどうでしょうか?実際の臨床では眼球運動や眼振、瞳孔所見は良く観察しています。しかし、これら「眼」の動きをしっかりと理解して観察しているでしょうか?

私達が臨床で感じる「何か変」といった感覚。これを「ここが変」と根拠を持って説明するには病態や解剖生理、薬の作用といった専門的な知識を持って統合的に判断する能力が必要になります。特に救急領域では迅速な判断と対応が求められます。その点では眼の動きをアセスメントできるようになると、次への予測が可能となるかもしれません。

ここでは脳神経疾患領域に長く携わってきた看護師としての知識や経験を基に、「眼の動き」に注目しながら、異常を早期に発見するための意識障害患者の身体診察方法のコツについて考え、訴えにならない意識障害患者の声を聴いてみます。