第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

教育講演

[EL2] 災害時におけるDPAT活動について

2019年10月4日(金) 14:10 〜 15:10 第2会場 (2F コンベンションホールB)

座長:菅原 美樹(札幌市立大学)

[EL2] 災害時におけるDPAT活動について

五明 佐也香 (獨協医科大学埼玉医療センター)

DPATとは、自然災害や航空機・列車事故、犯罪事件などの集団災害の後、被災地域に入り、災害発生時に多く生じる精神科医療に始まり、フェーズが災害中長期に至る場合にニーズが増えてくる精神保健活動の、医療と保健の両方の支援を行う専門的なチームのことである。平成23年の東日本大震災における精神保健医療活動支援を通じて、指揮命令系統の改善、被災精神科医療機関への支援の強化等の課題が明らかとなり、平成24年度に「災害派遣精神医療チームDPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)」の仕組みが創設され、平成25年よりその養成が開始された。

災害が発生した際、被災地域の精神保健医療機能が一時的に低下するため、DMAT(Disaster Medical Assistance Team)を始めとした身体を主に診る災害医療チームとの連携が非常に大切となる。医療チームがDMATから、JMAT(Japan Medical Association Team)等の他の医療チーム、そして復興を遂げた被災域医療機関へと、変化していく中、それぞれの医療チームと連携をとる必要性がある。また、災害ストレス等により新たに精神的問題が生じる等、精神保健医療への需要が拡大していくため、精神科医療だけではなく、保健所や精神科保健医療に特化した精神保健福祉センター等の保健医療との連携を行う役割がある。その際には、被災地域の精神保健医療ニーズの把握、他の保健医療体制との連携、各種関係機関等とのマネージメントが必要となり、つまりは、専門性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の両方の支援が必要となるわけである。

 平成25年に設立されてから、DPATは様々な災害時に出動を行ってきたが、活動の必要性が最も重要視されたのが平成28年の熊本地震であった。熊本地震ではDMATや精神科病院協会等の協力の元、7精神科医療機関、計595人の被災精神科病院入院患者の搬送を行うことができた。平成29年には那須雪崩事故や7月には九州北部豪雨があった。平成30年には7月豪雨があり、3県にチームを派遣した。さらには北海道胆振東部地震もあり、毎年のように起きる災害で活動を続けている。

 今回のセッションでは、身体の救急医療に携わる看護師の皆様方に、災害が生じた場合、どのような指揮命令系統でDPATが活動し、災害保健医療体制の中で、他医療・保健チームとどのようにして連携をとっていくべきか、地域精神科医療機関に精神医療をつないでいくのかといったフェーズの流れをご理解いただくとともに、様々なご意見をいただきたいと考えている。