[EL6] 頻発する災害を経験した我が国の対策の現状 -防ぎえる災害死回避のためのこれまでの取り組み-
わが国の災害医療体制は、阪神・淡路大震災で多くの「防ぎえる災害死」を経験し、その教訓を基に、1996年5月の厚生省健康政策局長通知によって、災害拠点病院の整備、広域災害・救急医療情報システム(Emergency Medical Information System:EMIS)の整備が進められ、さらに平成15年から、広域医療搬送計画が策定され、平成16年災害派遣医療チーム(DMAT)の整備が行われてきた。2011年3月11日に発生した東日本大震災においては、DMATが想定していなかった多くの「新たな防ぎえる災害死」に直面した。避難所または自宅に避難した方々のうち、過酷な環境から健康状態が急激に悪化し、命を落とす「災害関連死」が多発した。その教訓を生かして、その後の熊本地震、西日本豪雨災害では、避難生活者への早期からの保健医療が提供された。
災害時の「防ぎえる死」を如何に最小限にするか、現在の取組について述べたい。
災害時の「防ぎえる死」を如何に最小限にするか、現在の取組について述べたい。