第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(口演)

トリアージ

[O1] O1群 トリアージ①

Fri. Oct 4, 2019 10:20 AM - 11:20 AM 第4会場 (3F 中会議室301)

座長:奈良 史恵(関越病院)

[O1-2] JTASを用いたトリアージにおけるレベル3症例の検証

清宮 由枝, 古川 麻子 (公立長生病院)

〈目的〉A病院は180床、火、金、土の夜間帯に二次救急を担っている。2013年より緊急度支援システム(以下JTAS)を用いて日中、夜間に救急外来を受診する全ての患者にトリアージを行っている。来院時の看護記録を残すことと教育を目的として救急搬送された患者にも独歩来院した患者と同じ手順でトリアージ判定を行っている。判定時にはJTASカテゴリーと判断理由を記録することになっている。今回、レベル3と判定された症例に着目しトリアージの評価とバイタルサインの測定率を検証して、問題点と今後の課題を明らかにする。
〈方法〉2018年1月から2018年12月までの期間中、緊急度レベル3と判定された患者を対象に、トリアージ記録を後ろ向きに調査した。トリアージの評価は、患者の転帰とJTAS2017ガイドブックの緊急度判定の分類に基づいて行った。
〈倫理的配慮〉A病院倫理委員会の承認を得た。
〈結果〉対象患者数は693名(その中で入院した患者は141名、転院した患者は25名)年齢は61.11±22.15歳。性別は男性366名、女性327名。来院方法は救急車373名、独歩299名。レベル2の判定が妥当であると考えられる症例は43名(6.2%)、判断した理由とその割合は、敗血症が疑われる発熱(体温38.0℃以上でSIRS診断基準2項目以上に該当する)22名(51%) 痛みの強い腹痛(NRS 8-10/10)11名(26%) 息切れ(中等度の呼吸障害)6名(14%) その他4名(9%)であった。693名中、血圧・脈拍・体温・経皮的動脈血酸素飽和度の測定率はそれぞれ約97%、呼吸数の測定率は45.02%、痛みが主訴の患者249名のペインスケールの測定率は76.30%であった。
〈考察〉A病院救急外来トリアージでは、レベル3症例においては、93.8%は適正なトリアージ判定であったと考える。トリアージの訓練を受けた看護師であっても、トリアージを実施した症例の10%をアンダートリアージすることが明らかなっている。A病院救急外来では、概ね適正の範囲内でトリアージ判定ができていると考える。
レベル3症例のトリアージ記録を分析した結果
①呼吸数の測定率が45.02%であり、他のバイタルサインに比べ測定率が低い。
②SIRS診断基準2項目以上に該当していてもトリアージ判定に反映されていない。
③痛みが訴えの患者に対し、ペインスケールの測定率は76.30%であった。
④ペインスケールの値で該当する適正なレベルに判定されていない。
文献では『多くの症例が急変の数時間前にすでに何らかのバイタルサインの異常を呈していることが報告されている。中でも頻呼吸の認められる頻度が高い。』『疼痛の評価が緊急度判定に重要な役割を持つ。』と述べられている。呼吸数とペインスケールの測定は急変の早期発見や緊急度を判定するためには不可欠であるが、測定率が低いことにより適正な緊急度判定がされていなかったと考える。また、呼吸数を測定しないことがSIRS診断基準を使いこなせていない一因になっているのではないかと推察する。患者の状態を時系列で観察し異常を早期発見するために、来院時の呼吸数とペインスケールを測定し記録に残すことは重要である。測定した値をSIRS診断基準やトリアージ判定の適正なレベルに照らし合わせ、該当するレベルを判断することが求められる。
〈結語〉呼吸数とペインスケールを測定することの重要性を理解しトリアージ時に測定すること、トリアージ判定を適正に行うために緊急度分類を習熟することが必要である。