[O1-6] 救急医療室における予診に対する現状分析
Ⅰ はじめに
現在、当院救急医療室では患者来院時に記入される問診票を基に看護師が予診を実施している。予診の情報を医師へ伝達し、診療を行っている。その中で看護師経験5年未満や、救急医療室勤務歴が浅い看護師より「予診を実施する事に不安がある」との発言が聞かれた。また、医師からは「予診内容は重要な情報でありカルテ記載しているのでしっかり情報をとってきてほしい」、「診察に際しては事前情報の先入観を持たずに望んでいる」などの意見があった。
予診の有用性に対する先行研究はされているが、予診の際の不安に対する先行研究は少ない。そこで有効的な予診を行うことを目的として、看護師の予診に対する不安の内容と、医師に対して、予診情報は当院での救急診療に役立っているのか必要性を明らかにする。
Ⅱ 研究方法
1 研究期間:平成29年5月~平成30年8月
2 研究対象:各診療科で救急外来を担当勤務する医師40名、救急外来看護師18名
3 研究方法:研究対象者に同意書と自作の質問紙を配布。データについては単純集計を行う。
Ⅲ 倫理的配慮
当院の医学研究・医療行為倫理委員会の承認を得たのち、研究の趣旨を文面で説明し、匿名性の保証、データは本研究の目的以外では用いないことを説明し同意を得た。利益相反関係は無い。
Ⅳ 結果
医師への調査については回収率100%であった。「予診の情報は役立っていますか」との質問に対し「役立っている」との返答が97%であった。しかし、自由記載欄に「情報に不足がある」との意見があった。
看護師への調査においては、回収率は100%であった。「予診に不安がありますか」の質問に対して69%が「不安である」と回答している。不安の原因としては「知識不足」が83%、「経験が少ない」が83%であった。自由記載では「自分の判断が間違っていないか不安」などの意見があった。救急経験5年未満の看護師は、ほぼ全ての診療科や症状に対し不安を感じているとの回答であった。救急経験5年目以上の看護師においては産科領域58%や小児科領域58%と、救急で経験することの少ない診療科に対する不安があるとの結果であった。
Ⅴ 考察
医師からは予診情報が診療に役立っていると言っていることから、現在看護師が実施している予診は、診療に有用な情報になっていると考えられる。しかし、情報不足という指摘もあり、看護師はより多くの情報収集項目を想起する必要があると考えられる。
看護師からの結果より、知識不足や経験不足から、予診に対する不安があると言える。特に救急経験の浅い看護師はほぼ全ての診療科・症状に不安を感じ、経験の長い者でも普段加療に当たる事の少ない産科領域、小児科領域などの診療科に不安を感じている。経験不足の不安に対し、振り返りの機会を通じる事で看護師の不安軽減につながると考えられ、有効的な予診を行うことが期待できる。また、有効な予診を積み重ねることで自信に繋がり、不安なく患者・家族から情報収集を行うことが出来ると考えられる。
Ⅵ 結論
1 当院救急医療において予診情報は必要性がある。
2 看護師は知識や経験不足から予診を行う事に不安を感じている。
3 ケース学習や事例検討などを行うことで不安を軽減できると考えられる。
現在、当院救急医療室では患者来院時に記入される問診票を基に看護師が予診を実施している。予診の情報を医師へ伝達し、診療を行っている。その中で看護師経験5年未満や、救急医療室勤務歴が浅い看護師より「予診を実施する事に不安がある」との発言が聞かれた。また、医師からは「予診内容は重要な情報でありカルテ記載しているのでしっかり情報をとってきてほしい」、「診察に際しては事前情報の先入観を持たずに望んでいる」などの意見があった。
予診の有用性に対する先行研究はされているが、予診の際の不安に対する先行研究は少ない。そこで有効的な予診を行うことを目的として、看護師の予診に対する不安の内容と、医師に対して、予診情報は当院での救急診療に役立っているのか必要性を明らかにする。
Ⅱ 研究方法
1 研究期間:平成29年5月~平成30年8月
2 研究対象:各診療科で救急外来を担当勤務する医師40名、救急外来看護師18名
3 研究方法:研究対象者に同意書と自作の質問紙を配布。データについては単純集計を行う。
Ⅲ 倫理的配慮
当院の医学研究・医療行為倫理委員会の承認を得たのち、研究の趣旨を文面で説明し、匿名性の保証、データは本研究の目的以外では用いないことを説明し同意を得た。利益相反関係は無い。
Ⅳ 結果
医師への調査については回収率100%であった。「予診の情報は役立っていますか」との質問に対し「役立っている」との返答が97%であった。しかし、自由記載欄に「情報に不足がある」との意見があった。
看護師への調査においては、回収率は100%であった。「予診に不安がありますか」の質問に対して69%が「不安である」と回答している。不安の原因としては「知識不足」が83%、「経験が少ない」が83%であった。自由記載では「自分の判断が間違っていないか不安」などの意見があった。救急経験5年未満の看護師は、ほぼ全ての診療科や症状に対し不安を感じているとの回答であった。救急経験5年目以上の看護師においては産科領域58%や小児科領域58%と、救急で経験することの少ない診療科に対する不安があるとの結果であった。
Ⅴ 考察
医師からは予診情報が診療に役立っていると言っていることから、現在看護師が実施している予診は、診療に有用な情報になっていると考えられる。しかし、情報不足という指摘もあり、看護師はより多くの情報収集項目を想起する必要があると考えられる。
看護師からの結果より、知識不足や経験不足から、予診に対する不安があると言える。特に救急経験の浅い看護師はほぼ全ての診療科・症状に不安を感じ、経験の長い者でも普段加療に当たる事の少ない産科領域、小児科領域などの診療科に不安を感じている。経験不足の不安に対し、振り返りの機会を通じる事で看護師の不安軽減につながると考えられ、有効的な予診を行うことが期待できる。また、有効な予診を積み重ねることで自信に繋がり、不安なく患者・家族から情報収集を行うことが出来ると考えられる。
Ⅵ 結論
1 当院救急医療において予診情報は必要性がある。
2 看護師は知識や経験不足から予診を行う事に不安を感じている。
3 ケース学習や事例検討などを行うことで不安を軽減できると考えられる。