[O10-5] 避難所運営ゲーム(HUG)を体験した学生の学びと防災に対する意識の変化
【目的】
A大学B学部では1,2年次に「地域を体験する」科目群の学外演習科目において「防災まちづくり」を開講している。これらの学習により,学生が被災者のことを思いやる姿勢や,困難な問題に対応しようと取り組む姿勢を育むこと,また,将来的に地域の防災リーダーとなり活躍し貢献できる人材を育成することを期待している。本研究では,文系学部の2年次生が避難所運営ゲーム(Hinanzyo Unei Game,以下「HUG」)を体験したことによる学びと防災に対する意識の変化について明らかにし,今後の授業展開の一助とすることを目的とする。
【研究方法】
1)調査時期:2019年4月
2)研究対象:本研究に同意を得られたA大学B学部2年次生
3)データ収集方法:災害時の避難所や被災者の状況を理解し,災害時要配慮者の配置や避難所で起こる出来事に対処するグループ学習,HUG を約1時間実施した。その後,「ゲームを通して学んだこと」,「防災に対する意識の変化」についての無記名の任意のレポートを求めた。
4)分析方法:研究同意の得られたレポートを,内容の類似性に基づきグループ化し内容分析を行った。確証性,信用性の確保のため,研究者間で討議を行った後,災害看護を専門領域とする教員にスーパーバイズを求めた。
【倫理的配慮】
学生には,研究の目的とレポートの研究使用について,口頭と文書で説明し同意を得た。レポートはプライバシーに配慮し無記名で提出してもらった。レポートの提出をもって研究の同意とみなした。なお,研究対象学生は研究者所属の学部でなく,研究者らは学生の評価及び単位認定には無関係である。また,本研究は当該科目責任者の教員と所属の長の了承を得て実施した。
【結果】
13名からレポートの提出があった。レポートの総抽出語は2,319語,80文であった。これらの文章を意味内容の類似性に基づきグループ化し内容分析を行った。HUGを体験したことによる学びの記述は,47のコード,サブカテゴリーは12抽出され,共通する意味ごとに分類したところ,<多様なニードの気づき>,<運営方法>,<運営の視点・考え方>,<避難所での二次的健康被害>,<避難者の立場>,<日頃の心構え>の6つのカテゴリーが抽出された。HUG体験後の防災に関する意識の変化に関しては,30コード,サブカテゴリーは9抽出され,共通する意味ごとに分類したところ,<災害への当事者意識>,<避難所のあり方としての意識の変化>,<能動的・主体的態度の獲得>,<今後の普段の生活のありよう>の4つのカテゴリーが抽出され,防災における意識の変化がみられた。<>内はカテゴリーを示す。
【考察】
HUGのカードには様々な避難者が設定されていることから,改めて避難者の多様な属性や個別性について認識し,<多様なニードの気づき>を得ることができた。しかしながら,本研究の対象者は看護学部ではないため,医療や身体的健康問題,成長発達段階における弱者への視点が乏しく,対人職種としての知識や思考が不足しており,それらに裏付けされた支援や配慮の提案までには至っていない記述が多かった。避難所には,非日常的生活空間におけるストレスなど<避難所での二次的健康被害>が予測される。そこで,看護職をはじめ医療職がそれぞれの避難者のニーズに対応できるようコーディネートするとともに,全体を俯瞰して地域の防災リーダーとして活躍できるよう,教授内容の更なる検討の必要性が示唆された。
A大学B学部では1,2年次に「地域を体験する」科目群の学外演習科目において「防災まちづくり」を開講している。これらの学習により,学生が被災者のことを思いやる姿勢や,困難な問題に対応しようと取り組む姿勢を育むこと,また,将来的に地域の防災リーダーとなり活躍し貢献できる人材を育成することを期待している。本研究では,文系学部の2年次生が避難所運営ゲーム(Hinanzyo Unei Game,以下「HUG」)を体験したことによる学びと防災に対する意識の変化について明らかにし,今後の授業展開の一助とすることを目的とする。
【研究方法】
1)調査時期:2019年4月
2)研究対象:本研究に同意を得られたA大学B学部2年次生
3)データ収集方法:災害時の避難所や被災者の状況を理解し,災害時要配慮者の配置や避難所で起こる出来事に対処するグループ学習,HUG を約1時間実施した。その後,「ゲームを通して学んだこと」,「防災に対する意識の変化」についての無記名の任意のレポートを求めた。
4)分析方法:研究同意の得られたレポートを,内容の類似性に基づきグループ化し内容分析を行った。確証性,信用性の確保のため,研究者間で討議を行った後,災害看護を専門領域とする教員にスーパーバイズを求めた。
【倫理的配慮】
学生には,研究の目的とレポートの研究使用について,口頭と文書で説明し同意を得た。レポートはプライバシーに配慮し無記名で提出してもらった。レポートの提出をもって研究の同意とみなした。なお,研究対象学生は研究者所属の学部でなく,研究者らは学生の評価及び単位認定には無関係である。また,本研究は当該科目責任者の教員と所属の長の了承を得て実施した。
【結果】
13名からレポートの提出があった。レポートの総抽出語は2,319語,80文であった。これらの文章を意味内容の類似性に基づきグループ化し内容分析を行った。HUGを体験したことによる学びの記述は,47のコード,サブカテゴリーは12抽出され,共通する意味ごとに分類したところ,<多様なニードの気づき>,<運営方法>,<運営の視点・考え方>,<避難所での二次的健康被害>,<避難者の立場>,<日頃の心構え>の6つのカテゴリーが抽出された。HUG体験後の防災に関する意識の変化に関しては,30コード,サブカテゴリーは9抽出され,共通する意味ごとに分類したところ,<災害への当事者意識>,<避難所のあり方としての意識の変化>,<能動的・主体的態度の獲得>,<今後の普段の生活のありよう>の4つのカテゴリーが抽出され,防災における意識の変化がみられた。<>内はカテゴリーを示す。
【考察】
HUGのカードには様々な避難者が設定されていることから,改めて避難者の多様な属性や個別性について認識し,<多様なニードの気づき>を得ることができた。しかしながら,本研究の対象者は看護学部ではないため,医療や身体的健康問題,成長発達段階における弱者への視点が乏しく,対人職種としての知識や思考が不足しており,それらに裏付けされた支援や配慮の提案までには至っていない記述が多かった。避難所には,非日常的生活空間におけるストレスなど<避難所での二次的健康被害>が予測される。そこで,看護職をはじめ医療職がそれぞれの避難者のニーズに対応できるようコーディネートするとともに,全体を俯瞰して地域の防災リーダーとして活躍できるよう,教授内容の更なる検討の必要性が示唆された。