第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

重症患者看護

[O11] O11群 重症患者看護①

2019年10月4日(金) 10:30 〜 11:10 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:戸部 理絵(信州大学医学部附属病院 高度救命救急センター)

[O11-4] 褥瘡発生予防に使用した3種類の貼付材の比較検討について

岡上 慎 (社会医療法人大雄会 総合大雄会病院)

【目的】

集中治療領域は、循環動態の悪化や低栄養状態、自己での体動が難しいなどの理由から褥瘡が発生し易い環境にある。海外では予防的に貼付材を使用することで褥瘡発生が減少することが報告されており、医療費の圧縮にも繋がっている。

今回、褥瘡発生予防として3種類の貼付材を使用し、その効果を検討した。

【方法】

1.A病院ICUに入院中で、循環動態・栄養状態・意識レベル・アパッチⅡスコア・ブレーデンスケールをもとに選定した患者へ貼付材を使用。また基準を満たしていてもすでに1度以上の褥瘡が発生している患者は研究対象外とした。また、体位変換等の看護ケアは全ての患者に同じ条件で施行した。

2.ココロールとデュオアクティブCGF(以下デュオアクティブとす)とレストンの3群に分け、48時間ごとに皮膚状態を評価した。

3.3群間の褥瘡発生頻度の比較はl×m分割表検定で行い、p<0.05をもって有意差ありとした。

また、それぞれの2群間の比較をχ2検定、fisher直接確率法で行い、p<0.05をもって有意差ありとした。

4. 3種類の貼付材と何も貼付していない状態での仙骨部と踵部の仰臥位における圧力測定を行い評価した。

【倫理的配慮】

本研究は院内倫理委員会の承認を受け、後ろ向きにデータを収集する患者に対してはICU入口にオプトアウトを実施、前向きにデータを収集する患者に対しては同意書を取得した。

【結果】

ココロール群:16名23か所貼付、平均年齢65.5歳、カテコラミン使用11名、平均TP/Alb/Hb:6.6/3.2/17.6、平均アッパチⅡスコア:23.6、平均ブレーデンスケール:13.0、RASS平均-3.6、23か所中5か所褥瘡発生。

デュオアクティブ群:12名15か所貼付、平均年齢73.9歳、カテコラミン使用10名、平均TP/Alb/Hb:5.9/3.1/10.7、平均アッパチⅡスコア:27.1、平均ブレーデンスケール:13.5、RASS平均-2.8、15か所中1か所褥瘡発生。

レストン群:20名21か所貼付、平均年齢74.5歳、カテコラミン使用9名、平均TP/Alb/Hb:5.3/2.4/10.5、平均アッパチⅡスコア:23.1、平均ブレーデンスケール:15.1、RASS平均-3.1、21か所中9か所褥瘡発生。

3群間の褥瘡発生頻度の比較ではP=0.043で有意差あり。

それぞれの群間の比較について、デュオアクティブとレストンの2群間の比較ではP=0.024で有意差あり。

体圧は、貼付材なしの仙骨部の平均/踵部の平均が21.1/33.2、ココロール貼付の仙骨部/踵部が15.6/28.5、デュオアクティブ貼付の仙骨部/踵部が21.2/33.6、レストン貼付の仙骨部/踵部が19.1/30.6(mmHg)であった。

【考察】

今回3種類の貼付材を使用したが3群間での褥瘡発生頻度に有意差が認められ、その中でデュオアクティブとレストンの2群間において褥瘡発生頻度に有意差があった。体圧測定結果では、デュオアクティブが突出して低いわけではないため、その他の栄養状態や循環動態などの要因が関係している可能性も考えられる。

体圧測定においては、ココロールは3種類の貼付材で一番皮膚にかかる圧力が低い結果となり、圧の分散には適している可能性が示唆された。

【結論】

1.3群間での褥瘡発生頻度には有意差があり、その中でデュオアクティブとレストンにおいて有意差がみられた。

2.体圧測定においてはココロールが圧分散に適している可能性が示唆された。

3.褥瘡予防には圧の分散のみではなく、栄養状態や循環動態の管理も必要である。