第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

救急外来看護

[O12] O12群 救急外来看護①

2019年10月4日(金) 14:00 〜 15:00 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:望月 桂(杏林大学医学部付属病院)

[O12-5] 地域医療と共に変化する救急診療~救急外来の滞在時間調査から~

谷口 公太郎, 山本 理恵, 尾谷 早苗 (京丹後市立弥栄病院)

Ⅰ.はじめに
高齢化がピークを迎えるA地域では、滞在時間が延長している印象を強く受けていた。
そこで、高齢者の受診がどれくらい滞在時間を要するか具体的に知る必要があると考え調査した。
Ⅱ.研究目的
救急外来滞在時間を各年齢層別に調査する。滞在時間を延長させる要因を調査し、起こり得るデメリットを考察する。
Ⅲ.研究方法
対象:救急外来受診をする15歳以上の患者859件
調査期間:平成30年8月1日~10月31日
調査方法:救急外来で勤務する看護師12名で、独自に作成した研究調査表を用いた
Ⅳ.倫理的配慮
研究によって得られたすべての情報は、患者個人が特定されることなく、患者個人への不利益を被ることはない。また、データは本研究のみの使用を原則とした。院内の倫理委員会に準ずる会議の承認を得た。
Ⅴ.結果
サンプル数859件で有効768件(89.40%)、無効91件(10.59%)であった。各年齢層別の滞在時間を図に示した。滞在時間を各年齢層別に比較すると生産年齢と前期高齢者は、有意差を認めず(P<0.1)、後期高齢者と超高齢者は、有意差を認めた(P<0.05)。後期高齢者と超高齢者は生産年齢、前期高齢者と比較すると有意差を認めた(P<0.01)。検査数について、生産年齢と超高齢者は他の年齢層と比較すると、全ての年齢層に有意差を認めた(P<0.01)。前期高齢者と後期高齢者は有意差を認めなかった(P<n.s)。各年齢層の培養あり群となし群の滞在時間は、全ての年齢層で有意差を認めた(P<0.01)。培養あり群の滞在時間は、生産年齢と比較すると全ての年齢層に有意差を認めた(P<0.01~0.05)。それ以外の年齢層別に有意差は認めなかった(P<n.s)。培養なし群の滞在時間について、生産年齢・前期高齢者は、後期高齢者と超高齢者共に有意差を認めた(P<0.01)。生産年齢と前期高齢者、後期高齢者と超高齢者は共に有意差を認めなかった(P<n.s)。転帰について、入院となった割合は、生産年齢4%、前期高齢者17%、後期高齢者22%、超高齢者42%だった。入院した群の滞在時間は、全ての年齢層で有意差は認めなかった(P<0.1~n.s)。
Ⅵ.考察
滞在時間が有意に延長する年齢基準は75歳以上の後期高齢者以上で、要因には検査数が大きく関与していた。検査の中でも培養検査が滞在時間の延長要因になっていると言える。年齢が上がると入院率は増えるが、入院した患者の滞在時間に有意差はなかった。B病院の入院時標準検査が滞在時間延長に繋がっていると言える。
Ⅶ.おわりに
地域医療を支える救急外来では、検査数の増加から滞在時間が延長し、全患者へ影響する。滞在時間を低減させる取り組みが必要である。
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