[O12-6] 精神科を有しない二次救急病院での自殺企図患者を受け入れる看護師の実態
【目的】
平成27年の自殺死亡率の統計で、加賀市は21.0、全国では18.9、石川県では20.1と比較的高い水準であった。
A病院では二次救急で市の中核病院を担っており、救急車を断らないという基本方針のなか、自殺企図患者も受け入れている。平成28年度のA病院への救急全搬送者2,792件のうち、自殺企図患者の総数は35件、うち「未遂」は28件、「既遂」は7件であり、近隣の精神科を有する病院と比較しても大差はない。精神科を有さず自殺企図患者と接する機会の多い救急外来看護師や入院を受け入れる病棟看護師は、院内自殺などを目の当たりにし、暴れる患者の対応などを受け不安の声も聞かれた。第一弾の取り組みとして、自殺企図患者への思いや感情を明らかにし、今後の取り組みの一助とするために院内看護師全員を対象にアンケート調査をおこなった。
【方法】
1.データ収集期間 2018年8月~9月
2.研究対象 院内看護師242名(産休・育休、臨時職員は除く)
3.倫理的側面
当院の倫理委員会の審査を受け、承認を得た。研究協力の同意は、質問紙の返答をもって得られたものとした
4.データ収集方法
無記名自記式質問紙による自由記載を用いた質問紙を用いて、設問につき「あり」「なし」の選択肢の設問と、具体的な回答を得るための自由記載を設けた。
5.データ分析方法
得られた結果から、類似性のある言葉を分類し、分析過程で抽象度を上げてカテゴリー化した。結果に研究者の偏りが出ないように、研究者間で検討を重ね、カテゴリーの修正と精錬をおこなった。
【結果】
質問紙を配布した対象者242名のうち、210名より回答が得られた(回収率86.7%)
【自殺企図患者を受け入れた時の思い】の設問に対し、カテゴリーには「再企図に対する経験したことのない思い」があり、主なワードとして[自分の言動がきっかけになったらどうしよう][行動が気になり目が離せない]がみられた。「自殺企図に対する専門的(適切)な対処方法への思い」の主なワードは、[どのように対応すればいいのか][自分の対応が合っているのか]がみられた。「負の感情、怒り、抵抗感」の主なワードは[口に出してはいけない感情が生まれる][自己責任の問題]がみられた。「自殺企図患者への関心」の主なワードは、[背景に何があったのか][なぜ自殺したのか][残された家族は大丈夫か]と、4つのカテゴリーに分類された。【自殺企図患者との関りで困ったこと】では、「自殺企図に対する専門的(適切)な対処方法」があり、主なワードは[気持ちをどう受け取ればいいのか][処置に協力してもらえない][再企図を口にする]がみられ、「専門家がない病院での多岐にわたる連携の必要性」の主なワードは、[後遺症のある場合のサポート][PSWや専門医がいない]がみられ、「職場でのサポート不足」の主なワードは、[人手不足][知識不足]がみられ、「家族支援の対処方法」の主なワードは、[家族がきっかけで興奮した][家族が病院へ来ない][家族への対応時間が少ない]と4つのカテゴリーに分類された。【自殺企図患者と積極的に関るために必要なこと】では、「研究会、自己学習」、「自身の精神的コントロール」、「周知活動」と3つのカテゴリーに分類された。
【考察】
精神科を有さず、救急車を断らない二次救急病院において、自殺企図患者を受け入れる看護師は不安が強く、専門的対応の困難さを感じていることが分かった。それを受けて、事例検討会や研修にて対応可能な専門的知識の充足と、スタッフへのメンタルヘルスケアへの取り組みが必須課題であることが明らかとなった。
平成27年の自殺死亡率の統計で、加賀市は21.0、全国では18.9、石川県では20.1と比較的高い水準であった。
A病院では二次救急で市の中核病院を担っており、救急車を断らないという基本方針のなか、自殺企図患者も受け入れている。平成28年度のA病院への救急全搬送者2,792件のうち、自殺企図患者の総数は35件、うち「未遂」は28件、「既遂」は7件であり、近隣の精神科を有する病院と比較しても大差はない。精神科を有さず自殺企図患者と接する機会の多い救急外来看護師や入院を受け入れる病棟看護師は、院内自殺などを目の当たりにし、暴れる患者の対応などを受け不安の声も聞かれた。第一弾の取り組みとして、自殺企図患者への思いや感情を明らかにし、今後の取り組みの一助とするために院内看護師全員を対象にアンケート調査をおこなった。
【方法】
1.データ収集期間 2018年8月~9月
2.研究対象 院内看護師242名(産休・育休、臨時職員は除く)
3.倫理的側面
当院の倫理委員会の審査を受け、承認を得た。研究協力の同意は、質問紙の返答をもって得られたものとした
4.データ収集方法
無記名自記式質問紙による自由記載を用いた質問紙を用いて、設問につき「あり」「なし」の選択肢の設問と、具体的な回答を得るための自由記載を設けた。
5.データ分析方法
得られた結果から、類似性のある言葉を分類し、分析過程で抽象度を上げてカテゴリー化した。結果に研究者の偏りが出ないように、研究者間で検討を重ね、カテゴリーの修正と精錬をおこなった。
【結果】
質問紙を配布した対象者242名のうち、210名より回答が得られた(回収率86.7%)
【自殺企図患者を受け入れた時の思い】の設問に対し、カテゴリーには「再企図に対する経験したことのない思い」があり、主なワードとして[自分の言動がきっかけになったらどうしよう][行動が気になり目が離せない]がみられた。「自殺企図に対する専門的(適切)な対処方法への思い」の主なワードは、[どのように対応すればいいのか][自分の対応が合っているのか]がみられた。「負の感情、怒り、抵抗感」の主なワードは[口に出してはいけない感情が生まれる][自己責任の問題]がみられた。「自殺企図患者への関心」の主なワードは、[背景に何があったのか][なぜ自殺したのか][残された家族は大丈夫か]と、4つのカテゴリーに分類された。【自殺企図患者との関りで困ったこと】では、「自殺企図に対する専門的(適切)な対処方法」があり、主なワードは[気持ちをどう受け取ればいいのか][処置に協力してもらえない][再企図を口にする]がみられ、「専門家がない病院での多岐にわたる連携の必要性」の主なワードは、[後遺症のある場合のサポート][PSWや専門医がいない]がみられ、「職場でのサポート不足」の主なワードは、[人手不足][知識不足]がみられ、「家族支援の対処方法」の主なワードは、[家族がきっかけで興奮した][家族が病院へ来ない][家族への対応時間が少ない]と4つのカテゴリーに分類された。【自殺企図患者と積極的に関るために必要なこと】では、「研究会、自己学習」、「自身の精神的コントロール」、「周知活動」と3つのカテゴリーに分類された。
【考察】
精神科を有さず、救急車を断らない二次救急病院において、自殺企図患者を受け入れる看護師は不安が強く、専門的対応の困難さを感じていることが分かった。それを受けて、事例検討会や研修にて対応可能な専門的知識の充足と、スタッフへのメンタルヘルスケアへの取り組みが必須課題であることが明らかとなった。