第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(口演)

救急外来看護

[O13] O13群 救急外来看護②

Fri. Oct 4, 2019 3:10 PM - 4:00 PM 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:赤松 有紀子(社会福祉法人恩賜財団 大阪府済生会野江病院)

[O13-1] 当院における内因性ロード&ゴー症例の受け入れにあたっての現状と課題 ~救急看護師の質の向上を目指して~

名嘉眞 未来, 川地 ひかり (沖縄中部徳洲会病院救急センター)

【はじめに】

 救急センターにおいて入電(以下、ホットラインとする)情報は、傷病者の緊急度や重症度を予測して病態に応じた受け入れ準備をするためにも重要である。正確な情報が伝わらないと、傷病者の予後にも影響を及ぼすことになる。

 JPTEC、JNTEC、JATECの普及により、ロード&ゴー(※1 高エネルギー外傷患者や重症度が高く救命出来る可能性のある外傷患者を迅速に搬送すること)の概念は救急現場では広く定着しているが、内因性ロード&ゴー(※2生理学的徴候に異常があり、生命に危険が迫っている緊急度の高い患者を迅速に搬送すること)はロード&ゴーほど定着していないのが実状である。救急隊による現場での内因性ロード&ゴーの判断にはバラつきがあり救急隊によっては内因性ロード&ゴーを宣言されない現状もある。

 当院ではホットラインを看護師が受けることが多く、看護師の経験値や知識によって内因性ロード&ゴーの判断にもバラつきがあった。そこで、看護師の知識や医師との共通認識を深めていくべく、医師を中心に院内勉強会や救急隊を交えた想定訓練を行った。その中で見えてきた現状と課題についてここに報告する。

【目的】

 内因性ロード&ゴー症例の認識と迅速な受け入れに向けた準備ができているか、現状と課題を明らかにする。

【方法】

 対象:救急センターに従事する看護師(22名)

 方法:アンケート調査(内因性ロード&ゴー受け入れに対して不安や困っていること)

【結果・考察】

 救急センターでは、ホットライン時点では傷病者情報が少なく、また傷病者を実際に観察することができない。そのためホットラインからの内容は重要で事前準備段階において有用である。

 救急センターに従事する看護師へアンケートを行った。検証開始前は内因性ロード&ゴーの受け入れに不安を持っている看護師が75%と、半数以上を占めていた。看護師の知識が不十分であったために医師・看護師間での共通認識が出来ておらず十分な事前準備ができていなかったなど医師からの意見も聞かれた。しかし、勉強会や訓練を重ねることによってホットラインの情報から看護師が内因性ロード&ゴーを予測し、事前準備を行なえた症例も見られるようになった。検証開始後のアンケートでは、内因性ロード&ゴーの受け入れに不安を持っている看護師が31%と半数以下へ減少した。搬送前に看護師が医師と協働し、迅速に事前準備体制を整えることができるようになったと医師から意見も聞かれるようになった。

 さらに、アンケートで記録用紙の簡素化または見直しの意見もあった。ホットラインの記録用紙の書式を変更することにより、一目でロード&ゴーや内因性ロード&ゴーなのか判別でき、より迅速に医師・看護師全体へ働きかけることができるようになるのではないかと考える。

【結論】

 今後も内因性ロード&ゴーの症例検討、勉強会や医師・看護師・救急隊を交え、内因性ロード&ゴー症例を想定した合同訓練(トレーニング)を継続して行う。

 また、検証前後での内因性ロード&ゴーに対する救急隊の意識変化については把握できていない。そのため、内因性ロード&ゴー患者に対して宣言された症例に対しても今後振り返りの場を設けお互いに共通認識を増やしていく必要がある。

 ホットライン記録用紙の変更へ向けてどのような部分の変更が必要か検討、改訂し、救急隊による内因性ロード&ゴー宣言から集中管理病棟(HCU、ICU)への入院率等の統計を出し、相互のために役立てていきたい。