[O13-2] 救急外来における医療サービスの患者・家族満足度評価、および医療サービス向上への介入効果の検証
【はじめに】
近年、医療や看護の質評価は、利用者への質保証から多くの病院において取り組みが行われている。当院は年間8752例の救急患者、救急車6381台の受け入れを行う二次救急病院である。救急外来は初療のみで、入院後は病棟へ引き継がれるため、患者の滞在時間は短い。そのため、これまで救急外来では明確な医療サービスの評価が実施されておらず、質評価は課題となっていた。
【目的】
1.当院救急外来の医療サービスに対する患者・家族の満足度を明らかにする。
2.満足度評価結果を基に実施した、医療サービス向上への介入の効果を検証する。
【方法】
研究デザインは横断的量的調査研究。データ産出期間は、平成30年8月~11月を介入前期間、平成30年12月~平成31年3月を介入後期間とし、それぞれで質問紙調査を実施した。質問紙は救急外来での医療サービスの満足度を評価するため、先行研究から「総合満足度」、「待ち時間対応」、「患者の症状・プライバシーへの配慮」、「家族対応や待機環境」「患者・家族の意思尊重」の5つから構成した。質問は「全く満足していない」から「とても満足している」までの5段階リッカートスケールを用い、当院救急外来に受診した患者・家族へ配布した。介入方法は、介入前期間の質問紙調査の結果から、低評価な内容に対して介入する計画とした。分析は介入前後期間において単純統計を行い、介入効果を検証するためにマンホイットニーのU検定を行った。
【倫理的配慮】
質問紙は無記名とし、回収箱を設置し回収を行った。また、本研究は当院の倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】
アンケート回収率は17.3%(回収数1005枚/救急患者数5806名)。介入は後述する介入前期間の評価が低かった「待ち時間対応」に対し、11月中旬~12月中旬の期間で、アンケート結果の提示とカンファレンスを実施し、「30分毎の待ち時間の説明と中間トリアージ」を実施した。満足度評価の結果は、介入前・介入後の平均で「総合満足度」介入前4.65・介入後4.74、「待ち時間対応」介入前4.39・介入後4.52、「患者の症状・プライバシーへの配慮」介入前4.69・介入後4.75、「家族対応や待機環境」介入前4.51・介入後4.60、「患者・家族の意思尊重」介入前4.63・介入後4.73であった。
介入効果の検証では、「患者・家族の意思尊重」においてp=0.03と有意差(p<0.05)が認められた。しかし、「総合満足度」p=0.07、「待ち時間対応」p=0.06、「患者の症状・プライバシーへの配慮」p=0.25、「家族対応や待機環境」p=0.16と、他の質問において有意差は認められなかった。
【考察】
介入前期間の満足度評価では「待ち時間対応」のみ、対象によって低評価が認められており、平均値も他項目よりやや低い評価であった。これらのデータを基にカンファレンスを行った結果、「スタッフ毎の待ち時間への対応の差」や「救急患者重複時の対応不足」が、低評価の原因であると考えられた。
介入後期間において「待ち時間対応」の平均値は上昇したが、介入効果が認められなかった理由としては、「スタッフ毎の介入の徹底不足」や、「待ち時間自体は変わらない」ことが考えられた。そのため、今後は速やかな診療に向けた業務改善や、介入の徹底を行うことで、介入効果が現れる可能性があると考える。また、「患者・家族の意思尊重」に関しては、介入により患者・家族への声かけの機会が増加し、患者・家族から意思を伝えられるタイミングが増加したことで、介入効果が現れた可能性が考えられた。
近年、医療や看護の質評価は、利用者への質保証から多くの病院において取り組みが行われている。当院は年間8752例の救急患者、救急車6381台の受け入れを行う二次救急病院である。救急外来は初療のみで、入院後は病棟へ引き継がれるため、患者の滞在時間は短い。そのため、これまで救急外来では明確な医療サービスの評価が実施されておらず、質評価は課題となっていた。
【目的】
1.当院救急外来の医療サービスに対する患者・家族の満足度を明らかにする。
2.満足度評価結果を基に実施した、医療サービス向上への介入の効果を検証する。
【方法】
研究デザインは横断的量的調査研究。データ産出期間は、平成30年8月~11月を介入前期間、平成30年12月~平成31年3月を介入後期間とし、それぞれで質問紙調査を実施した。質問紙は救急外来での医療サービスの満足度を評価するため、先行研究から「総合満足度」、「待ち時間対応」、「患者の症状・プライバシーへの配慮」、「家族対応や待機環境」「患者・家族の意思尊重」の5つから構成した。質問は「全く満足していない」から「とても満足している」までの5段階リッカートスケールを用い、当院救急外来に受診した患者・家族へ配布した。介入方法は、介入前期間の質問紙調査の結果から、低評価な内容に対して介入する計画とした。分析は介入前後期間において単純統計を行い、介入効果を検証するためにマンホイットニーのU検定を行った。
【倫理的配慮】
質問紙は無記名とし、回収箱を設置し回収を行った。また、本研究は当院の倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】
アンケート回収率は17.3%(回収数1005枚/救急患者数5806名)。介入は後述する介入前期間の評価が低かった「待ち時間対応」に対し、11月中旬~12月中旬の期間で、アンケート結果の提示とカンファレンスを実施し、「30分毎の待ち時間の説明と中間トリアージ」を実施した。満足度評価の結果は、介入前・介入後の平均で「総合満足度」介入前4.65・介入後4.74、「待ち時間対応」介入前4.39・介入後4.52、「患者の症状・プライバシーへの配慮」介入前4.69・介入後4.75、「家族対応や待機環境」介入前4.51・介入後4.60、「患者・家族の意思尊重」介入前4.63・介入後4.73であった。
介入効果の検証では、「患者・家族の意思尊重」においてp=0.03と有意差(p<0.05)が認められた。しかし、「総合満足度」p=0.07、「待ち時間対応」p=0.06、「患者の症状・プライバシーへの配慮」p=0.25、「家族対応や待機環境」p=0.16と、他の質問において有意差は認められなかった。
【考察】
介入前期間の満足度評価では「待ち時間対応」のみ、対象によって低評価が認められており、平均値も他項目よりやや低い評価であった。これらのデータを基にカンファレンスを行った結果、「スタッフ毎の待ち時間への対応の差」や「救急患者重複時の対応不足」が、低評価の原因であると考えられた。
介入後期間において「待ち時間対応」の平均値は上昇したが、介入効果が認められなかった理由としては、「スタッフ毎の介入の徹底不足」や、「待ち時間自体は変わらない」ことが考えられた。そのため、今後は速やかな診療に向けた業務改善や、介入の徹底を行うことで、介入効果が現れる可能性があると考える。また、「患者・家族の意思尊重」に関しては、介入により患者・家族への声かけの機会が増加し、患者・家族から意思を伝えられるタイミングが増加したことで、介入効果が現れた可能性が考えられた。