[O13-4] 熱性けいれんのパンフレットを使用した帰宅指導の効果
はじめに 小児内科疾患における救急搬送件数で最も多い病態がけいれんであり、当院でも78%を占めている。その一方で転帰は帰宅となるケースが多く、保護者より帰宅後のけいれん再発に対する対応はどうすればよいか、入院の必要性はないかなどと質問されることが多い。また、帰宅後に保護者から、処方された坐薬がなくなったらどうすればよいかという電話相談があった。そのため、熱性けいれんの病態、処方された坐薬の効果と投与時間、再けいれん時の対応、救急要請の基準、入院適応などが記載されたパンフレットを作成した。帰宅時に医師または看護師からパンフレットを渡し保護者へ帰宅指導を行うことで保護者への具体的行動指針を示し、再受診率・電話相談件数が減少することを目指した。
目的 初発の熱性けいれんで救急搬送される患児の保護者に対してパンフレットを用いた帰宅指導を行うことで、再受診率・電話相談件数への効果を検討した。
方法 初発の熱性けいれんで救急搬送される患児で転帰が帰宅となる症例を対象として帰宅時に医師または看護師から帰宅指導を行うこととした。調査期間は2018年10月1日~2019年3月31日とした。パンフレット運用開始前後で熱性けいれんによる再受診率・電話相談件数を調べ比較を行った。再受診については個人情報を確認せず、調査期間中に熱性けいれんの病名で受診した患者を医事データから抽出。電話相談については件数を別紙に記載し件数を抽出し、後方視的に分析した。
倫理的配慮 本研究は高知医療センター臨床研究審査委員会の承認を得て実施した。個人が特定されないよう配慮し、個人情報を確認せず必要なデータのみ医事データより抽出した。
結果 パンフレット運用前2018年10月1日~2018年12月24日、初発の熱性けいれんで救急搬送された患児で帰宅となったケースは11件、再受診は5件(45%)、帰宅後に電話相談があった件数は11件中2件(18%)であった。パンフレット運用開始後2018年12月25~2019年3月31日、初発の熱性けいれんで救急搬送された患児で帰宅となったケースは20件、パンフレット配布数は27枚(135%)であった。配布数が100%を超えた原因として、発熱で受診した症例に対し保護者が熱性けいれんを心配する場合に医師が配布していたことが聞き取り調査で判明した。パンフレット運用開始後、再受診は20件中3件(15%)と減少し、電話相談も0件(0%)であった。
考察 今回、再受診率・電話相談件数が減少したという結果が出た。パンフレット配布に関する研究では、子供が元気な時の配布の効果は乏しく、救急外来受診時の配布が効果は高いとされている。¹⁾再受診率・電話相談件数が減少した理由として、熱性けいれんを児が実際に経験した後、保護者に帰宅指導を行い行動指針を示したことで、帰宅後にどのような対応をすれば良いかを保護者が具体的に理解し、不安軽減を行えたことが効果的であったと考えられる。また、主に医師がパンフレットを活用しており、看護師が渡す頻度が少ないのが現状である。さらに再受診率・電話相談件数が減少するためには、パンフレットを看護師が活用しやすい環境になるよう配置場所の変更や、看護師の意識向上のための教育体制を整備していく必要がある。
結論 熱性けいれんのパンフレットを使用し帰宅指導を行うことで、熱性けいれんによる再受診率・電話相談件数の減少に帰宅指導は効果があったと考えられる。
参考文献 1)丹桂子,2008,幼稚園児の保護者に対する小児救急パンフレット配布の効果,小児保健研究所,P632-640
目的 初発の熱性けいれんで救急搬送される患児の保護者に対してパンフレットを用いた帰宅指導を行うことで、再受診率・電話相談件数への効果を検討した。
方法 初発の熱性けいれんで救急搬送される患児で転帰が帰宅となる症例を対象として帰宅時に医師または看護師から帰宅指導を行うこととした。調査期間は2018年10月1日~2019年3月31日とした。パンフレット運用開始前後で熱性けいれんによる再受診率・電話相談件数を調べ比較を行った。再受診については個人情報を確認せず、調査期間中に熱性けいれんの病名で受診した患者を医事データから抽出。電話相談については件数を別紙に記載し件数を抽出し、後方視的に分析した。
倫理的配慮 本研究は高知医療センター臨床研究審査委員会の承認を得て実施した。個人が特定されないよう配慮し、個人情報を確認せず必要なデータのみ医事データより抽出した。
結果 パンフレット運用前2018年10月1日~2018年12月24日、初発の熱性けいれんで救急搬送された患児で帰宅となったケースは11件、再受診は5件(45%)、帰宅後に電話相談があった件数は11件中2件(18%)であった。パンフレット運用開始後2018年12月25~2019年3月31日、初発の熱性けいれんで救急搬送された患児で帰宅となったケースは20件、パンフレット配布数は27枚(135%)であった。配布数が100%を超えた原因として、発熱で受診した症例に対し保護者が熱性けいれんを心配する場合に医師が配布していたことが聞き取り調査で判明した。パンフレット運用開始後、再受診は20件中3件(15%)と減少し、電話相談も0件(0%)であった。
考察 今回、再受診率・電話相談件数が減少したという結果が出た。パンフレット配布に関する研究では、子供が元気な時の配布の効果は乏しく、救急外来受診時の配布が効果は高いとされている。¹⁾再受診率・電話相談件数が減少した理由として、熱性けいれんを児が実際に経験した後、保護者に帰宅指導を行い行動指針を示したことで、帰宅後にどのような対応をすれば良いかを保護者が具体的に理解し、不安軽減を行えたことが効果的であったと考えられる。また、主に医師がパンフレットを活用しており、看護師が渡す頻度が少ないのが現状である。さらに再受診率・電話相談件数が減少するためには、パンフレットを看護師が活用しやすい環境になるよう配置場所の変更や、看護師の意識向上のための教育体制を整備していく必要がある。
結論 熱性けいれんのパンフレットを使用し帰宅指導を行うことで、熱性けいれんによる再受診率・電話相談件数の減少に帰宅指導は効果があったと考えられる。
参考文献 1)丹桂子,2008,幼稚園児の保護者に対する小児救急パンフレット配布の効果,小児保健研究所,P632-640