第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(口演)

家族ニーズ

[O16] O16群 家族ニーズ

2019年10月5日(土) 11:00 〜 12:00 第6会場 (3F 中会議室303)

座長:西塔 依久美(東京医科大学)

[O16-1] 救急・クリティカルケア領域における家族ケア -国内外の文献比較から-

吉田 彩良1, 門 美緒1, 豊海 万緒1, 作田 裕美2 (1.大阪市立大学医学部附属病院, 2.大阪市立大学)

【目的】本研究の目的は、文献を通して救急・クリティカルケア領域における看護師が行っている家族ケアの実際について知り、国内外比較を考察することである。

【方法】 データ収集方法/国内文献は医学中央雑誌(1984~201年)を用い、キーワードを「救急外来」、「看護師」、「家族ケア」で検索し、23件を分析対象とした。海外文献はPubMed(2014~2019年)とMEDLINE(2014~2019年)を用い、キーワードは「critical care」、「family nursing」、「nursing」で検索し、重複分を除き9件を分析対象とした。データ分析方法/収集した32件の文献をカルガリー家族介入理論を参考に「認知領域に働きかける介入技術」、「感情領域に働きかける介入技術」、「行動領域に働きかける介入技術」の3つの視点から整理し考察した。

【結果】「認知領域に働きかける介入技術」では、国内外ともに家族への情報提供を重視していた。「感情領域に働きかける介入技術」では国内外の違いが顕著に認められた。国内では、家族への共感的理解を示すことが重視されることが多かったのに対し、国外では家族へのコミュニケーションを重視する文献が多かった。「行動領域に働きかける介入技術」では、国内外ともに家族が患者に対してケアを実践できるように仕向ける働きかけが認められた。

【考察】「認知領域に働きかける介入技術」と「行動領域に働きかける介入技術」において国内外で共通項目が多く見出せたことは、“正しい知識や情報提供を行うこと”、“家族とのコミュニケーションを円滑にすること”や“家族が患者に何らかの援助を提供できるように仕向けていくこと”は、国外を超えた家族看護の普遍性であると考察できた。一方、「感情領域に働きかける介入技術」では、家族を共感的に理解することを重視する国内文献の突出的な多さが明らかとなった。これは、わが国固有の看護場面における文化的特性とも考えられた。レイニンガーの述べる看護ケアの普遍性と個別性の一例とも捉えられるので、今後のわが国における救急・クリティカルケア領域における看護ケアにおいて、「感情領域に働きかける援助技術」はわが国の独自性として考慮すべき点であると考える。