[O16-4] 緊急入院した高齢患者の同居をしている家族に対する関わりで学んだこと~CNS-FACEⅡを用いて~
【はじめに】A病院救命救急センター病棟には認知症の高齢者の入院が多い。さらに、在室日数も少なく、私は普段緊急入院した高齢者の家族がどのようなニードをもっているのか把握することが困難であると感じていた。今回、変化する家族のニードをとらえるためCNS-FACEⅡを用いてニードを抽出・アセスメントし、それに基づいて看護を提供した。不穏の患者に対して、家族が積極的に関わりを持とうとする症例であり、家族の、患者に対する思いの強さを感じた。そのため、家族が患者のサポートをすることができるように看護を行うことで、家族の気持ちに寄り添うことができたと考えられるため報告する。【方法】慢性硬膜下血腫に対して緊急で穿頭ドレナージ術を施行され入院した患者の同居している家族に対して、CNS-FACEⅡを用いて評価を行い、そのアセスメントに基づき看護計画の立案・看護介入を行った。【倫理的配慮】A病院看護部倫理員会の承認を得た。研究に必要な情報を取り扱う際は、個人が特定できないように十分に配慮し、取り扱いは研究者のみが行い管理した。【事例紹介】90代女性の患者。要介護2で入院前のADLはほぼ自立。今回、左慢性硬膜下血腫に対して緊急で穿頭ドレナージ術施行され、20時頃病棟へ入室。入室時は現状認識ができておらず、指示が入らない状態であった。翌朝7時15分に頭部CTを施行し、ドレーン抜去となった。長女夫婦と同居し、長女が主介護者であり、今回の対象とした。【看護の実際】1日目は情報、保証、接近、安楽・安寧、情緒的サポートのニードが高値であるという結果が得られ、それぞれのニードに対して以下のような看護介入を行った。保証のニードについて、家族に対して看護処置などについて詳細に説明を行った。情報のニードに対しては、医師のICに同席し、家族の理解度を確認し補足を行った。接近のニードに対しては、家族が患者と関わることができるようにルート類などベッド周囲の環境調整を行った。安楽・安寧、情緒的サポートのニードに対しては、家族へ休んでもらうよう積極的な声掛けや、患者家族控え室の案内・情報提供を行い、休んでもらえるように配慮を行った。また、接近・保証のニードが高値であったため、家族が患者のそばにいたい、役に立ちたいという思いを叶えるために、家族と患者が近づけるように看護を行った。そのため、患者が抑制をせずに事故抜去などの危険なく過ごすことができた。翌朝にドレーンを抜去した後、長女より、「一晩中母や私たちに声掛けをしてくださってありがとうございました。これで安心していったん家に帰れます。」との発言がみられた。【考察】概ね1日目に比べ、2日目のニードの値は下がっており、家族の反応からもニードは満たされ、看護目標が達成できた。CNS-FACEⅡを使用することで、短時間の関わりの中でも家族の変化するニードを数値化することで把握できるため、在室日数の短い救命救急センター病棟においても個別性のある看護介入ができると考えられる。また、夜勤帯であり看護師の人数が少なく、メンバー全員で情報共有を重ねることができたため、チームで一貫した看護を提供できたと考えられる。【終わりに】今回は、家族に患者のサポート意欲がある症例であった。家族が患者と安全・安楽、安心して関わることができるように看護介入を行うことで、家族のニードを満たし、不安を軽減できた。CNS-FACEⅡの結果からも、今回の関わりが家族の不安を軽減させることに繋がった。今後は、様々な属性の患者・家族にCNS-FACEⅡを用いて看護を行っていくことが課題となる。