[O17-1] 一般病棟看護師の急変対応に関する研修の実態 -Rapid Response Systemの有無に着目して-
【目的】一般病棟では,患者の急変に遭遇する頻度は日常的に少ないが,急変の場合,看護師はその第一発見者になることが多い.そのため,急変に適切かつ迅速に対応するため,看護師は研修で多くの知識や技術を学ぶ.また近年,院内迅速対応システムRapid Response System(以下,RRS)を導入する病院が増えている.本研究は,一般病棟看護師の急変対応に関する研修の実態をRRS運用の有無に着目して調査することを目的とした.
【方法】研究デザインは実態調査研究.対象は臨床経験3年目以上の一般病棟看護師540名.調査期間は2018年7月から2018年9月.調査方法は,郵送法による無記名自記式質問紙調査.調査内容は,基本属性,急変対応に関する研修で学んだ経験,急変対応および心肺蘇生法の経験,急変対応に関する研修後の看護実践の変化および看護実践への活用などとした.分析方法は,記述統計量を算出後,χ2検定を行い(p<.05),急変対応に関する研修で学んだ経験の特徴および課題を検討した.
【倫理的配慮】A大学大学院看護学研究科倫理審査会で承認後,実施した.
【結果】質問紙の配布数は49施設540部,回収数300部(回収率55.6%),有効回答数288部(有効回答率53.3%)であった.288名中,急変対応に関する院内(部署内を含む)研修を受けた経験は,あり280名(97.2%),なし8名(2.8%), 急変対応に関する院外研修を受けた経験は,あり143名(49.7%),なし145名(50.3%), 急変対応の経験は,あり282名(97.9%),なし6名(2.1%),心肺蘇生法の経験は,あり247名(85.8%),なし41名(14.2%),所属病院のRRSの実施は,あり116名(40.3%),なし172名(59.7%)であった.RRS実施の有無と急変対応に関する研修を受けた経験の有無,急変対応の経験の有無,心肺蘇生法の経験の有無をそれぞれ比較した.その結果,3者ともに有意差はなかった(p>.05).急変対応に関する研修内容別経験回数では,一次・二次救命処置の割合が高く,コミュニケーション技法,チームマネジメント技法の割合は低かった.また,急変対応に関する研修内容のBLS,AED,ACLSの経験ありおよび各研修経験6回以上の割合は,それぞれRRS実施ありの方が高かった.
【考察】RRS実施の有無に関わらず,交代制勤務を行う一般病棟看護師の研修の経験に大差はなかった.また,急変対応に関する院内研修を受けた経験ありの回答は,全体の97.2%と高い割合を占めた.これは,新人看護職員研修ガイドラインが作成され,2010年より新人看護職員研修が努力義務化となったこと(厚生労働省,2014),2007年の医療法改正により,すべての医療機関の全職員に対して医療安全研修会を年2回実施することが義務化となったことが要因であると考える.医療機関によって急変対応に関する研修の内容や実施回数に違いはあるが,患者の救命が迅速に行われるよう,急変対応に関する研修について組織的な整備を行っていることを示したと考える.一般病棟看護師の急変対応に関する研修の課題は,一次・二次救命処置などのtechnical skillの研修だけでなく,チーム医療に必要なコミュニケーション技法やチームマネジメント技法などのnon-technical skillの研修の機会を増やすこと,急変対応に関する職場内実務教育OJTの課題は,急変対応や心肺蘇生後の経験後,カンファレンスや事例検討の場を設け,経験学習の機会を増やすことである.
【方法】研究デザインは実態調査研究.対象は臨床経験3年目以上の一般病棟看護師540名.調査期間は2018年7月から2018年9月.調査方法は,郵送法による無記名自記式質問紙調査.調査内容は,基本属性,急変対応に関する研修で学んだ経験,急変対応および心肺蘇生法の経験,急変対応に関する研修後の看護実践の変化および看護実践への活用などとした.分析方法は,記述統計量を算出後,χ2検定を行い(p<.05),急変対応に関する研修で学んだ経験の特徴および課題を検討した.
【倫理的配慮】A大学大学院看護学研究科倫理審査会で承認後,実施した.
【結果】質問紙の配布数は49施設540部,回収数300部(回収率55.6%),有効回答数288部(有効回答率53.3%)であった.288名中,急変対応に関する院内(部署内を含む)研修を受けた経験は,あり280名(97.2%),なし8名(2.8%), 急変対応に関する院外研修を受けた経験は,あり143名(49.7%),なし145名(50.3%), 急変対応の経験は,あり282名(97.9%),なし6名(2.1%),心肺蘇生法の経験は,あり247名(85.8%),なし41名(14.2%),所属病院のRRSの実施は,あり116名(40.3%),なし172名(59.7%)であった.RRS実施の有無と急変対応に関する研修を受けた経験の有無,急変対応の経験の有無,心肺蘇生法の経験の有無をそれぞれ比較した.その結果,3者ともに有意差はなかった(p>.05).急変対応に関する研修内容別経験回数では,一次・二次救命処置の割合が高く,コミュニケーション技法,チームマネジメント技法の割合は低かった.また,急変対応に関する研修内容のBLS,AED,ACLSの経験ありおよび各研修経験6回以上の割合は,それぞれRRS実施ありの方が高かった.
【考察】RRS実施の有無に関わらず,交代制勤務を行う一般病棟看護師の研修の経験に大差はなかった.また,急変対応に関する院内研修を受けた経験ありの回答は,全体の97.2%と高い割合を占めた.これは,新人看護職員研修ガイドラインが作成され,2010年より新人看護職員研修が努力義務化となったこと(厚生労働省,2014),2007年の医療法改正により,すべての医療機関の全職員に対して医療安全研修会を年2回実施することが義務化となったことが要因であると考える.医療機関によって急変対応に関する研修の内容や実施回数に違いはあるが,患者の救命が迅速に行われるよう,急変対応に関する研修について組織的な整備を行っていることを示したと考える.一般病棟看護師の急変対応に関する研修の課題は,一次・二次救命処置などのtechnical skillの研修だけでなく,チーム医療に必要なコミュニケーション技法やチームマネジメント技法などのnon-technical skillの研修の機会を増やすこと,急変対応に関する職場内実務教育OJTの課題は,急変対応や心肺蘇生後の経験後,カンファレンスや事例検討の場を設け,経験学習の機会を増やすことである.