[O19-4] A病院ICU看護師による除細動施行を妨げる要因
【はじめに】A病院は、ICU看護師全員がICLSを取得し、2年ごとに更新している。鈴木らの研究(2004)では、看護師の多くは電気的除細動の施行を躊躇しており、施行には個々の看護師の法解釈が強く影響していると述べられている。A病院ICU看護師の除細動に関する現状調査を実施した結果、チームダイナミクスも関与していることが明らかになった。
【目的】A病院ICU看護師による除細動施行を妨げる要因を明らかにする。
【研究方法】1.対象者:A病院ICU看護師49名。看護師経験1~4年目15名、5~19年目32名、20年目以上2名。背景:ラダー、卒前の除細動教育、リーダー経験・除細動現場への遭遇、除細動施行経験・自信、ICLS・ACLS参加歴(受講・指導の有無、3ヶ月以内)、二次救命処置の最終学習月を調査。2.調査方法:鈴木らの研究およびICU看護師への現状調査を参考に、除細動を妨げる要因を[知識]、[技術]、[認識]の3つのカテゴリーに分け調査項目を作成した。 [知識]は、選択式質問紙調査とし、波形診断、除細動のエネルギー量、アルゴリズムの問題に全問正解した割合。[技術]は、マネキン、除細動器を用い、エネルギー量設定からパドル放電までを撮影し、評価表をもとに他者評価を行い、除細動が施行できた割合とした。[認識]は、選択式質問紙調査で、①法解釈、②救命のための行動、③救命のための考え、④チームダイナミクスにて、迅速な除細動施行につながる選択肢を選んだ割合を調査した。なお、知識問題、技術評価表はICLSコースガイドブック、ACLSプロバイダーマニュアルをもとに作成した。3.評価方法:各カテゴリーの上記割合を比較し、除細動を妨げる要因になりうるか評価した。また、背景が除細動施行に影響を及ぼすか検討するために[知識]全問正解したA群、不正解があったB群、[技術]除細動が施行できたA群、できなかったB群、[認識]迅速な除細動施行につながる選択肢を選んだA群、選ばなかったB群に分け、背景を比較し、カイ2乗検定、Fisherの正確検定を行った(p<0.05)。
【倫理的配慮】任意参加、匿名性の保証、データの目的外使用を行わないことを説明した。A病院の看護部倫理審査会の承認を得た。
【結果】[知識]91.8%、[技術]55.1%、[認識]①法解釈77.6%、②救命のための行動81.6%、③救命のための考え81.6%、④チームダイナミクス63.3%であった。[知識]A、B群にて有意差なし。[技術]看護師経験の中央値A群7年、B群5年と違いがあり、リーダー経験、ICUリーダーとして除細動現場への遭遇にて有意差があった。[認識]にて最も上記割合が低かった④チームダイナミクスA、B群では、ACLS参加歴、除細動施行の自信、除細動施行経験にて有意差があった。
【考察】[知識]の正答率は高く、除細動を妨げる要因としては[技術]、[認識]では④チームダイナミクスが挙げられる。黒田らの研究(2016)では、繰り返し経験を積んでいく項目と、経験することが少ない項目と経験の偏りが、看護技術修得度に影響を与えていると述べている。A病院ICUではリーダー教育を看護師経験5~6年目で行っており、リーダーや手技経験の差で技術の修得度が異なったと考えられる。チームダイナミクスに関して、ACLSでは役割分担や建設的な介入等を重点的に学ぶため、受講・指導経験者は迅速な除細動施行につながる選択肢を選ぶことができたと考える。ICLSの更新に加え、補完的に他コースの内容も取り入れ、定期的な教育介入を行っていきたい。
【目的】A病院ICU看護師による除細動施行を妨げる要因を明らかにする。
【研究方法】1.対象者:A病院ICU看護師49名。看護師経験1~4年目15名、5~19年目32名、20年目以上2名。背景:ラダー、卒前の除細動教育、リーダー経験・除細動現場への遭遇、除細動施行経験・自信、ICLS・ACLS参加歴(受講・指導の有無、3ヶ月以内)、二次救命処置の最終学習月を調査。2.調査方法:鈴木らの研究およびICU看護師への現状調査を参考に、除細動を妨げる要因を[知識]、[技術]、[認識]の3つのカテゴリーに分け調査項目を作成した。 [知識]は、選択式質問紙調査とし、波形診断、除細動のエネルギー量、アルゴリズムの問題に全問正解した割合。[技術]は、マネキン、除細動器を用い、エネルギー量設定からパドル放電までを撮影し、評価表をもとに他者評価を行い、除細動が施行できた割合とした。[認識]は、選択式質問紙調査で、①法解釈、②救命のための行動、③救命のための考え、④チームダイナミクスにて、迅速な除細動施行につながる選択肢を選んだ割合を調査した。なお、知識問題、技術評価表はICLSコースガイドブック、ACLSプロバイダーマニュアルをもとに作成した。3.評価方法:各カテゴリーの上記割合を比較し、除細動を妨げる要因になりうるか評価した。また、背景が除細動施行に影響を及ぼすか検討するために[知識]全問正解したA群、不正解があったB群、[技術]除細動が施行できたA群、できなかったB群、[認識]迅速な除細動施行につながる選択肢を選んだA群、選ばなかったB群に分け、背景を比較し、カイ2乗検定、Fisherの正確検定を行った(p<0.05)。
【倫理的配慮】任意参加、匿名性の保証、データの目的外使用を行わないことを説明した。A病院の看護部倫理審査会の承認を得た。
【結果】[知識]91.8%、[技術]55.1%、[認識]①法解釈77.6%、②救命のための行動81.6%、③救命のための考え81.6%、④チームダイナミクス63.3%であった。[知識]A、B群にて有意差なし。[技術]看護師経験の中央値A群7年、B群5年と違いがあり、リーダー経験、ICUリーダーとして除細動現場への遭遇にて有意差があった。[認識]にて最も上記割合が低かった④チームダイナミクスA、B群では、ACLS参加歴、除細動施行の自信、除細動施行経験にて有意差があった。
【考察】[知識]の正答率は高く、除細動を妨げる要因としては[技術]、[認識]では④チームダイナミクスが挙げられる。黒田らの研究(2016)では、繰り返し経験を積んでいく項目と、経験することが少ない項目と経験の偏りが、看護技術修得度に影響を与えていると述べている。A病院ICUではリーダー教育を看護師経験5~6年目で行っており、リーダーや手技経験の差で技術の修得度が異なったと考えられる。チームダイナミクスに関して、ACLSでは役割分担や建設的な介入等を重点的に学ぶため、受講・指導経験者は迅速な除細動施行につながる選択肢を選ぶことができたと考える。ICLSの更新に加え、補完的に他コースの内容も取り入れ、定期的な教育介入を行っていきたい。