第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(口演)

プレホスピタルケア

[O2] O2群 プレホスピタルケア

Fri. Oct 4, 2019 10:20 AM - 11:30 AM 第6会場 (3F 中会議室303)

座長:坂田 司(徳島赤十字病院)

[O2-5] FAST-A(安達地域脳卒中救急搬送システム)導入への取り組み ~ プレホスピタルケアに着目して ~

志賀 一美, 石田 智彦, 武藤 恵, 伊藤 和恵, 阿久津 功 (医療法人辰星会枡記念病院 災害救急医療部)

【はじめに】当院は脳血管治療に対応できる専門的救急医療を展開している。脳卒中のファーストエイドは、生命の維持のみでは無く、その後の意識レベルや麻痺等の後遺症に左右する。ファーストエイドをより短時間で行うには、ホスピタルケアの改善だけでは短縮することが困難である。そこでプレホスピタルケアにおける時間短縮に着目し、管内消防署とFAST-A(安達地域脳卒中救急搬送システム)を導入した。このシステムが導入されるにあたり、看護チームの取り組みと現状の課題について考察を加え報告する。【方法】1、従来の救急搬送から受入:119番が司令室へ入電、司令室から傷病者に近い部署救急車が出動し現場到着、現場から車内収容、症状に応じた搬送先病院の手配・連絡・決定をする。その後現場出発となり病院到着・受入となる。2、FAST-A受入:FAST-A( F: Face A: Arm S: Speech T: Time - A: Adachi)Fは顔の麻痺、Aは上下肢の麻痺、Sは言葉のもつれ、Tはいつからとし症状が1つでもあった場合『FAST-A』と受入要請をする。以上を-A安達管内の消防署職員と共有する。119番が司令室に入電、FAST症状で脳卒中を疑う事例は救急車出動と同時に、指令室から当院へ受入のフーストコールをする。当院は全て受入可能とし、直ちにFAST関係スタッフ(医師・カテ、手術担当看護師・放射線・ME・事務)へ連絡、受入準備を開始する。その後、現場到着の救急隊からセカンドコールで詳細情報が入り搬送、病院到着・受入となる。又、司令室での情報では分からなかったが、現場到着時の救急隊の判断でFAST症状があればFAST-Aコールとする。このシステムは24時間体制とし平成30年7月より開始とする。システム導入にあたり、事前に当院脳神経外科部長医師(地域メディカルコントロール医師:以後MCDr)が、当院全職員と管内消防署職員へ啓蒙し体制の構築を実施した。【結果及び考察】開始から平成31年3月末までに、FAST-A受入件数は122件、内脳血管撮影での治療が18件であった。FAST-Aを開始し、地域内で発症した脳卒中を疑う患者の存在を一早く知ることで、早期から受入準備が可能となった。しかし、従来、二次救急医療施設として、1日平均3.5台の救急車の受入をしてきたが、FAST-A患者の受入は三次救急体制が必要であった。救急外来の看護体制は、救急担当看護師が1名で、他は各科外来業務を担当している看護師がアシストをする体制である。夜間は、救急担当看護師1名と夜勤看護責任者で実施している。そのため救急外来を対応する機会は個々人により差があり「FAST-Aが来ると緊張する」等の不安の声が上がっていた。そこで、その不安を軽減するため、「どこに不安を感じるのか』を明らかにすることが必要であると考え個々に確認し、その結果を基に、ポイントをしぼり勉強会やディモンストレーションの強化をしている。プレホスピタルへの関わりでは、MCDrと協力し管内消防署職員と定期的な検証会を実施、継続している。今後も、より効果的なFAST-Aとなるよう活動して行きたい。【結語】1.病院と管内消防署がFAST-Aを共有することで、病院側は一早く受入準備に取り掛かることがでた。又、管内消防署は受入病院の確認もすること無く円滑に受入要請、受入体制を構築することができた。2.FAST-Aをより効果的にするには、1)救急看護体制の見直しと検討が必要である。2)システムに関わる院内職員と管内消防署職員の定期的な検証会の実施が必要である。