第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

トリアージ

[O20] O20群 トリアージ②

2019年10月5日(土) 09:00 〜 10:00 第8会場 (1F 中会議室102)

座長:中嶋 康広(東海大学 看護師キャリア支援センター)

[O20-1] 救急プライマリーケアセンター併設型総合診療科外来におけるqSOFAの現状と分析

増田 望1, 藤井 満貴1, 吉川 侑美香1, 池田 千紘1, 横川 博英2, 内藤 俊夫2, 橋口 尚幸3 (1.順天堂大学医学部附属順天堂医院看護部救急PCセンター, 2.順天堂大学医学部附属順天堂医院総合診療科, 3.順天堂大学医学部附属順天堂医院救急科)

【はじめに】2016年に敗血症の定義、診断基準が改訂され、ICU以外での迅速な敗血症のスクリーニングツールとしてquick SequentialOrganFailure Assessment(以下qSOFA)が導入された。qSOFAは、医師や看護師の経験年数によって評価の点数が左右されにくい客観的ツールとなっており、2017年10月より当院総合診療科外来に導入した。当外来は患者の多様なニーズ・重症度に適切に対応する内科中心とした総合的な診療を行い、年間39,436人の患者が来院している。当外来では重症患者を見逃さないようにするためにqSOFAを利用してトリアージを行い、qSOFAの概念を広く適応して点数が高い場合には優先的に診察、治療を開始できるようにしている。また救急科も併設されており、重症度が高い患者は救急科と協力して早期の治療を行う事が出来るようにしている。qSOFAの有用性については、その有用性を評価した検討は限られており、今回の研究を通して当院におけるqSOFAの現状を明らかにしていく
【目的】qSOFAによる患者のスクリーニングを行い診療の現状分析し、今後の外来におけるqSOFA活用について検討する
【方法】2019年1月4日から2019年3月31日に総合診療科に来院した初診患者を対象としてqSOFAによるスクリーニングを行い、後ろ向き観察法にて分析し重症度に応じた治療開始ができているのかを検討する
【倫理的配慮】患者個人を特定しないよう配慮し、抽出した診療記録内容は本研究以外では使用せず保管庫にて管理した。当院の病院倫理委員会の承認を得た
【結果】対象期間では2705名のうち1703名の患者がqSOFA対象患者であり、その内訳はqSOFA1点が99名、qSOFA2点が4名であった。さらにqSOFA対象患者のうち5名の患者が敗血症と診断され入院した。入院となった5名の患者のうちqSOFA1点が2名、qSOFA2点が1名、qSOFA0点が2名。なおqSOFA2点の患者は敗血症性ショックをきたしておりICUへ入院した。qSOFA0点の患者2名においては、既に他院にて鎮痛剤や抗菌薬が投与されていた。qSOFAの測定者は主として看護師であるが医学生や研修医と様々であり敗血症を疑うスクリーニングの指標として認識している看護師は約80%であった
【考察】qSOFA1点以上の患者に対して、経験の短いスタッフでも直ちに担当診察室の医師へ報告し、何かしらの対応を行っている。今回の調査期間で、敗血症と診断された患者5名のうち3名がqSOFA1点以上に該当し、早期治療介入が行えており、現時点での総合診療科外来においてqSOFAは有効的に活用する事が出来ていると考えられる。またqSOFAに呼吸数の項目がある事で、スタッフ内で呼吸数を測定することの重要性が認識されたと考える。しかしqSOFAを慣習的なものとして測定しており、敗血症疑いのスクリーニングとして活用しているという認識が看護師以外のスタッフには低い可能性が考えられる
【結語】外来の受診患者数は多く、敗血症を疑う患者を見逃しやすい状況でもある。簡便に測定する事ができるqSOFAでスクリーニングを行い、敗血症患者を見逃さないようにすることが求められている。現時点でのqSOFAを用いたスクリーニング評価は有効である。しかし、測定する事の意義を再教育し、部署全体で敗血症疑い患者の早期治療介入への取り組みができるようにする必要がある