第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(口演)

重症患者看護

[O21] O21群 重症患者看護②

Sat. Oct 5, 2019 10:10 AM - 11:00 AM 第8会場 (1F 中会議室102)

座長:桑村 直樹(公益社団法人日本看護協会 看護研修学校)

[O21-2] 医療関連機器圧迫創傷の要因別ベッドサイド危険予知トレーニング用紙の使用による発生率低減への効果

畠山 貴仁, 髙橋 弘江, 齊藤 麻知子, 佐々木 美里, 髙橋 智恵子, 谷藤 大貴 (岩手医科大学附属病院高度救命救急センター)

【はじめに】A高度救命救急センター(以下Aセンターとする)の2017年度褥瘡発生率は1.01%、医療関連機器圧迫創傷(以下、MDRPUとする)発生率は2.27%であり、MDRPU予防策が課題であった。また、褥瘡分野のDiNQLの分析結果からは、褥瘡ハイリスク患者の発生が多く、新規褥瘡の改善率が0%であったことからも、一度発生した褥瘡やMDRPUが改善しにくいことを示していた。これらのことから、MDRPU発生前のリスクアセスメントの向上を目的としたMDRPUの要因別危険予知トレーニング用紙(以下KYT用紙)を独自に作成し、ベッドサイドKYTを行った。しかし、直接要因は多く挙げることができていたが、間接要因は少ない傾向にあった。そこで、日本褥瘡学会が作成したMDRPUの発生概念図を参考に、機器要因、個体要因、ケア要因に分けたリスクアセスメントとケア計画を記載するMDRPUのKYT専用用紙に改訂し、発生率低減への効果を検討したので報告する。【研究目的】KYT用紙の使用によるMDRPU発生率の低減への効果を明らかにする。【方法】1.対象:2017年9月~2018年12月にKYTを行った看護師36名。MDRPUハイリスク患者のべ50名。2.方法:看護師がペアでKYTを行った。2017年9月~2018年3月は28名に直接要因と間接要因とケア計画を記載するKYT用紙を使用した(以下A群)。2018年4月~2018年12月は22名に機器要因、個体要因、ケア要因、ケア計画を記載するKYT用紙に改訂した(以下B群)。3.分析方法:1)KYTの内容をコード化し意味内容毎にカテゴリー化した。A群の直接、間接要因を機器要因、個体要因、ケア要因に分類し、B群と比較検討した。2)両群の MDRPU発生率をX検定し、有意水準5%として算出した。 4.倫理的配慮:A医科大学医学部倫理委員会の承認を得、情報公開し対象者に拒否の機会を保障した。また、対象者から研究施設ならびに発表に関する自由意志による承諾が得られている。本研究にて得られた情報や結果等の公表においては、対象者のプライバシーが保護されるように配慮している。【結果】要因別ではA群139コード14カテゴリー、B群では114コード20カテゴリーであった。A群と比較しB群で最も増加したのはケア要因で、A群が1コード「外力低減ケア」のみだったのに対し、B群では30コード増加し「スキンケア」「栄養補給」「患者教育」が新たに抽出された。ケア計画はA群102コード12カテゴリー、B群では111コード18カテゴリーであった。B群のケア計画では「剥離剤・保護剤の使用」「愛護的ケア」「患者への説明」が新たにカテゴリーとして挙げられた。発生率はA群0.88%、B群2.68%であり、p=0.286で有意差はなかった。【考察】ケア要因とそれに対するケア計画において、B群のカテゴリー数の増加がみられた。これは、KYT用紙の改訂により日常行っているケアによって発生し得るMDRPUに着目することができたと考える。このことが、B群のケア計画のカテゴリ―数の増加につながった。さらに、直接的なケアだけに着目するだけでなく、「患者への説明」が挙げられたことは、意識障害のある患者や鎮静管理中の患者が大多数を占める中で、患者教育もケアとして重要であるという意識につながったとも考えられた。今後も、発生概念図に沿った細やかな情報収集を継続し、KYTの改訂を重ねながらMDRPU発生予防に努めていく必要がある。