[O24-2] 部署間連携における外傷コアナースの活動(第一報)
A病院は平成29年4月地域外傷センターを設立した。外傷診療では「防ぎえた外傷死」をいかに回避するかが最大の課題である。関連部署の看護師で構成した外傷コアナースが「防ぎえた外傷死」を回避するための研修会を開催した。重症外傷患者受け入れ時の看護師間で協力体制の構築に取り組んだので報告する。
1.目的
外傷患者が安全な治療を受けられるために、外傷診療初期対応の協力体制の重要性を理解する
2.方法
1) 期間:平成29年4月~平成30年12月
2) 外傷コアナースの活動(研修会の企画・運営)
① 重症外傷患者受け入れ準備から緊急手術出場までのシミュレーション
② 重症外傷患者対応時のコミュニケーション連携の重要性についてシミュレーション
③ 外傷診療ガイドラインについての講義
④ 緊急開胸術、緊急開腹術の適応についての講義
⑤ 開胸術、開腹術の準備、手順、観察、記録についての講義
3) ②~⑤の研修会開催後、参加者アンケートを実施
4) 倫理的な配慮:看護部倫理委員会の承認を得る
3.実際
重症外傷患者の予後は受傷から根本治療開始までの1時間が重要で予後を左右すると言われている。患者到着から30分以内に治療方針が決定されるため緊迫した診療と迅速な対応が求められる。そこで、重症外傷初期診療をイメージできるように①「重症外傷患者の受け入れ準備から緊急手術出場までのシミュレーション」を開催した。実際に重症外傷の応需が決定すれば、看護師1~2名で到着までに受け入れ準備を行うが限られた時間に滞りなく受け入れ準備ができないことがあり「準備物品がわからない」「準備が漏れていた」と意見があった。そのため「重症外傷患者受け入れ準備リスト」を作成しリストをもとに準備することで経験の差に関係なく準備が整うようにした。患者到着後は、複数の医師による処置、治療が行われる。医師から薬剤投与や処置介助の指示があり医師と看護師、看護師間のコミュニケーションが不十分のため重複した動きをしていたことや看護師の対応が遅延し記録が疎かになっていた。そこで②「重症外傷患者対応時のコミュニケーション連携の重要性について」の研修会を開催しコミュニケーションの取り方モデルを提示した。外傷診療初期対応の重要性や、看護師の役割の一つである記録の重要性の理解を得るために③「外傷診療ガイドライン」や④「緊急開胸、開腹術を初療室で行う適応について」の講義⑤「開胸術、開腹術の準備、手順、観察、記録について」の講義を開催した。アンケートの結果「診療の流れがイメージできた」「部署間の連携は重要だ」「伝わるように声に出す事が大切だ」「救命できるようにしたい」と意見があった。重症外傷の応需情報をOP室へ連絡すると、OP室看護師は緊急手術体制を整え、要請時は初療室へ協力体制が取れ、マンパワーが充実し救命できた事例もあった。
4.考察
外傷初期対応時は、患者の病態予測と即効性のある準備を行うように関連部署と連携をとる必要があると考える。アンケート結果より連携の大切さ、コミュニケーションの大切さを理解できたという意見があり外傷診療初期対応の部署間連携の重要性を理解する機会になったと考える。「防ぎえた外傷死」を回避するために、重症外傷対応に関する研修会を開催したことで実践的な協力体制に繋がったと考える。救命のためには医師、看護師、放射線科技師などの連携が円滑に実施されることが重要である。外傷重症度スコア(ISS)16点以上の重症外傷患者が初療室で死亡した件数は、平成29年は11名であったが平成30年は4名と減少し、外傷診療関わる看護師間の連携は患者救命の一助になったと考える。
1.目的
外傷患者が安全な治療を受けられるために、外傷診療初期対応の協力体制の重要性を理解する
2.方法
1) 期間:平成29年4月~平成30年12月
2) 外傷コアナースの活動(研修会の企画・運営)
① 重症外傷患者受け入れ準備から緊急手術出場までのシミュレーション
② 重症外傷患者対応時のコミュニケーション連携の重要性についてシミュレーション
③ 外傷診療ガイドラインについての講義
④ 緊急開胸術、緊急開腹術の適応についての講義
⑤ 開胸術、開腹術の準備、手順、観察、記録についての講義
3) ②~⑤の研修会開催後、参加者アンケートを実施
4) 倫理的な配慮:看護部倫理委員会の承認を得る
3.実際
重症外傷患者の予後は受傷から根本治療開始までの1時間が重要で予後を左右すると言われている。患者到着から30分以内に治療方針が決定されるため緊迫した診療と迅速な対応が求められる。そこで、重症外傷初期診療をイメージできるように①「重症外傷患者の受け入れ準備から緊急手術出場までのシミュレーション」を開催した。実際に重症外傷の応需が決定すれば、看護師1~2名で到着までに受け入れ準備を行うが限られた時間に滞りなく受け入れ準備ができないことがあり「準備物品がわからない」「準備が漏れていた」と意見があった。そのため「重症外傷患者受け入れ準備リスト」を作成しリストをもとに準備することで経験の差に関係なく準備が整うようにした。患者到着後は、複数の医師による処置、治療が行われる。医師から薬剤投与や処置介助の指示があり医師と看護師、看護師間のコミュニケーションが不十分のため重複した動きをしていたことや看護師の対応が遅延し記録が疎かになっていた。そこで②「重症外傷患者対応時のコミュニケーション連携の重要性について」の研修会を開催しコミュニケーションの取り方モデルを提示した。外傷診療初期対応の重要性や、看護師の役割の一つである記録の重要性の理解を得るために③「外傷診療ガイドライン」や④「緊急開胸、開腹術を初療室で行う適応について」の講義⑤「開胸術、開腹術の準備、手順、観察、記録について」の講義を開催した。アンケートの結果「診療の流れがイメージできた」「部署間の連携は重要だ」「伝わるように声に出す事が大切だ」「救命できるようにしたい」と意見があった。重症外傷の応需情報をOP室へ連絡すると、OP室看護師は緊急手術体制を整え、要請時は初療室へ協力体制が取れ、マンパワーが充実し救命できた事例もあった。
4.考察
外傷初期対応時は、患者の病態予測と即効性のある準備を行うように関連部署と連携をとる必要があると考える。アンケート結果より連携の大切さ、コミュニケーションの大切さを理解できたという意見があり外傷診療初期対応の部署間連携の重要性を理解する機会になったと考える。「防ぎえた外傷死」を回避するために、重症外傷対応に関する研修会を開催したことで実践的な協力体制に繋がったと考える。救命のためには医師、看護師、放射線科技師などの連携が円滑に実施されることが重要である。外傷重症度スコア(ISS)16点以上の重症外傷患者が初療室で死亡した件数は、平成29年は11名であったが平成30年は4名と減少し、外傷診療関わる看護師間の連携は患者救命の一助になったと考える。