[O24-5] ECPRにおける多職種チーム医療に関する認識調査
【はじめに】
院外心原性心肺停止における体外循環式心肺蘇生(以下ECPR)症例では、心肺蘇生法、低体温療法、PCIの早期併用が最も効果的であると示唆され、速やかな治療が救命と神経学的予後を左右し、チーム医療が重要となる。救急外来でのチーム医療は即席にメンバーが構成され、多職種が短時間で複雑に医療を展開することが特徴と言えるが、救急外来看護師からチーム医療実践の困難さを指摘する声があった。細田はチーム医療を「専門性志向」「患者志向」「職種構成志向」「協働志向」の4要素に分類されるとし、これらがバランスよく保たれるところに、医療専門職の考えるチーム医療の理想型があると述べている。そこで、ECPRに携わる多職種のチーム医療に対する認識を分析し、具体的な実践内容への課題を見出したいと考えた。
【目的】
ECPRに携わる多職種のチーム医療への認識、および職種間で差異がないかを明らかにする
【方法】
1)対象
ECPRに携わる多職種62名(救命救急医8名、循環器内科医8名、救急外来看護師15名、アンギオ看護師7名、臨床工学技士9名、臨床放射線技師15名)
2)方法
細田の4要素を取り入れ、研究者らで作成したチーム医療に関する質問紙調査。本研究においては、専門性志向は「各職種が専門的な知識・技術を持ち、専門性を発揮する」、患者志向は「医療者ではなく患者が中心であること」、職種構成志向は「チームに複数の職種がかかわること」、協働志向は「複数の職種が対等な立場で互いに尊敬し合い、協力し合って業務を行うこと」に関する内容とした。計30項目、4点を最高とした4段階評価を点数化し、職種別の平均を分析する。
【倫理的配慮】
当院倫理委員会の承認を得た。
【結果】
回収率は83%、そのうち有効回答であった69%を分析対象とした。全体の平均値は2.7で臨床工学技士が3.2と最も高く、放射線技師が2.2で最も低かった。チームリーダーは救命救急医が妥当と多くが回答した。多職種連携については、約半数が不足していると感じていた。
4要素を職種別にみると、最も高かった項目として医師は専門性志向、救急外来看護師は職種構成志向、アンギオ看護師は協働志向、臨床工学技士と放射線技師は患者志向であった。低かった項目は、医師と放射線技師が協働志向、看護師と臨床工学技士は専門性志向であった。30項目の中で、救急外来看護師が最も低かったのは、協働志向の「ECPRの際チームリーダーへ自らの意見が言いやすい」であった。
【考察】
職種によって点数の高い要素が異なり、4要素全てが満たされた結果から、専門的な特性を活かしECPRが成立しており、相補的な関係であるといえる。しかし、約半数が連携の不足を感じており、職種を超えて連携することの困難さに加え、チーム医療には明確な指標がないことも要因と考える。また、看護師は他職種との調整役を担っていると感じている一方、治療中に医師とコミュニケーションをとる困難さも感じていた。緊迫した場面で意見し、治療が中断されることへの懸念が考えられるが、医師が治療に熱中すると看護師とのコミュニケーションが途絶えがちになるともいわれている。患者退室後に、治療の一貫としてECPRに携わった多職種が様々な視点で意見を出し、治療中のチーム医療がどうであったかを評価し合う場を設けていく必要がある。
参考文献:細田満和子.(2007).チーム医療が、医療文化を変容させる.Nursing BUSINESS,1(12),20-25.
院外心原性心肺停止における体外循環式心肺蘇生(以下ECPR)症例では、心肺蘇生法、低体温療法、PCIの早期併用が最も効果的であると示唆され、速やかな治療が救命と神経学的予後を左右し、チーム医療が重要となる。救急外来でのチーム医療は即席にメンバーが構成され、多職種が短時間で複雑に医療を展開することが特徴と言えるが、救急外来看護師からチーム医療実践の困難さを指摘する声があった。細田はチーム医療を「専門性志向」「患者志向」「職種構成志向」「協働志向」の4要素に分類されるとし、これらがバランスよく保たれるところに、医療専門職の考えるチーム医療の理想型があると述べている。そこで、ECPRに携わる多職種のチーム医療に対する認識を分析し、具体的な実践内容への課題を見出したいと考えた。
【目的】
ECPRに携わる多職種のチーム医療への認識、および職種間で差異がないかを明らかにする
【方法】
1)対象
ECPRに携わる多職種62名(救命救急医8名、循環器内科医8名、救急外来看護師15名、アンギオ看護師7名、臨床工学技士9名、臨床放射線技師15名)
2)方法
細田の4要素を取り入れ、研究者らで作成したチーム医療に関する質問紙調査。本研究においては、専門性志向は「各職種が専門的な知識・技術を持ち、専門性を発揮する」、患者志向は「医療者ではなく患者が中心であること」、職種構成志向は「チームに複数の職種がかかわること」、協働志向は「複数の職種が対等な立場で互いに尊敬し合い、協力し合って業務を行うこと」に関する内容とした。計30項目、4点を最高とした4段階評価を点数化し、職種別の平均を分析する。
【倫理的配慮】
当院倫理委員会の承認を得た。
【結果】
回収率は83%、そのうち有効回答であった69%を分析対象とした。全体の平均値は2.7で臨床工学技士が3.2と最も高く、放射線技師が2.2で最も低かった。チームリーダーは救命救急医が妥当と多くが回答した。多職種連携については、約半数が不足していると感じていた。
4要素を職種別にみると、最も高かった項目として医師は専門性志向、救急外来看護師は職種構成志向、アンギオ看護師は協働志向、臨床工学技士と放射線技師は患者志向であった。低かった項目は、医師と放射線技師が協働志向、看護師と臨床工学技士は専門性志向であった。30項目の中で、救急外来看護師が最も低かったのは、協働志向の「ECPRの際チームリーダーへ自らの意見が言いやすい」であった。
【考察】
職種によって点数の高い要素が異なり、4要素全てが満たされた結果から、専門的な特性を活かしECPRが成立しており、相補的な関係であるといえる。しかし、約半数が連携の不足を感じており、職種を超えて連携することの困難さに加え、チーム医療には明確な指標がないことも要因と考える。また、看護師は他職種との調整役を担っていると感じている一方、治療中に医師とコミュニケーションをとる困難さも感じていた。緊迫した場面で意見し、治療が中断されることへの懸念が考えられるが、医師が治療に熱中すると看護師とのコミュニケーションが途絶えがちになるともいわれている。患者退室後に、治療の一貫としてECPRに携わった多職種が様々な視点で意見を出し、治療中のチーム医療がどうであったかを評価し合う場を設けていく必要がある。
参考文献:細田満和子.(2007).チーム医療が、医療文化を変容させる.Nursing BUSINESS,1(12),20-25.