第21回日本救急看護学会学術集会

Presentation information

一般演題(口演)

チーム医療

[O25] O25群 チーム医療②

Sat. Oct 5, 2019 3:20 PM - 4:20 PM 第8会場 (1F 中会議室102)

座長:小笠原 美奈(秋田赤十字病院)

[O25-1] 救急新聞が広げたチームの輪

尾崎 朋子, 川村 洋史 (北海道勤労者医療協会 勤医協中央病院 救急センター)

【目的】A病院救急センターは2017年の看護体制再編成に伴い異動者や既卒者が集まった。個々の経験、背景は様々であり救急看護を行う上で①救急看護における専門知識の獲得②チーム医療強化が急務の課題となった。そこで、救急看護における知識や良好な関係構築の手段として、救急新聞(以下KYUKYUワゴン)を作成し部署内に掲示した。KYUKYUワゴンは、多職種や認定看護師から記事を集め、知識向上・チーム連携を強調した内容で、季刊新聞として現在まで7回発行している。本研究では、KYUKYUワゴンが知識の共有やチーム医療推進の一助となったかを考察する。

【研究方法】研究期間:2018年11月~2019年3月 研究対象:A病院救急センターに勤務する看護師、医師・研修医、看護助手、事務クラーク データー収集方法:KYUKYUワゴン7枚を壁に提示し質問紙によるアンケート調査①KYUKYUワゴンを見た事があるか②KYUKYUワゴンの効果③記事を書いた事があるか④チーム医療について感じた事⑤今後の記事掲載への要望 データ分析方法:単純集計・自由記載についてはカテゴリー化して分析した。

【倫理的配慮】院内の倫理委員会承認後に書面で説明しプライバシーの配慮に努め実施した。

【結果】アンケート回収率89%、設問①見たことがある97%、設問②効果について複数選択肢から、多職種相互理解、コミュニケーション活性化、センター内の活性化が上位を占めた。設問③記事を書いたことがある「はい」29%「いいえ」79%であった。設問④自由記載のチーム医療に関して、看護師<多職種の記事掲載による知識の再確認と学習効果><相互理解によるチーム医療促進>、医師<コミュニケーション充実による情報共有とチーム一体感のツール>、事務<多職種からの情報認識による意欲向上>の4カテゴリー、⑤今後の記事掲載への要望に関しては内容充実に向け複数の意見が挙がった。

【考察】部署内でKYUKYUワゴンの周知が高い事がわかった。厚労省の2011年チーム医療推進方策ワーキンググループ会において「医療の質的改善を図る為にはコミュニケーション・情報の共有・業務の標準化3つの視点が重要であり、効率的な医療サービスを提供する為には情報の共有・業務の標準化が必要である」と報告されている。KYUKYUワゴンは、これらの内容を含んでおり多職種との相互理解を深め、良好なコミュニケーションを発展できる媒体であると考える。生田1)は書籍「救急外来新聞」において、「事例を題材にした新聞形式は、眼に見え、手に取ることで、暗黙知を形式に変換させることができるため、センター内スタッフ育成に効果的である」と述べている。これらから可視化されたKYUKYUワゴンは、トピックスをコンパクトに掲載した事で、知識の再確認や学習への興味、意欲の向上に繋がる効果があり、知識を向上させる情報を発信し、良好なコミュニケーションを発展させ、そこから職種を越えた共通理解の促進、チーム力を意識できる効果的な媒体であると考える。今後の記事掲載についての要望として新たな示唆を得ため、更にKYUKYUワゴンからチーム医療推進に向けた取り組みを目指して行きたい。

【結論】KYUKYUワゴンは、1.良好なコミュニケーションを発展させる媒体である。2.チーム力向上を意識できる媒体である。3.知識向上に繋がり共通理解を促進する媒体である。