第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(口演)

看護体制

[O26] O26群 看護体制

Sat. Oct 5, 2019 9:00 AM - 9:50 AM 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:合原 則隆(久留米大学病院 高度救命救急センター)

[O26-3] 2次救急病院における病棟看護師応援体制の構築に向けて

鈴木 清香, 細谷 美穂 (社会医療法人 入間川病院)

【目的】
 A病院は199床の地域密着型の2次救急指定病院であり、「断らない医療」を目指し、2011年の900件台から現在年間受け入れ件数が2000件へと増加した。さらに病院の方針として3000件の受け入れを目標としている。A病院は当直医2名、外来看護師1名で夜間救急対応をしているが、救急搬送の約半数は夜間帯に集中し、帰宅時間帯の18時台に救急車が重複することが多い。救急対応が重複した際、病棟看護師の応援体制を図っているが、救急対応未経験者が多く、能力にばらつきがありスムーズな受け入れが困難な場合があった。そこで、外来・病棟看護師で救急受け入れ時の流れについてシミュレーション研修を行い、役割の明確化、さらに物品配置の整備をし、効果的な救急受け入れ体制の構築を図ったので報告する。

【方法】
研修対象:夜勤をする外来看護師11名、病棟看護師13名 調査方法:シミュレーション研修を行う前後の、外来・病棟看護師への応援体制に向けた意識調査 データ分析  実践方法:シミュレーション研修、物品の整備

【倫理的配慮】
本研究は、院内倫理委員会の承認を得た

【結果】
 実施前のアンケート集計から、外来看護師から、病棟看護師への采配方法に戸惑う者が7割を占め、病棟看護師は、救急対応経験が未経験で自信がないという意見が8割以上あった。このことにより、①夜間応援体制の役割が不明瞭なこと②物品の整備不足によって、現場の混乱を招いていたが分かった。そのことから、①に対して、外来看護師Aは受け入れから診察介助、指示受けをし、病棟看護師Bが検査回り、点滴などの看護師Aのサポート役として、介入してもらった。さらに基本は外来看護師が中心となり受け入れを行うが、患者重複時には役割交代をすることもあり、必要以上に連絡を取り合わず、迅速な対応ができるよう行動基準をあらかじめ定めた。②に対して、救急物品をトレイにセット化し、セット内容を壁に掲示することで、物品を探すことなく、作業ができる工夫をした。さらに夜間に入る直前の全体夕礼時、救急担当看護師は救急物品を直前点検を目視して、救急受け入れの準備とイメージを持つことにした。その結果、実施後アンケートでは、外来・病棟看護師両者から、役割を明確化することで、業務に専念できた、物品配置の見える化の重要性を認識できたと7割の意見があり、外来、病棟看護師ともにシミュレーション研修、物品配置の整備の効果を実感できた結果となった。

【考察】
 救急受け入れを強化していくことは、限られた人員を有効に、かつ効果的に人員配置し、応援体制を充実させていくかが重要な課題となった。看護師経験値が豊富であっても、不慣れな環境、物品の配置把握不足では、迅速な対応を求める現場では、柔軟な対応は困難である。今回、夜間応援体制の行動内容を明確化し、救急対応のための物品整備をすることで、関わる看護師のストレス軽減、行動意欲へとつなげることができた。さらに、救急対応中に不必要な声かけが減り、迅速な急変対応、外来全体の流れも円滑に遂行できる体制となった。
 現在、A病院は救急件数年間2000件であり、「断らない医療」、さらに安定した地域医療貢献に努め、今後は目標の救急受け入れ3000件の安定化を目指していきたいと考える。どの看護師でも、決まった行動がとれる行動基準を定め、どんな救急内容であっても、訓練された看護対応、均等な能力向上にむけ、今後も効果的な救急受け入れ体制を目指していきたいと考える。