[O27-1] 二次救急施設で働く看護師の職業的ストレスと心身状態との関連―中国地方を対象とした調査研究―
【目的】本研究では、二次救急施設で働く看護師を対象に、職業的ストレスとその心身状態との関連を明らかにすることを目的とする。
【方法】中国地方5県のうち100床から499床以下の中規模病院100施設を抽出した。調査は、無記名式質問用紙で行った。質問紙の配布に先立ち、看護部長へ研究趣旨を紙面で説明し、協力の依頼状を送付した。調査協力の同意を得た26施設の二次救急看護師389人に質問紙を送付し無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容を個人要因(看護実践能力、職場状況、基本属性)、ストレス認知(職業的ストレスNusing Stress Scale:NSS)、心身反応(Public health Research Foundationストレスチェックリストショートホーム:PHRF)で構成し、個人要因と職業的ストレスの関連をt検定及び一元配置分散分析により検討した。NSS(7因子)【死と死にゆくこと】【医師との葛藤】【不十分な準備】【サポート不足】【他の看護師との葛藤】【労働量】【不適切な処置】を独立変数、「疲労・身体反応」「不安・不確実感」「自律神経反応」「うつ気分・不全感」をそれぞれ従属変数、個人属性のうち「性別」「救急経験年数」「職位」「勤務形態」「看護体制」「看護実践能力」を統制変数として従属変数ごとに重回帰分析を行った。本研究は、新見公立大学倫理審査委員会の承認(承認番号157)を得て実施した。
【結果】回答が得られた232 部(回収率59.6%)のうち、各項目に欠損値のない232 部を分析対象とした。個人要因の特徴として、40~50歳が最も多く(38.4%)、勤務形態も兼務が82.8%であった。看護体制は、2人体制が最も多く日勤が54.7%、夜勤が54.7%であった。NSSは平均41.6±12.9で、平均的にストレスを感じている者48.7%(177名)が最も多かった。t検定および一元配置分散分析の結果、個人要因別の職業的ストレス平均得点の間に有意差は認められなかった。重回帰分析の結果、【他の看護師との葛藤】と「疲労・身体反応」「自律神経反応」「うつ気分反応」との間に有意な正の関連がみられた。【労働量】と「疲労・身体反応」「不安・不確実」「うつ気分」との間に有意な正の関連がみられた。【不適切な処置】と「疲労・身体反応」との間に有意な負の関連がみられた。
【考察】本研究の結果から、他の看護師による職業的ストレスが高い者ほど、心身状況の「疲労・身体反応」「自律神経反応」「うつ気分反応」が大きいことが明らかになった。心身状態を高めるためには、他の看護師からのストレスを感じている看護師への支援方法を検討する必要がある。また、看護師同士の関係が良くなると「身体疲労」、「自律神経反応」、「うつ気分反応」が改善することから上司による定期的な面接や相談ができる機会を設けるなどの支援が必要である。【労働量】の軽減は、業務支援次第で改善が可能である。
二次救急施設は8割以上が兼務で、半数以上が2人体制である。多くの処置を小人数で行うことや、二次救急で期待されている役割を果たすことなど、労働量からうけるストレスが身体に蓄積されている現状がある。今後は業務内容の整備や、他職種間の支援体制の見直しを行うこと、救急に特化した研修会の企画を行い救急看護に求められるアセスメント能力の向上を図ることが心身疲労を軽減させる可能性を示唆している。
【方法】中国地方5県のうち100床から499床以下の中規模病院100施設を抽出した。調査は、無記名式質問用紙で行った。質問紙の配布に先立ち、看護部長へ研究趣旨を紙面で説明し、協力の依頼状を送付した。調査協力の同意を得た26施設の二次救急看護師389人に質問紙を送付し無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容を個人要因(看護実践能力、職場状況、基本属性)、ストレス認知(職業的ストレスNusing Stress Scale:NSS)、心身反応(Public health Research Foundationストレスチェックリストショートホーム:PHRF)で構成し、個人要因と職業的ストレスの関連をt検定及び一元配置分散分析により検討した。NSS(7因子)【死と死にゆくこと】【医師との葛藤】【不十分な準備】【サポート不足】【他の看護師との葛藤】【労働量】【不適切な処置】を独立変数、「疲労・身体反応」「不安・不確実感」「自律神経反応」「うつ気分・不全感」をそれぞれ従属変数、個人属性のうち「性別」「救急経験年数」「職位」「勤務形態」「看護体制」「看護実践能力」を統制変数として従属変数ごとに重回帰分析を行った。本研究は、新見公立大学倫理審査委員会の承認(承認番号157)を得て実施した。
【結果】回答が得られた232 部(回収率59.6%)のうち、各項目に欠損値のない232 部を分析対象とした。個人要因の特徴として、40~50歳が最も多く(38.4%)、勤務形態も兼務が82.8%であった。看護体制は、2人体制が最も多く日勤が54.7%、夜勤が54.7%であった。NSSは平均41.6±12.9で、平均的にストレスを感じている者48.7%(177名)が最も多かった。t検定および一元配置分散分析の結果、個人要因別の職業的ストレス平均得点の間に有意差は認められなかった。重回帰分析の結果、【他の看護師との葛藤】と「疲労・身体反応」「自律神経反応」「うつ気分反応」との間に有意な正の関連がみられた。【労働量】と「疲労・身体反応」「不安・不確実」「うつ気分」との間に有意な正の関連がみられた。【不適切な処置】と「疲労・身体反応」との間に有意な負の関連がみられた。
【考察】本研究の結果から、他の看護師による職業的ストレスが高い者ほど、心身状況の「疲労・身体反応」「自律神経反応」「うつ気分反応」が大きいことが明らかになった。心身状態を高めるためには、他の看護師からのストレスを感じている看護師への支援方法を検討する必要がある。また、看護師同士の関係が良くなると「身体疲労」、「自律神経反応」、「うつ気分反応」が改善することから上司による定期的な面接や相談ができる機会を設けるなどの支援が必要である。【労働量】の軽減は、業務支援次第で改善が可能である。
二次救急施設は8割以上が兼務で、半数以上が2人体制である。多くの処置を小人数で行うことや、二次救急で期待されている役割を果たすことなど、労働量からうけるストレスが身体に蓄積されている現状がある。今後は業務内容の整備や、他職種間の支援体制の見直しを行うこと、救急に特化した研修会の企画を行い救急看護に求められるアセスメント能力の向上を図ることが心身疲労を軽減させる可能性を示唆している。