第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

メンタルヘルス

[O27] O27群 メンタルヘルス

2019年10月5日(土) 10:00 〜 11:00 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:中野 英代(佐賀大学医学部附属病院)

[O27-3] 二次救急における夜間のCPA患者対応時の看護師の不安要因 ―インタビューの結果から―

木村 幹 (福島県立南会津病院)

【目的】夜間外来でCPA患者が搬送され救急対応する時、A病院の中堅看護師が不安に感じる要因について明らかにする。(用語の定義)中堅看護師:外来経験年数5~10年未満の看護師をいう。
【方法】研究対象:A病院外来に勤務しており外来経験年数5年以上10年未満、夜間救急外来にてCPA対応の経験がある看護師7名 研究期間:平成30年8月の1ヶ月間 データの収集方法:半構成面接法 今までCPA患者対応した中で困ったり心配したことを自由に語ってもらった。インタビューはプライバシーが守られる個室を利用し1対1で行った。対象の同意を得てICレコーダーに録音した。 データの分析方法:ICレコーダーから逐語録を作成した。CPA患者が搬送され対応する時にどのような不安を感じたのかをコード化・分類しカテゴリー化を行った。分析結果は指導者のスーパーバイズを受けた。倫理的配慮:本研究はA病院の管理部門での倫理審査を受け承認を得て実施した。研究データ及び結果は研究の目的以外に用いない、ICレコーダー及びUSBメモリーの内容は研究者が分析・調査し得られた情報は鍵のかかる机に保管する。結果がまとまった後、第三者立ち会いのもと消去、破棄する、研究結果は関連する看護研究発表会で公表することを口頭及び文書にて説明した。尚、本研究に関連して開示すべき利益相反関係にある企業はない。
【結果】全対象者のデータから28のコード8つのサブカテゴリー4つのカテゴリーに分類された。【マンパワー不足と多忙な業務】では<マンパワー不足による対応の困難さ><他患者も対応することの困難さ><救急隊の協力と連携>が抽出された。【医師の輪番制勤務】では<当直医師による対応の違い>が抽出された。【スタッフによるCPAの経験の差】では<スタッフによるCPA対応力の差>が抽出された。【医師との関係】では<コミュニケーション不足>が抽出された。
【考察】【マンパワー不足と多忙な業務】では看護師2名医師1名で様々な業務に対応しなければならないという救急体制でのコードとCPA対応しながらも他患者を対応することの困難さが抽出された。早急な診療を必要とするか否かを判断するマネジメント能力を求められることから不安を感じていると考える。【医師の輪番制勤務】では「医師による薬剤投与タイミングの違い」「医師によりCPA対応の動き方が異なる」が抽出された。当直医師の指示の違いにより不安を感じているといえる。また、CPA対応の経験が少ない看護師が実際にCPA対応した際、学習してきたものとの様々な違いに不安を感じていると考える。【スタッフによるCPAの経験の差】では「経験の浅い看護師とペアになることで不安を感じる」「若い看護師とのペアになることで不安を感じる」等が抽出された。A病院のCPA搬送件数は年間30件と経験する機会が少なく、毎回異なる症例である。ゆえに中堅看護師も不安を感じ続けると考える。【医師との関係】では「医師の方針が看護師に伝わらない」「医師から看護師への指示の遅れ」等のコードが抽出された。医師とのコミュニケーションがうまく図れない焦りから不安を生じていたと考える。医師と看護師の間で互いの立場を尊重するばかりに意見の交換が図れないことがコミュニケーション不足の一因であると考える。
今後、医師と看護師間でカンファレンス等を通し速やかなCPA対応ができるよう検討していきたいと考える。