[O27-6] ドクターカー同乗看護師が感じている想い
Ⅰ.目的
A病院では2007年よりB市からの依頼により、医療圏内の救命率向上のためドクターカーを導入した。近年、プレホスピタルからの医療提供の需要は高く、B市においてもドクターカー出動は年々増加している。しかし、プレホスピタルでの活動に必要な知識やスキルを身に付けている看護師においても、緊急性の高い疾病、あらゆるライフステージの傷病者の対応を1人で行う事のストレス度は高い。今回、プレホスピタルでの看護活動を語ることで、現場で感じる戸惑いや不安・ジレンマなどの複雑な心情を明らかにし、ドクターカー同乗看護師教育の課題を見出すこととした。
Ⅱ.研究方法
1.調査対象:A病院ドクターカー同乗看護師5名
2.研究期間:平成30年7月~平成30年12月
3.データー収集方法①ドクターカー同乗看護師に対して、インタビュー実施前に「今も心に残っている事例」について聞き取り調査。②①の調査内容をもとに、ドクターカー同乗看護師に対して半構造化インタビューを実施。③インタビューの内容を録音し、逐語録を作成。
4.分析方法:逐語録と語りの文脈から「想い」の部分を抽出し、カテゴリー化した。
Ⅲ.倫理的配慮
A病院倫理審査委員会の承認を得て研究を実施。研究対象者へは口頭と文書で研究目的と方法を説明し、実施日への参加をもって同意を得たとした。
Ⅳ.結果
結果は、22のコード、5つのサブカテゴリーと2つのカテゴリーを抽出した。『ドクターカー内で行うケア・処置についての思い』『現場からの家族対応への役割認識と難しさ』というサブカテゴリーから、【ジレンマ】というカテゴリーを抽出した。その中で、「患者へのケアだけでなく家族看護もしないといけないし、やろうと思っても1人では手が足りない」や「緊迫した状況での家族への言葉かけに苦慮する」といった声が聞かれた。『チーム間での協働とコミュニケーションの重要性』『提供したケアへの客観的(他者)評価の困難さ』『現場の状況および活動がもたらす精神的ストレス』というサブカテゴリーから、【ストレス】というカテゴリーが抽出された。語りの場では、スタッフより「みんな同じことを想っていると分かり安心した」「他者の意見が聞けると自分の振り返りになる」等の声が聞かれた。
Ⅴ.考察
今回の語りの中で、同乗看護師は出動事案・状況は違っても同じ想いを抱えていることがわかった。特に、家族対応について様々な想いがあり、対応に苦慮している現状が見られた。プレホスピタルにおいて、家族は傷病者の突然の急病や受傷による状態変化を目の当たりにする。そして危機の状態に陥り大きな不安やストレスを抱えることになる。その際、同乗看護師には、家族の危機的状況に迅速、適切に介入していくことが求められる。しかし、家族の不安やストレスの表出の仕方は様々であり、同乗看護師はどのような言葉がけや介入が適切なのか判断に苦慮し、模索する事が多い現状であることが明確となった。今回、語り合うことで家族看護に対する不安要素が多く聞かれた。以上の事から、家族看護や介入方法についての学習が不足していることが課題として見えてきた。
Ⅵ.結語
語りの場は、同様の経験を持つ者同士で想いを共有する点で重要である。また、語りの中から家族看護や介入方法についての学習が不足していることが課題として示唆された。
A病院では2007年よりB市からの依頼により、医療圏内の救命率向上のためドクターカーを導入した。近年、プレホスピタルからの医療提供の需要は高く、B市においてもドクターカー出動は年々増加している。しかし、プレホスピタルでの活動に必要な知識やスキルを身に付けている看護師においても、緊急性の高い疾病、あらゆるライフステージの傷病者の対応を1人で行う事のストレス度は高い。今回、プレホスピタルでの看護活動を語ることで、現場で感じる戸惑いや不安・ジレンマなどの複雑な心情を明らかにし、ドクターカー同乗看護師教育の課題を見出すこととした。
Ⅱ.研究方法
1.調査対象:A病院ドクターカー同乗看護師5名
2.研究期間:平成30年7月~平成30年12月
3.データー収集方法①ドクターカー同乗看護師に対して、インタビュー実施前に「今も心に残っている事例」について聞き取り調査。②①の調査内容をもとに、ドクターカー同乗看護師に対して半構造化インタビューを実施。③インタビューの内容を録音し、逐語録を作成。
4.分析方法:逐語録と語りの文脈から「想い」の部分を抽出し、カテゴリー化した。
Ⅲ.倫理的配慮
A病院倫理審査委員会の承認を得て研究を実施。研究対象者へは口頭と文書で研究目的と方法を説明し、実施日への参加をもって同意を得たとした。
Ⅳ.結果
結果は、22のコード、5つのサブカテゴリーと2つのカテゴリーを抽出した。『ドクターカー内で行うケア・処置についての思い』『現場からの家族対応への役割認識と難しさ』というサブカテゴリーから、【ジレンマ】というカテゴリーを抽出した。その中で、「患者へのケアだけでなく家族看護もしないといけないし、やろうと思っても1人では手が足りない」や「緊迫した状況での家族への言葉かけに苦慮する」といった声が聞かれた。『チーム間での協働とコミュニケーションの重要性』『提供したケアへの客観的(他者)評価の困難さ』『現場の状況および活動がもたらす精神的ストレス』というサブカテゴリーから、【ストレス】というカテゴリーが抽出された。語りの場では、スタッフより「みんな同じことを想っていると分かり安心した」「他者の意見が聞けると自分の振り返りになる」等の声が聞かれた。
Ⅴ.考察
今回の語りの中で、同乗看護師は出動事案・状況は違っても同じ想いを抱えていることがわかった。特に、家族対応について様々な想いがあり、対応に苦慮している現状が見られた。プレホスピタルにおいて、家族は傷病者の突然の急病や受傷による状態変化を目の当たりにする。そして危機の状態に陥り大きな不安やストレスを抱えることになる。その際、同乗看護師には、家族の危機的状況に迅速、適切に介入していくことが求められる。しかし、家族の不安やストレスの表出の仕方は様々であり、同乗看護師はどのような言葉がけや介入が適切なのか判断に苦慮し、模索する事が多い現状であることが明確となった。今回、語り合うことで家族看護に対する不安要素が多く聞かれた。以上の事から、家族看護や介入方法についての学習が不足していることが課題として見えてきた。
Ⅵ.結語
語りの場は、同様の経験を持つ者同士で想いを共有する点で重要である。また、語りの中から家族看護や介入方法についての学習が不足していることが課題として示唆された。