第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

地域連携

[O28] O28群 地域連携

2019年10月5日(土) 11:10 〜 11:50 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:町田 真弓(前橋赤十字病院)

[O28-3] 救命救急病棟における退院支援に関する家族介入への現状調査

南田 実希, 榎谷 美智子, 吉井 伸栄, 道山 和恵 (奈良県立医科大学附属病院)

Ⅰ.目的

 看護師は入院後早期に患者、家族の背景や思いを情報収集する必要がある。しかし救命センターでは患者本人から情報を得にくい事や心理・社会的なハイリスク要因を抱えているなど様々な要因から、情報収集が困難な状況が多い。スタッフが退院支援に向けて家族からどのように情報収集し、介入しているのかインタビュー形式で調査を行い、現状把握することで課題を明確化し今後の退院支援の質向上につなげる。



Ⅱ.方法

調査期間:2018年1月~9月

研究対象:HCU病棟で1年以上経験のある、退院支援に関わったことがあり同意を得られたスタッフ24名

研究方法:研究者が独自に作成したインタビューガイドを用いて、半構成的面接を実施した。面接内容は対象者の了承のもとICレコーダーによる録音を行った。

分析方法:録音内容を逐語録に起こし、KJ法を用いてコード化、サブカテゴリー・カテゴリーに分類した。



Ⅲ.倫理的配慮

 奈良県立医科大学附属病院医の倫理委員会の承認後、対象者に目的と方法、研究で得られた情報は本研究以外では使用しない事、いつでも辞退できることを文章と口頭で説明した。



Ⅳ.結果

 カテゴリー分類した結果を表1に示す。
 治療優先や多忙などの理由で退院支援まで意識できていないスタッフもいる。家族に対し意識している事は、退院後の生活に関することや不安、理解度であった。また、家族背景として身寄りがない事や家族が遠方である。





Ⅴ.考察

 退院支援を開始する際、家族に対して早期介入は不可欠である。救命センターの特性として、入院時は治療優先となる事や多忙なために家族へ早期介入が困難な状況が多い。また突然の入院による状況変化や予後の不安に対して、家族の受け入れに時間を要する事もある。看護師は退院支援に関して家族の思いや希望に添えず葛藤しながら遂行していることが考えられる。家族の危機状態を理解し、MSWの介入のみならず、専門的な知識をもつ退院支援に特化した医療チームの介入も必要ではないかと考える。看護師が個々に家族の希望を明らかにし、早期に必要なサポートをより充実させていく為の検討が必要である。



Ⅵ.結論

救命センターの特性として、入院時は治療優先となる事や多忙なため家族へ早期介入が困難な状況である
退院支援を遂行と家族の希望に添えないというジレンマを抱えながら退院支援を実行している
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