[O29-4] 院内トリアージの質向上への取り組み~看護記録用紙の改定とJTAS再教育の効果~
院内トリアージの質向上への取り組み
~看護記録用紙の改定とJTAS再教育の効果~
〇大田 麻美 堀江 健太
日本赤十字社 伊勢赤十字病院
【背景】当救命救急センターは地域の中核病院として一次~三次救急患者の受け入れを行っている。2018年度救急患者の受け入れ人数は17628名、そのうちウォークイン患者は7332名である。当施設ではウォークインで来院した患者全員にJTASを使用し院内トリアージを実施している。昨年度実施した院内トリアージの研究結果から、発熱、めまい、疼痛症例にアンダートリアージ(以下UT)が多く、その要因としてJTASに沿った具体的な問診や観察(特に呼吸回数の測定)が出来ていないことが判明した。そのため、看護記録用紙の改訂とJTASの再教育を行なった。【目的】JTASの再教育と院内トリアージの際に使用する看護記録用紙を見直すことによる効果を明らかにする。【方法】看護記録用紙改定前の2018年9月21日から30日と看護記録用紙改定後の同年12月21日から30日にウォークインで来院した患者(改訂前111名、改訂後110名)の看護記録用紙の記載内容を確認し、JTAS2017を用いてUTとオーバートリアージ(以下OT)の件数をカウントした。さらに、院内トリアージに関わる看護師(13名)を対象に看護記録用紙改定前後で『呼吸回数』の測定が実施できているか、『発熱』『めまい』『痛み』の項目の問診や観察が実施できているかと、『JTAS参照のためタブレットを使用しているか』についてアンケート調査を行った。【倫理的配慮】研究者が所属するA病院の倫理委員会で承認を得た。【結果】看護記録用紙改定前UT 14%、OT 3%に対して、改定後UT 17%、OT 0.6%であった。呼吸回数の記載率については改訂前42%に対して改定後63%であった。改定後に必要な項目の問診や観察が出来ているかを、5(出来ている)4(大体出来ている)3(半分出来ている)2(あまり出来ていない)1(全く出来ていない)の5段階評価でアンケートを実施した。5と回答した割合は『発熱』については改訂前0%に対し改定後は8%、『めまい』については改定前0%に対し改定後8%、『腹痛』については改定前0%に対し改定後8%、『痛みの評価でペインスケールを使用しているか』については改定前23%に対し改定後54%であった。『JTAS参照のためタブレットを使用するか』については5と回答した割合は改定前0%に対し、改定後15%であった。【考察】JTAS再教育時に呼吸回数の重要性を強調し伝えた。さらに看護記録用紙改定時にバイタルサイン記載欄の呼吸回数を先頭に持ってきたことにより、視覚的にも意識できるようになり呼吸回数の記載率が増加したと考えられる。また、タブレットを必ず使用する割合が増加したことも必要な問診や観察が出来るようになった要因と考える。今回の取り組みではUTは減少しなかったが、項目別の結果では症状に対し必要な問診や観察が出来ているという割合が一部増加した。このことは、看護記録用紙の改定とJTASの再教育により必要な項目の問診や観察に対する意識がやや向上したと考えられる。今後は院内トリアージの質向上のため、患者の状態に合わせた必要な問診ができるよう個々のスキル向上と看護記録用紙の再度見直し、タブレットの使用方法を検討したい。
~看護記録用紙の改定とJTAS再教育の効果~
〇大田 麻美 堀江 健太
日本赤十字社 伊勢赤十字病院
【背景】当救命救急センターは地域の中核病院として一次~三次救急患者の受け入れを行っている。2018年度救急患者の受け入れ人数は17628名、そのうちウォークイン患者は7332名である。当施設ではウォークインで来院した患者全員にJTASを使用し院内トリアージを実施している。昨年度実施した院内トリアージの研究結果から、発熱、めまい、疼痛症例にアンダートリアージ(以下UT)が多く、その要因としてJTASに沿った具体的な問診や観察(特に呼吸回数の測定)が出来ていないことが判明した。そのため、看護記録用紙の改訂とJTASの再教育を行なった。【目的】JTASの再教育と院内トリアージの際に使用する看護記録用紙を見直すことによる効果を明らかにする。【方法】看護記録用紙改定前の2018年9月21日から30日と看護記録用紙改定後の同年12月21日から30日にウォークインで来院した患者(改訂前111名、改訂後110名)の看護記録用紙の記載内容を確認し、JTAS2017を用いてUTとオーバートリアージ(以下OT)の件数をカウントした。さらに、院内トリアージに関わる看護師(13名)を対象に看護記録用紙改定前後で『呼吸回数』の測定が実施できているか、『発熱』『めまい』『痛み』の項目の問診や観察が実施できているかと、『JTAS参照のためタブレットを使用しているか』についてアンケート調査を行った。【倫理的配慮】研究者が所属するA病院の倫理委員会で承認を得た。【結果】看護記録用紙改定前UT 14%、OT 3%に対して、改定後UT 17%、OT 0.6%であった。呼吸回数の記載率については改訂前42%に対して改定後63%であった。改定後に必要な項目の問診や観察が出来ているかを、5(出来ている)4(大体出来ている)3(半分出来ている)2(あまり出来ていない)1(全く出来ていない)の5段階評価でアンケートを実施した。5と回答した割合は『発熱』については改訂前0%に対し改定後は8%、『めまい』については改定前0%に対し改定後8%、『腹痛』については改定前0%に対し改定後8%、『痛みの評価でペインスケールを使用しているか』については改定前23%に対し改定後54%であった。『JTAS参照のためタブレットを使用するか』については5と回答した割合は改定前0%に対し、改定後15%であった。【考察】JTAS再教育時に呼吸回数の重要性を強調し伝えた。さらに看護記録用紙改定時にバイタルサイン記載欄の呼吸回数を先頭に持ってきたことにより、視覚的にも意識できるようになり呼吸回数の記載率が増加したと考えられる。また、タブレットを必ず使用する割合が増加したことも必要な問診や観察が出来るようになった要因と考える。今回の取り組みではUTは減少しなかったが、項目別の結果では症状に対し必要な問診や観察が出来ているという割合が一部増加した。このことは、看護記録用紙の改定とJTASの再教育により必要な項目の問診や観察に対する意識がやや向上したと考えられる。今後は院内トリアージの質向上のため、患者の状態に合わせた必要な問診ができるよう個々のスキル向上と看護記録用紙の再度見直し、タブレットの使用方法を検討したい。