[O3-1] 急性期病棟における急変対応教育導入と有用性の検討 ~急変対応の実践能力の向上を目指して~
【はじめに】急性期病棟では侵襲の高い治療を受ける機会が多く、病態悪化により急変する可能性は高い。そのため看護師は、合併症の発生予防などのほか、より高い急変対応の実践能力が求められる。A病院でも、BLS、ACLS、KIDUKIコースを定期開催している。しかし病棟看護師は、急変に対応した経験が少なく、急変対応の知識や技術に未熟さを感じ不安を持つ者が多い。そこで今回、急性期病棟看護師の急変対応の実践能力向上のため、シミュレーションなどを用いた教育を実践し、その有用性について検討した。
【目的】患者急変の対応経験が少ない急性期病棟看護師の急変対応実践能力の向上のため、教育を実践し、その有用性を検討する。
【倫理的配慮】質問紙は個人を特定できないようにし、対象者には口頭で説明、回答提出をもって同意を得ることとした。本研究はA病院研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【方法】対象:A病院の急性期病棟看護師18名。研究期間:2017年5月1日~2019年4月30日。教育方法:急変対応の勉強会を研究期間に4回実施。第1回症状別急変対応、第2回心肺停止後の対応、第3回急変の気づきと対応方法、第4回患者急変事例に関するシナリオを作成、シミュレーターを用いた急変対応シミュレーションの勉強会を実施した。また期間中に発生した患者急変事例は、行動や思考過程の振り返りのためのデブリーフィングを実施した。
データ収集・分析方法:無記名式質問紙とし、蘇生処置に必要な知識や技術の習得状況などに関する質問紙を作成、急変対応教育の前後で配布・回収、単純集計し比較検討した。
【結果】質問紙の回収率は100%、有効回答率94%であった。対象者の5年以内の院内BLS受講率41%、急変対応の回数は0回35%、1回35%であった。教育前は、挿管の介助に関する知識の理解20%以下が8名、技術の理解20%以下が10名であった。バッグバルブマスクに関する知識の理解20%以下が5名、技術の理解20%以下が5名であった。教育後は、挿管の介助に関する知識の理解20%以下が0名、技術の理解20%以下が0名であった。バッグバルブマスクに関する知識の理解20%以下が0名、技術の理解20%以下が0名であった。またデブリーフィングの実施では15人が良かったとの回答を得た。その理由として自身の行動を振り返ることができ、次に繋げることができるといった意見が得られた。
【考察】シミュレーションやデブリーフィングを用いた急変対応教育は、急変対応の知識・技術ともに、理解度は調査前より向上しており、看護師の急変対応実践能力の向上につながったと考える。教育において、急変の兆候や生理学的評価(ABCDE)が実践できるよう独自のシナリオを作成し、シミュレーションを実施したことは、迅速な蘇生処置が実施できるよう優先順位を判断する実践能力の向上に効果的であった。また実際の場面を振り返るツールであるデブリーフィングを実施することで、自身の行動や思考過程を振り返ることができ、どのような前駆症状が患者に繋がるのか、気づくきっかけとなり、初期対応行動に大きく影響を及ぼしたと考える。蘇生処置では良質なCPRが重要であり、この教育を通じ、急変を経験する機会が少ない急性期病棟看護師の質の高いCPRの技術習得にも有効であった。
【まとめ】急性期病棟看護師の急変対応の実践能力の向上を目指し、教育を実践し、その有用性を検討した。患者急変対応の経験が少ない看護師に、シミュレーション、デブリーフィングを用いた教育は、急変対応に必要な知識や技術習得の向上に効果があった。
【目的】患者急変の対応経験が少ない急性期病棟看護師の急変対応実践能力の向上のため、教育を実践し、その有用性を検討する。
【倫理的配慮】質問紙は個人を特定できないようにし、対象者には口頭で説明、回答提出をもって同意を得ることとした。本研究はA病院研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【方法】対象:A病院の急性期病棟看護師18名。研究期間:2017年5月1日~2019年4月30日。教育方法:急変対応の勉強会を研究期間に4回実施。第1回症状別急変対応、第2回心肺停止後の対応、第3回急変の気づきと対応方法、第4回患者急変事例に関するシナリオを作成、シミュレーターを用いた急変対応シミュレーションの勉強会を実施した。また期間中に発生した患者急変事例は、行動や思考過程の振り返りのためのデブリーフィングを実施した。
データ収集・分析方法:無記名式質問紙とし、蘇生処置に必要な知識や技術の習得状況などに関する質問紙を作成、急変対応教育の前後で配布・回収、単純集計し比較検討した。
【結果】質問紙の回収率は100%、有効回答率94%であった。対象者の5年以内の院内BLS受講率41%、急変対応の回数は0回35%、1回35%であった。教育前は、挿管の介助に関する知識の理解20%以下が8名、技術の理解20%以下が10名であった。バッグバルブマスクに関する知識の理解20%以下が5名、技術の理解20%以下が5名であった。教育後は、挿管の介助に関する知識の理解20%以下が0名、技術の理解20%以下が0名であった。バッグバルブマスクに関する知識の理解20%以下が0名、技術の理解20%以下が0名であった。またデブリーフィングの実施では15人が良かったとの回答を得た。その理由として自身の行動を振り返ることができ、次に繋げることができるといった意見が得られた。
【考察】シミュレーションやデブリーフィングを用いた急変対応教育は、急変対応の知識・技術ともに、理解度は調査前より向上しており、看護師の急変対応実践能力の向上につながったと考える。教育において、急変の兆候や生理学的評価(ABCDE)が実践できるよう独自のシナリオを作成し、シミュレーションを実施したことは、迅速な蘇生処置が実施できるよう優先順位を判断する実践能力の向上に効果的であった。また実際の場面を振り返るツールであるデブリーフィングを実施することで、自身の行動や思考過程を振り返ることができ、どのような前駆症状が患者に繋がるのか、気づくきっかけとなり、初期対応行動に大きく影響を及ぼしたと考える。蘇生処置では良質なCPRが重要であり、この教育を通じ、急変を経験する機会が少ない急性期病棟看護師の質の高いCPRの技術習得にも有効であった。
【まとめ】急性期病棟看護師の急変対応の実践能力の向上を目指し、教育を実践し、その有用性を検討した。患者急変対応の経験が少ない看護師に、シミュレーション、デブリーフィングを用いた教育は、急変対応に必要な知識や技術習得の向上に効果があった。