[O30-4] 舌の腫脹を主訴に来院した独歩患者の緊急度の高い院内トリアージ
【はじめに】
A病院では、独歩患者に対し電話連絡を受けその後、患者が来院しトリアージ看護師が院内トリアージを実施している。今回、舌の腫脹を主訴に血管神経性浮腫と診断されていた独歩患者が来院し緊急度の高いトリアージを行った。本報告では、トリアージ看護師は情報収集から優先順位をつけ、緊急度を判断し医師の診察に繋げていくことの重要性を学んだため報告する。
【倫理的配慮】
A病院の倫理委員会の承認を得た。匿名化し、情報管理を徹底した。
【症例】
A氏50歳代女性。電話連絡での主訴は舌の腫脹。午前3時頃、目が覚めた際右舌の腫脹に気付いたため処方されているセレスタミンを内服したがその後20分の間に右舌の腫脹が悪化したため3時45分に独歩で来院。
来院時、右舌に軽度の腫脹がみられた。第一印象は、会話可能で呼吸困難感なし。ショック症状はみられず重症感がないことからトリアージブースでの問診は可能と判断。問診と同時にバイタルサインの測定を行った。体温35.8度、脈拍数77回/分、呼吸数20回/分、血圧175/108mmHg、SPO2:96%。既往歴にクインケ浮腫と聴取した時点で、直ちに蘇生室へ入室させ、モニタリングとSPO2測定を開始した。同時に医師に診察を依頼し、ポララミン静注が開始となった。点滴施行中は、呼吸困難感なくSPO2:98%であったが右舌の腫脹は軽減せず、ステロイド静注を開始。耳鼻咽喉科にコンサルトとなった。
【考察】
血管神経性浮腫は、クインケ浮腫とも呼ばれる。原因は未だ明らかにされていないが、その病態は四肢、顔面、喉頭などの全身に浮腫が生じ、特に喉頭浮腫は気道閉塞を起こす危険性があると言われており緊急度の高い疾患である。
電話連絡の時点で、舌の腫脹が主訴であったことからアナフィラキシーを考慮した。第一印象で重症感はなかったため問診ブースで問診を開始した。バイタルサイン測定と同時に問診をした際、午前3時頃、目が覚めた際に右舌の腫脹に気付いたということから食事などによるアナフィラキシーの可能性は低いと考えた。舌の腫脹は突然の発症であり短時間で悪化していることから緊急性が高いと考えた。また、A氏は発症から来院までの時間が早いこと、すでにセレスタミンを内服しているということ、腫脹は非対称性であることから問診では既往歴の確認を優先した。既往歴でクインケ浮腫があると聴取、直ちにトリアージを中断、診察室へ移動しモニタリング、SPO2測定と同時に医師に診察依頼行った。
A氏は、血管神経性浮腫とすでに診断されていたことで発作時にすぐに来院している。しかしトリアージ看護師がその緊急性を認識していなければ、医師の診察に繋ぐことは出来ない。来院時に舌の腫脹が軽度であっても血管神経性浮腫はその後の経過で重症化する可能性がある。そのため、トリアージ看護師が既往歴を確認した時点でトリアージを中断し緊急度が高いと判断したことは重症化を防ぐことに繋がったと考える。
また、本症例では問診時に既往歴を優先して確認している。院内トリアージでは、得られた情報のキーワードを絞り込み優先順位をつけていくことで、より早く医師の診察に繋げていくことができると考える。
【おわりに】
今回、舌の腫脹を主訴に来院した独歩患者の緊急度の高い院内トリアージを経験した。トリアージ看護師は情報収集から優先順位をつけ、緊急度を判断し、医師の診察に繋げていくことが重要である。
A病院では、独歩患者に対し電話連絡を受けその後、患者が来院しトリアージ看護師が院内トリアージを実施している。今回、舌の腫脹を主訴に血管神経性浮腫と診断されていた独歩患者が来院し緊急度の高いトリアージを行った。本報告では、トリアージ看護師は情報収集から優先順位をつけ、緊急度を判断し医師の診察に繋げていくことの重要性を学んだため報告する。
【倫理的配慮】
A病院の倫理委員会の承認を得た。匿名化し、情報管理を徹底した。
【症例】
A氏50歳代女性。電話連絡での主訴は舌の腫脹。午前3時頃、目が覚めた際右舌の腫脹に気付いたため処方されているセレスタミンを内服したがその後20分の間に右舌の腫脹が悪化したため3時45分に独歩で来院。
来院時、右舌に軽度の腫脹がみられた。第一印象は、会話可能で呼吸困難感なし。ショック症状はみられず重症感がないことからトリアージブースでの問診は可能と判断。問診と同時にバイタルサインの測定を行った。体温35.8度、脈拍数77回/分、呼吸数20回/分、血圧175/108mmHg、SPO2:96%。既往歴にクインケ浮腫と聴取した時点で、直ちに蘇生室へ入室させ、モニタリングとSPO2測定を開始した。同時に医師に診察を依頼し、ポララミン静注が開始となった。点滴施行中は、呼吸困難感なくSPO2:98%であったが右舌の腫脹は軽減せず、ステロイド静注を開始。耳鼻咽喉科にコンサルトとなった。
【考察】
血管神経性浮腫は、クインケ浮腫とも呼ばれる。原因は未だ明らかにされていないが、その病態は四肢、顔面、喉頭などの全身に浮腫が生じ、特に喉頭浮腫は気道閉塞を起こす危険性があると言われており緊急度の高い疾患である。
電話連絡の時点で、舌の腫脹が主訴であったことからアナフィラキシーを考慮した。第一印象で重症感はなかったため問診ブースで問診を開始した。バイタルサイン測定と同時に問診をした際、午前3時頃、目が覚めた際に右舌の腫脹に気付いたということから食事などによるアナフィラキシーの可能性は低いと考えた。舌の腫脹は突然の発症であり短時間で悪化していることから緊急性が高いと考えた。また、A氏は発症から来院までの時間が早いこと、すでにセレスタミンを内服しているということ、腫脹は非対称性であることから問診では既往歴の確認を優先した。既往歴でクインケ浮腫があると聴取、直ちにトリアージを中断、診察室へ移動しモニタリング、SPO2測定と同時に医師に診察依頼行った。
A氏は、血管神経性浮腫とすでに診断されていたことで発作時にすぐに来院している。しかしトリアージ看護師がその緊急性を認識していなければ、医師の診察に繋ぐことは出来ない。来院時に舌の腫脹が軽度であっても血管神経性浮腫はその後の経過で重症化する可能性がある。そのため、トリアージ看護師が既往歴を確認した時点でトリアージを中断し緊急度が高いと判断したことは重症化を防ぐことに繋がったと考える。
また、本症例では問診時に既往歴を優先して確認している。院内トリアージでは、得られた情報のキーワードを絞り込み優先順位をつけていくことで、より早く医師の診察に繋げていくことができると考える。
【おわりに】
今回、舌の腫脹を主訴に来院した独歩患者の緊急度の高い院内トリアージを経験した。トリアージ看護師は情報収集から優先順位をつけ、緊急度を判断し、医師の診察に繋げていくことが重要である。