[O31-2] 電子カルテを利用した「院内トリアージテンプレート」の運用効果
Ⅰ.目的
A病院では、緊急度支援システム日本版(以下、JTASとする)と日本救急看護学会発行の看護師のための院内トリアージテキストを参考に独自の院内トリアージ表を作成し紙運用していた。一昨年度、院内トリアージ表を改訂した結果、使用率は70%程度であり、院内トリアージ表が複雑であるために多くの記載漏れがあることがわかった。また、現行の院内トリアージ表では医師や看護師間での情報共有に時間がかかるとの意見もあった。そのため、昨年度の電子カルテ更新に伴い、院内トリアージ判定の実施率の向上と多職種間での情報共有が速やかにできることを目的に、電子カルテ端末で入力可能な院内トリアージテンプレートを作成した。今回、運用開始後の院内トリアージ判定の実施率を明らかにし、今後の課題を検討した。
Ⅱ.倫理的配慮
本研究は、A病院看護部より承認を得られており、得られた情報は本研究以外では使用せず、個人情報保護をする。
Ⅲ.方法
1.A病院で独自に作成し運用していた院内トリアージ表を元に、電子カルテ端末で院内トリアージテンプレートを作成した。テンプレートには、医師がすぐに診察できる際、院内トリアージは必要ないため「医師が診察をすぐに始めたため緊急度判定をしなかった」の記載欄、バイタルサインや補足因子からJTASの自動判定ができ、主訴から当てはまる項目にレ点チェックをするとトリアージの自動判定ができる改定を行った。また、電子カルテでの入力がタイムリーにできるように院内トリアージの問診エリアに電子カルテを設置した。
2.院内トリアージ判定の実施率について、電子カルテ内データウエアハウス(DWH)で単純集計した。
Ⅳ.結果
院内トリアージテンプレートを導入した平成30年10月から31年2月までの院内トリアージ判定の実施率は、10月85%、11月92%、12月89%、1月87%、2月87%だった。医師や看護師から院内トリアージ内容について電子カルテ内で速やかに情報共有が得られるようになったという反応があった。また、医師はカルテ記載に院内トリアージテンプレートと同様の記載をしていた。
Ⅴ.考察
院内トリアージテンプレートの導入により、院内トリアージ判定の実施率は、導入前の70%より約15~20%上昇した。これはテンプレートがJTASの流れに沿い構成されており容易に入力が可能になったことと、院内トリアージの問診エリアに電子カルテを設置したことで、その場でテンプレートの入力ができるようになったことが要因として考えられる。また、医師や看護師から電子カルテ内で速やかに情報共有できるようになったという反応やカルテ記載に院内トリアージテンプレートと同様の記載をしていたことからも、情報共有の時間短縮、チーム医療の向上にもつながったと考える。
今後は、救急外来を受診する全患者のトリアージ判定ができるように、院内トリアージテンプレートの入力率を更に上昇させるとともに、項目ごとの分析を行い、院内トリアージ教育を強化し、トリアージの質の向上を目指していく。
A病院では、緊急度支援システム日本版(以下、JTASとする)と日本救急看護学会発行の看護師のための院内トリアージテキストを参考に独自の院内トリアージ表を作成し紙運用していた。一昨年度、院内トリアージ表を改訂した結果、使用率は70%程度であり、院内トリアージ表が複雑であるために多くの記載漏れがあることがわかった。また、現行の院内トリアージ表では医師や看護師間での情報共有に時間がかかるとの意見もあった。そのため、昨年度の電子カルテ更新に伴い、院内トリアージ判定の実施率の向上と多職種間での情報共有が速やかにできることを目的に、電子カルテ端末で入力可能な院内トリアージテンプレートを作成した。今回、運用開始後の院内トリアージ判定の実施率を明らかにし、今後の課題を検討した。
Ⅱ.倫理的配慮
本研究は、A病院看護部より承認を得られており、得られた情報は本研究以外では使用せず、個人情報保護をする。
Ⅲ.方法
1.A病院で独自に作成し運用していた院内トリアージ表を元に、電子カルテ端末で院内トリアージテンプレートを作成した。テンプレートには、医師がすぐに診察できる際、院内トリアージは必要ないため「医師が診察をすぐに始めたため緊急度判定をしなかった」の記載欄、バイタルサインや補足因子からJTASの自動判定ができ、主訴から当てはまる項目にレ点チェックをするとトリアージの自動判定ができる改定を行った。また、電子カルテでの入力がタイムリーにできるように院内トリアージの問診エリアに電子カルテを設置した。
2.院内トリアージ判定の実施率について、電子カルテ内データウエアハウス(DWH)で単純集計した。
Ⅳ.結果
院内トリアージテンプレートを導入した平成30年10月から31年2月までの院内トリアージ判定の実施率は、10月85%、11月92%、12月89%、1月87%、2月87%だった。医師や看護師から院内トリアージ内容について電子カルテ内で速やかに情報共有が得られるようになったという反応があった。また、医師はカルテ記載に院内トリアージテンプレートと同様の記載をしていた。
Ⅴ.考察
院内トリアージテンプレートの導入により、院内トリアージ判定の実施率は、導入前の70%より約15~20%上昇した。これはテンプレートがJTASの流れに沿い構成されており容易に入力が可能になったことと、院内トリアージの問診エリアに電子カルテを設置したことで、その場でテンプレートの入力ができるようになったことが要因として考えられる。また、医師や看護師から電子カルテ内で速やかに情報共有できるようになったという反応やカルテ記載に院内トリアージテンプレートと同様の記載をしていたことからも、情報共有の時間短縮、チーム医療の向上にもつながったと考える。
今後は、救急外来を受診する全患者のトリアージ判定ができるように、院内トリアージテンプレートの入力率を更に上昇させるとともに、項目ごとの分析を行い、院内トリアージ教育を強化し、トリアージの質の向上を目指していく。