第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

トリアージ

[O31] O31群 トリアージ⑤

2019年10月5日(土) 15:20 〜 16:20 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:松﨑 八千代(筑波メディカルセンター病院)

[O31-6] トリアージシステムを用いた時間外救急外来の患者・家族の満足度調査

坂本 正樹1, 黒田 啓子2, 丸山 橘子2, 宮﨑 美穂子1, 広瀬 冬美1 (1.東海大学附属病院高度救命救急センター, 2.東海大学付属病院キャリア支援センター)

【はじめに】
S病院はトリアージシステムを導入して10年が過ぎた。時間外救急外来における患者・家族へ質の高い看護システムの再構築を図り、患者・家族の満足度調査を行った。結果、時間外救急外来の問題点が明らかになったのでここに報告する。
【研究目的】
時間外救急外来の患者・家族の満足度の質問紙調査を行い、時間外救急外来の問題点を明らかにすること。
【研究対象】
1.研究対象者:S病院 高度救命救急センター 時間外救急外来を受診したwalk-in患者及び家族、付き添いの者。(救急車で来院した患者・家族、再診・処方希望・ホルモン注射での受診を除く)
2.研究期間 :2017年1月~2018年12月31日
3.データ収集・分析方法:性別、年齢、記載者、診察までの体感時間、主訴、時間外救急外来を利用した理由、診療科、教職員の対応(看護師、医師、事務職、その他多職種)、総合評価から構成される52項目のアンケートを作成。時間外救急外来に研究の説明文およびアンケートを1部とし、時間外救急外来へアンケートを設置した。質問紙項目は5段階であるリッカート尺度を4段階の1.全くそう思わない 2.そう思わない 3.そう思う 4.大いにそう思うに変更とした。各質問項目の単純集計および看護師・医師との比較として順位相関を用いた。総合評価を得点化し、満足群(21点以上)と不満群(20点以下)とし、ロジスティック回帰分析を実施。満足度の要因を分析。理由の根拠として自由記載欄を設けた。
4.倫理的配慮:S病院の倫理審査会の承認を得た。アンケートの提出をもって研究の同意とした。
【結果】
 アンケートの回収は100例となり、有効回答率は100%であった。単純集計では看護師・医師・事務職・総合評価の各質問項目で80%以上の満足を得る結果となった。しかし、看護師・医師・事務職の質問のうち、診察・検査・処置などの待ち時間に対する説明は約50%の満足となった。自由記載欄から待ち時間が長く、説明がないので身動きがとれないというご意見が多かった。次に、看護師・医師の質問項目においての順位相関では、共に丁寧な言葉遣いと落ち着いた態度(0.914、P<0.01)が強い相関を示していた。自由記載欄を見てみると、看護師に対して、事務的で冷たい感じがした。話を聞いてくれず、きつい口調や忙しい雰囲気を出していたなどの意見があった。同様に医師に対する意見では、一方的に話をしたり、聞いているような態度ではなかったり、専門用語で説明がわかりにくいなどの意見が多かった。ロジスティック回帰分析では、看護師の診察・検査・処置などの待ち時間の説明がされた項目(オッズ比14.6 95%信頼区間3.07~69.3 P<0.01)と医師のあなたの話しを十分に聞いてくれた項目(オッズ比22.5 95%信頼区間3.55~142.4 P<0.01)の2項目が満足度に影響する因子となった。自由記載欄を見てみると、看護師・医師とも丁寧な対応や説明で安心し満足だったという意見が多かった。
【考察】
 時間外救急外来の患者・家族の満足度調査の結果は、全体的に高い満足度であった。一部の満足では、看護師や医師への接遇マナーが時間外救急外来の満足へ影響していた。時間外救急外来を担当する全体の医療職として、受診する患者・家族の特性を捉えて対応することが必要となる。また、専門的な技術はもちろんのこと、接遇マナーを教育へ取り入れていくことも示唆された。