第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

救急外来システム

[O6] O6群 救急外来システム

2019年10月4日(金) 16:20 〜 17:10 第7会場 (3F 中会議室304)

座長:溝江 亜紀子(東京医科歯科大学医学部附属病院)

[O6-1] 救急外来兼務時に遭遇する困難対処へのマニュアルの活用効果

髙橋 暁子, 柏谷 祐美子, 有本 純子 (東京逓信病院)

【はじめに】A病院に勤務する手術室看護師は、救急外来での看護業務を兼務している。2016年度の看護研究「救急外来との兼務で手術室看護師が直面する困難とその対処」で、看護師が直面する困難とその対処を明らかにした。その研究結果を活用し、今回対処マニュアルを使用することによる困難対処への効果を明らかにした。
【目的】「救急外来兼務時に遭遇する困難への対処マニュアル」(以下、マニュアル)の活用前後の困難状況を比較し、マニュアル活用の効果を明らかにする。
【方法】1.対象者:手術室と救急外来を兼務する看護師22名。2.測定用具:先行研究の分析結果に基づくリカート尺度を用いた質問紙を使用。3.データ分析:マニュアル使用前(A群)使用後(B群)の項目得点平均と総得点平均を算出し、t検定を用いた。(p<0.05)
【倫理的配慮】A病院倫理審査委員会の承認を得た。個人を特定できないように配慮した。
【結果】救急外来を兼務する看護師22名から回答を得た。困難34項目中11項目に有意差がみられた(p<0.05)。A群総得点109.86、総得点平均3.36に対し、B群総得点92.76、総得点平均2.74であり、両群間はp=0.049にて有意差がみられた。
【考察】マニュアル使用前後における困難状況の比較において、有意差のみられた困難11項目は、病院ルールの改定により、専門医不在による断りをしないことや、連絡当番医に連絡がつかない場合は当該科部長に連絡することが決まり、それらをマニュアルに記載したことで、看護師は根拠と自信をもって医師や患者に対応できたと考える。迅速に視覚的に必要な情報を捉えられるマニュアルは、これらの困難の解消に有効であった。一方、有意差がみられなかった困難には、マニュアルだけでは対応できない要素が存在する。トリアージ能力の向上、勉強会の実施など、看護師間の共通認識のもと、これらの困難を解決していく必要がある。また、防犯機能においては、スタッフの安全を夜間時間外の限られた人数でどのように守るのかを再度検討する必要がある。総得点平均は、マニュアルの活用に効果があったことを示している。さらに、今回対応できなかった困難に対し、継続した取り組みをしていく必要がある。
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