第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

救急外来システム

[O6] O6群 救急外来システム

2019年10月4日(金) 16:20 〜 17:10 第7会場 (3F 中会議室304)

座長:溝江 亜紀子(東京医科歯科大学医学部附属病院)

[O6-4] 高齢者の年代別救急センター滞在時間の検証

高比良 直美, 今村 文子 (医療法人徳洲会 湘南藤沢徳洲会病院 救急センター)

【背景】JCI取得病院であるA病院は認証基準である救急センターでの滞在時間3時間以内を目標にしている。昨年度、下半期の救急センターでの平均滞在時間は3:01であった。
 救急センター滞在時間が長時間となる要因と傾向を明らかにし、平均滞在時間の短縮に取り組みたいと考えた。また、滞在時間が3時間越えとなるのは、高齢者に多いと感じている。そこで、高齢者の平均滞在時間を明らかにする調査を行った。
【目的】救急センター滞在時間と年齢の関係を明らかにし滞在時間の短縮に向けた対策を考察した。
【方法】期間:2018年10月~2019年3月
 対象:救急車で来院した60歳以上の患者を60~64歳、65~75歳、76~99歳、100歳以上に分類。調査期間内に必要記録に不備がない対象の来院時から帰宅・入院に至るまでの平均時間を調査する。
【倫理的配慮】データ収集分析において個人が特定できないよう配慮した。A病院看護部長承認を得た。
【結果・考察】調査結果から救急センター滞在時間は、年代が上がると3時間超となり100歳以上になると3時間以下になる傾向が分かった。100歳以上では治療方針が事前に話し合われており、来院後の治療方針決定が速やかなことから3時間以上の滞在にならなかったと考える。転機別にみると、入院患者の平均滞在時間は3時間を超え、各年代で帰宅・転院患者より長期滞在だった。一因として、高齢者の身体的特徴により症状の現れ方は一疾患から生じるものとは限らず、複雑な病態に対応するため検査・処置等を追加実施することになり、長時間滞在に至ったと考える。
 以上のことから、患者の状態を予測し、医師と協力して必要なことに迅速対応することで、追加の検査・処置を短縮することが、滞在時間の短縮に繋がる可能性がある。
【結論】救急外来滞在時間は高齢になるほど長くなることが分かった。救急外来滞在時間短縮の取り組みとして、高齢患者の身体的特徴を理解し、救急診療の進行を予測した上で、適切に対応することが改善策の一つであることが示唆された。
 更に、今調査では明らかにならなかった入院病棟など関連部署との連携について検討し、滞在時間を通して救急医療システムの見直しに繋げたい。
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