第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(口演)

医療安全

[O7] O7群 医療安全

Fri. Oct 4, 2019 10:30 AM - 11:20 AM 第8会場 (1F 中会議室102)

座長:杉本 環(日本大学医学部附属板橋病院)

[O7-1] Rapid Response System(RRS)取り組みから見えてきた現状と課題

三浦 まき, 小林 宏栄 (昭和大学病院 看護部)

【はじめに】
 Rapid Response System(以下、RRSと略す)が構築され急変患者の予後改善に大きく寄与されていることが認識されている。A大学病院の院内救急システムにコードブルーがある。しかし、急変前の変化を早期にキャッチし急変を未然に防ぐシステムは構築されていない。そこで2017年度に看護部は全病棟を対象に独自の気づきシートを作成し継続観察の強化と医師へのSBARでの報告による、患者の状態変化を早期に発見できるシステムを導入した。この取り組みを行うことで、看護師の「気づき」への意識は高まった。更に2018年度より医療安全管理部門とともに気づきシートを活かしRRSを平日の日中の時間帯から導入した。今回、RRSの導入後の現状と今後の課題を報告する。
【目的】
RRS導入後の現状と今後の課題を明確にする。
【倫理的配慮】
本研究は、研究者所属の倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【方法】
方法:後方視的にRapid Response Team(以下RRTと略す)ラウンドデータ用紙から調査内容を抽出し集計し た。
対象:RRT要請患者71名
期間:2018年8月1日~2019年3月31日
調査内容:要請日時、部署、年齢、性別、要請理由、介入内容、集中治療室・HCU入室期間、転帰、要請前のバイタルサイン
【結果】
①RRT要請の内訳
呼吸:SpO290%以下が16件(21%)、呼吸回数:25回/分以上が7件(9%)
循環:脈拍数130回/分以上が7件(9%)、脈拍数:50回/分以下が5件(6%)、収縮期血圧90mmHg以下が17
件(22%)、収縮期血圧が通常より40mmHg以下が1件(1%)
意識:意識レベルの低下が4件(5%)
その他:3件(3%)、何らかの懸念があるが16件(21%)
②集中治療室・HCU入室患者:22名(30%)
③集中治療室・HCU滞在期間:4.6日、滞在期間中の死亡患者2名
④治療の可否:検査7件、輸液3件、NHF・NPPVへの変更2件、気管挿管2件、介入なし5件、DNAR方針7件、その他は経過観察
⑤RST要請前のバイタルサインがRST起動基準に該当する患者:11名(15%)
【考察】
 RRTの要請は、「循環」が38%と最も多く海外の報告と同様の結果となった。RRT介入後の集中治療室・HCU入室患者は22名(30%)であり、22名のほとんどが急変のリスクが高く全身状態の管理が必要な患者であった。このことは、2017年度に導入した看護師を対象に気づきの教育と独自の気づきシートにて患者の「何か変」をキャッチできるシステムの効果と考えられ、患者の状態変化前のRRTの介入により早期の集中治療部門における全身管理に結びついたと言える。71名中の11名(15%)は、RRT要請前に要請基準に該当していたが夜間であったことや担当医師の介入していることによってRRT起動が遅くなっていた。このことから、医師の当直体制の変更の必要性やRRSが平日日中のみのシステムのため看護師が経過観察してしまう現状がわかった。また、RRT起動要請時に継続的に呼吸回数が測定されていない患者が散見された。今後の課題は、24時間体制のRRSの確立とRRT起動要請の呼吸数の測定の重要性について教育していくことである。