第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

医療安全

[O7] O7群 医療安全

2019年10月4日(金) 10:30 〜 11:20 第8会場 (1F 中会議室102)

座長:杉本 環(日本大学医学部附属板橋病院)

[O7-3] eICUサポートセンターの支援事例の内容分析

住永 有梨 (昭和大学病院ICU)

【背景】我が国は超高齢社会に突入する。高齢患者の増加に伴い医療費の増加、人手不足が病院運営の課題になっており、米国では遠隔医療システムが実用され有効性が実証されている。そこでA大学病院では、2018年4月よりeICU(遠隔ICU患者管理プログラム)を日本で初めて導入し実証研究を開始した。eICUにより、2つの大学付属病院の4つの集中治療部門の各49ベッドをサポートセンターにおいて、患者状態やデータをモニタリングしている。eICUは、医師・看護師・事務員の3職種が勤務しており、モニタリングしたデータとビデオで患者状態を査定し、異変などを察知した場合ベッドサイドの看護師と連携を図り患者のケアを行っている。
【目的】eICUサポートセンターから各集中治療部門への支援事例と内容を分析する。
【方法】調査期間は、2018年4月1日から11月30日までとする。調査方法は、eICUの医師・看護師が各集中治療部門に介入した支援記録を分析する。
【倫理的配慮】本研究は、研究者所属施設の倫理審査委員会の承認(承認番号:2417)を得て実施した。研究参加者にはオプトアウトを実施し研究参加の拒否権を設けた。
【結果】サポートセンターからの支援事例は56件であった。介入手段は、電話相談、eICUのアラート、ビデオによるラウンド、その他であった。介入内容は、生命の危機、緊急、予防的介入、情報共有・手続き関連であった。予防的介入の約半数はビデオラウンドによるものであった。生命の危機に関する介入は、低血圧アラートに基づき実施された。eICU在中の看護師がビデオラウンドにて患者が顔面蒼白であるのを認知し、ベッドサイドのリーダー看護師に電話連絡したことにより昇圧薬投与に繋がり、介入後の患者状態は改善した。緊急の内訳は、ECMO離脱時の見守り、低血糖・低血圧検出とその後の対応アドバイス、人工呼吸器設定変更、鎮静薬の使用量アドバイス、マスク外れによる低酸素血症であった。いずれも医師の指示が発生し、3件で患者状態の改善を認めた。
【考察】eICUから各集中治療部門への介入は、予防的介入や情報共有が9割を占めており、予防的介入の半数はビデオラウンドにより実施されていた。介入の手段にはeICUのシステムが持つ機能が平均的に利用されており、ザポートセンターの看護師が現場の状況に応じ使い分けているものと考えられた。今後の課題としてサポートセンターの看護師の個人の能力により支援内容に差があるのか検証する必要がある。
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