第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(口演)

看護実践・倫理・その他

[O8] O8群 看護実践・倫理・その他

Fri. Oct 4, 2019 2:00 PM - 2:50 PM 第8会場 (1F 中会議室102)

座長:平尾 明美(神戸大学医学部附属病院)

[O8-1] クリティカルケアにおける臨床倫理の問題と看護師による倫理調整の実際~ACTce-CCMの構成概念の明確化~

立野 淳子1, 山勢 博彰2, 田戸 朝美2, 山本 小奈実2, 佐伯 京子2 (1.小倉記念病院, 2.山口大学大学院医学系研究科)

私たちは、クリティカルケアで生じる倫理上の問題について、一連の問題志向型システムに則って問題解決を支援できる臨床倫理分析と倫理調整のシステムツールACTce-CCM(ACTce-CCM:Analysis and Coordination Tools of Clinical Ethics in Critical Care Medicine)の開発を進めている。

本研究では、ACTce-CCMの構成概念を明確化するため、クリティカルケアで発生する臨床倫理の問題とそれに対する看護師の倫理調整の実際をフォーカスグループインタビューによって調査した。

<研究目的>クリティカルケアにおける臨床倫理の問題と看護師による倫理調整の実際を明らかにし、ACTce-CCMの構成概念を明確化すること。

<方法>フォーカスグループインタビューによる質的記述的研究デザイン。急性・重症患者看護専門看護師またはクリティカルケア看護の教育研究者20名を対象にグループインタビューを実施した。調査内容は、クリティカルケアで発生する臨床倫理の問題とそれに対する看護師の倫理調整の実際に関して、ACTce-CCMの構成である「倫理問題を分析するアセスメントの枠組み」、「医療チームの目標」、「具体的倫理調整とケアの実践」について調査した。インタビューで得られた意見は、質的帰納的に分析し、臨床倫理の問題と看護師による倫理調整の実際を整理した。本研究は、所属大学の研究倫理審査の承認を経て実施した。

<結果>「倫理問題を分析するアセスメントの枠組み」では、医学的問題に関する治療の効用とリスクの分析、無益性と有益性について不明確なこと、患者の意向確認が困難で工夫が必要なこと、代理意思決定者の能力を把握することの必要性、面会できない家族の思いの把握などが取り上げられた。「医療チームの目標」では、各職種の目標を整理すること、患者と家族の目標の統合化などの必要性が見出された。「具体的倫理調整とケアの実践」では、意思決定までに至る過程が実践過程に反映できる要素などが求められた。

これを基に、ACTce-CCMの構成概念を明確化した。アセスメントの枠組みは、「医学的適応」、「患者の意向」、「QOL/QOD(Quality of Death)」、「家族の心理・社会的状況」、「医療チームの状況」、「周囲の状況」の6区分、目標は「医療チームの目標」、「看護の目標」、「患者/家族の期待される成果」で構成し、倫理調整とケアの実践は「権利擁護」、「苦痛緩和」、「信頼関係の維持」、「情報提供」とした。

<考察>今回の調査より、クリティカルケアではJonsenらの4分割法に加え、「家族の心理・社会的状況」、「医療チームの状況」の側面をアセスメントする重要性が見出された。また、QOLを取り上げるだけでなく、Quality of Deathに焦点化する必要性も明らかとなった。これらの構成概念を基に、ACTce-CCMの開発を進め、ツールとしての妥当性を高める予定である。