[O9-2] 救命救急センターに勤務する看護師のグリーフワーク
【はじめに】
先行研究において、救急領域におけるターミナルケアは、予測していない突然死、苦痛緩和ができないまま迎えた死、短期間で十分関わりのもてなかった死などの特徴があり喪失感が強く出る要件がそろっていると言われている。これらの要件下でケアを提供する看護師は、心理的負担も非常に大きく、自分で意識しないうちに消耗性ストレスがたまり、バーンアウトを生じやすいという危険性があるといわれている。しかし、看護師は、一般的に自身の悲嘆を扱えない風土があり、抑圧された自身の悲嘆に意識を向けることができず、複雑性悲嘆への移行のリスクも懸念される。しかし、救命救急センターを対象とした看護師の悲嘆について明らかにされた先行研究は少ない。したがって、本研究を行うことで、看護師の悲嘆への支援を検討することに意義があると考える。
【目的】
救命救急センターに勤務する看護師がどのようにグリーフワークを行っているか明らかにし、看護師に必要な悲嘆への支援についての示唆を得る。
【方法】
2019年1月~4月に、A病院救命救急センターの看護師10名を3グループに分け、1グループ1回ずつどのようなグリーフワークを行っているかフォーカス・グループ・インタビューを実施し、質的にデータ分析を行いグリーフワークの内容をカテゴリーとしてまとめた。
【倫理的配慮】
A病院看護局倫理委員会の承認を得たのち、研究協力者に研究の主旨について文書を用いて説明し同意を得た。
【結果】
研究協力者10名の救急看護領域での経験年数5年目未満は6名、5年目以上は4名であった。看護師は、担当患者が亡くなり数日以内に<自分の抱いた感情を同僚の看護師や医師と語り気持ちを整理する>、<事例を振り返ることで新たなケアに活かす>、<自分の趣味に打ち込むことでストレスを発散(する)>し、抱いた気持ちの整理を行っていた。一方、<自分の抱いた感情を表出はせず待つことで自己消化する>や、相談方法がわからず<自分の抱いた感情を対処できず溜め込む>の5つのカテゴリーが抽出された。
【考察】
<自分の抱いた感情を表出はせず待つことで自己消化する>、<自分の抱いた感情を対処できず溜め込む>といった自身の抱く感情を抑圧するような対処行動をとっている看護師は、救急看護領域での経験年数5年目未満の看護師に多くみられた。一方、<自分の抱いた感情を同僚の看護師や医師と語り気持ちを整理する>、<事例を振り返ることで新たなケアに活かす>といった自身の抱く感情を表出するような対処行動をとっている看護師は、救急看護領域での経験年数5年目以上の看護師に多くみられた。このことから、グリーフワークには経験年数の違いが少なからずあることが示唆された。
先行研究において、看護師のグリーフワークに事例検討やデスカンファレンスなど皆で語る場を作ることの有用性が言われているが、A病院救命救急センターではこのような機会を設けていない。本研究結果から、救急看護領域での経験年数によってグリーフワークの方法に違いが少なからず示唆されている。このことは、救急看護領域の経験年数を問わない語りの場を作り、救急看護の経験が豊かな看護師の語りを聞くことで、経験が浅い看護師はグリーフワークを促進させるメリットがある。一方、経験豊かな看護師の前では、遠慮や恥じらいなどから自身が抱く感情を表出できない可能性も懸念される。したがって、皆で語る場を意図的に作っていくことは必要であるが、事例や参加者によって語る場で語れるための工夫も重要であると考えられる。
先行研究において、救急領域におけるターミナルケアは、予測していない突然死、苦痛緩和ができないまま迎えた死、短期間で十分関わりのもてなかった死などの特徴があり喪失感が強く出る要件がそろっていると言われている。これらの要件下でケアを提供する看護師は、心理的負担も非常に大きく、自分で意識しないうちに消耗性ストレスがたまり、バーンアウトを生じやすいという危険性があるといわれている。しかし、看護師は、一般的に自身の悲嘆を扱えない風土があり、抑圧された自身の悲嘆に意識を向けることができず、複雑性悲嘆への移行のリスクも懸念される。しかし、救命救急センターを対象とした看護師の悲嘆について明らかにされた先行研究は少ない。したがって、本研究を行うことで、看護師の悲嘆への支援を検討することに意義があると考える。
【目的】
救命救急センターに勤務する看護師がどのようにグリーフワークを行っているか明らかにし、看護師に必要な悲嘆への支援についての示唆を得る。
【方法】
2019年1月~4月に、A病院救命救急センターの看護師10名を3グループに分け、1グループ1回ずつどのようなグリーフワークを行っているかフォーカス・グループ・インタビューを実施し、質的にデータ分析を行いグリーフワークの内容をカテゴリーとしてまとめた。
【倫理的配慮】
A病院看護局倫理委員会の承認を得たのち、研究協力者に研究の主旨について文書を用いて説明し同意を得た。
【結果】
研究協力者10名の救急看護領域での経験年数5年目未満は6名、5年目以上は4名であった。看護師は、担当患者が亡くなり数日以内に<自分の抱いた感情を同僚の看護師や医師と語り気持ちを整理する>、<事例を振り返ることで新たなケアに活かす>、<自分の趣味に打ち込むことでストレスを発散(する)>し、抱いた気持ちの整理を行っていた。一方、<自分の抱いた感情を表出はせず待つことで自己消化する>や、相談方法がわからず<自分の抱いた感情を対処できず溜め込む>の5つのカテゴリーが抽出された。
【考察】
<自分の抱いた感情を表出はせず待つことで自己消化する>、<自分の抱いた感情を対処できず溜め込む>といった自身の抱く感情を抑圧するような対処行動をとっている看護師は、救急看護領域での経験年数5年目未満の看護師に多くみられた。一方、<自分の抱いた感情を同僚の看護師や医師と語り気持ちを整理する>、<事例を振り返ることで新たなケアに活かす>といった自身の抱く感情を表出するような対処行動をとっている看護師は、救急看護領域での経験年数5年目以上の看護師に多くみられた。このことから、グリーフワークには経験年数の違いが少なからずあることが示唆された。
先行研究において、看護師のグリーフワークに事例検討やデスカンファレンスなど皆で語る場を作ることの有用性が言われているが、A病院救命救急センターではこのような機会を設けていない。本研究結果から、救急看護領域での経験年数によってグリーフワークの方法に違いが少なからず示唆されている。このことは、救急看護領域の経験年数を問わない語りの場を作り、救急看護の経験が豊かな看護師の語りを聞くことで、経験が浅い看護師はグリーフワークを促進させるメリットがある。一方、経験豊かな看護師の前では、遠慮や恥じらいなどから自身が抱く感情を表出できない可能性も懸念される。したがって、皆で語る場を意図的に作っていくことは必要であるが、事例や参加者によって語る場で語れるための工夫も重要であると考えられる。