[RTD10-1] A病院における看護師の急変対応能力向上へ向けた取り組み
【目的】近年、急変の第一発見者となる確率が高い看護師には患者が心肺停止状態に陥る前に状況を判断し報告するスキルが求められている。そこで看護師の急変対応能力向上を目指す研修の一つとして、2016年度より日本医療システム教授学会が開発した「患者急変対応KIDUKI」に準拠した心肺停止に至る前の患者に対応する院内研修(以下、急変対応研修)を開始した。研修実施後の院内急変対応チームを要請した件数(以下、要請件数)と、急変対応に関する現状と課題について報告する。
【方法】A病院看護師に対し急変対応研修を実施した。1回の研修につき6名の受講生とし、2016年11月~2019年2月の期間に計23回、138名を対象に研修を企画した。受講者数、経験年数についてMicrosoft Excelを用いて単純集計した。2014年4月~2019年3月の期間の急変対応報告書をもとに要請件数、心肺停止患者が占める割合に関するデータを抽出した。
【倫理的配慮】学会発表にあたって看護部の倫理審査の承認を得た。
【結果】2016年11月~2019年2月の期間に計22回の研修を実施し、受講者総数は105名であった。年度別の受講者数と経験年数は表1に示す。3年間の受講者総数の6割が0~2年目であった。2014年4月~2019年3月の期間の要請総件数164件、内訳は2014年36件、2015年32件、2016年29件、2017年36件、2018年31件であった。このうち、心肺停止患者が占める割合は2014年44%、2015年63%、2016年48%、2017年28%、2018年40%であった。
【考察】急変対応報告書より、要請件数は30件前後で推移している。2017年度の心肺停止患者が占める割合は他と比べ28%と低かった。この背景の一因として看護師が急変の徴候に気づき、速やかに医療チームを呼び医療介入が行われ、心肺停止に至らなかった可能性が考えられる。しかし、2018年度は心肺停止患者が占める割合は例年の状態に戻っており、この要因のひとつとして受講生の経験年数が影響していると考えられた。当研修は幅広い年齢層の看護師を対象にしているが、受講生の6割が新人を含む看護師経験3年以下である。研修で得たスキルを定着させるため、部署で繰り返し実践し評価することが必要だが、受講生の多くが若年の看護師であるため、OJTにつながっていないことが考えられる。今後は各病棟でスタッフ指導に関わることが多い師長補佐等に研修受講を推進し、部署でOJTを行える環境を作ることが課題である。
【方法】A病院看護師に対し急変対応研修を実施した。1回の研修につき6名の受講生とし、2016年11月~2019年2月の期間に計23回、138名を対象に研修を企画した。受講者数、経験年数についてMicrosoft Excelを用いて単純集計した。2014年4月~2019年3月の期間の急変対応報告書をもとに要請件数、心肺停止患者が占める割合に関するデータを抽出した。
【倫理的配慮】学会発表にあたって看護部の倫理審査の承認を得た。
【結果】2016年11月~2019年2月の期間に計22回の研修を実施し、受講者総数は105名であった。年度別の受講者数と経験年数は表1に示す。3年間の受講者総数の6割が0~2年目であった。2014年4月~2019年3月の期間の要請総件数164件、内訳は2014年36件、2015年32件、2016年29件、2017年36件、2018年31件であった。このうち、心肺停止患者が占める割合は2014年44%、2015年63%、2016年48%、2017年28%、2018年40%であった。
【考察】急変対応報告書より、要請件数は30件前後で推移している。2017年度の心肺停止患者が占める割合は他と比べ28%と低かった。この背景の一因として看護師が急変の徴候に気づき、速やかに医療チームを呼び医療介入が行われ、心肺停止に至らなかった可能性が考えられる。しかし、2018年度は心肺停止患者が占める割合は例年の状態に戻っており、この要因のひとつとして受講生の経験年数が影響していると考えられた。当研修は幅広い年齢層の看護師を対象にしているが、受講生の6割が新人を含む看護師経験3年以下である。研修で得たスキルを定着させるため、部署で繰り返し実践し評価することが必要だが、受講生の多くが若年の看護師であるため、OJTにつながっていないことが考えられる。今後は各病棟でスタッフ指導に関わることが多い師長補佐等に研修受講を推進し、部署でOJTを行える環境を作ることが課題である。