[RTD10-2] 光学医療診療部・放射線部における高機能シミュレーターを用いた急変対応訓練の成果と課題
【はじめに】
A病院の光学医療診療部・放射線部では、これまで8年間、毎年1回救命救急センター専従医師と救急看護認定看護師による急変対応訓練を行ってきた。急変対応訓練の実際と成果、今後の課題について報告する。
【目的】
造影剤使用後のアナフィラキシーショックを想定した急変対応訓練の成果と課題を明らかにする。
【方法】
1.実施場所:A病院CT・MRI室
2.対象者:光学医療診療部・放射線部スタッフ(医師6名、看護師13名、放射線技師11名)
3.実施方法
①救急看護認定看護師が当該部署の担当者と相談した上でシナリオを設定する。②当該部署担当者にシミュレーションを行うチームを編成してもらう。③参加者には、急変対応のポイントをまとめた資料を事前に配布、また前年度の訓練動画を事前に閲覧してもらう。④シミュレーションは、高機能シミュレーターを使用する。⑤シミュレーション後に救命救急センター専従医師、救急看護認定看護師から講評し、その後、シミュレーション実施者・見学者と感想や良かった点、改善点などについてフリートークを行う。
【倫理的配慮】
倫理委員会で承認が得られた情報公開文書を当該部署内(放射線部医師控室、放射線技師控室、看護師控室)に掲示し情報公開を行う。
【結果】
シナリオは、①造影CT検査開始直後にアナフィラキシー症状が出現、②CT台から緊急脱出、③アナフィラキシーショックに対する初期対応後心停止に陥り心肺蘇生開始、④救急部に応援要請し、患者を救急外来へ移送する内容とし、一連の流れを習得することを目的とした。急変対応はチームで協力して行うことを訓練の前に強調して説明した。シミュレーション実施者は、当該部署に配属された新任者や異動者を主体に選定されており、患者急変の認識・共有と応援要請、薬剤対処、タイムキーパーや記録等を声を掛け合いながら各々の役割を果たし、処置を進めていた。シミュレーション終了後は、過去に経験した急変場面での対応について悩んだ点や対応の適切さについて質問があり、また訓練回数を増やし急変対応を身につけたいという意見が聞かれていた。
【考察】
昨年度A病院で造影剤によるアナフィラキシーショック事例は3例あった。実際に即したシナリオの内容や検査室と高機能シミュレーターを使用したことは、より現実味があり状況をイメージしやすいものであったと考える。訓練では、放射線技師が生体モニター装着や記録開始の有無、背板挿入について声出ししている姿が印象的であった。通常、CT・MRI室の日勤帯の医療スタッフは10〜12名であり、放射線技師が半数以上を占める。多職種で訓練を行うことで各職種が何をすべきかが明らかになり、チームで円滑に急変対応が行えたと考える。
訓練の様子は例年ビデオ撮影し、いつでも振り返りが可能な状況にしている。また、CT・MRI室の至る所に急変対応フロチャートが貼付されており、急変時の対応が明確に表示されている。軽微なアレルギー症状を有した事例は 年間約160件あり、スタッフは日頃から急変発生を現実的に捉えて観察し対応している。急変への危機感を持ち継続して行う訓練は、実際の急変場面に活かされる事が示唆される。実際の急変場面で適切な対応ができているかの検証や急変時に即時の振り返りを行う事が課題である。
【結論】
訓練は現実味のある内容であり、事前にイメージ化を図ることによりチームで円滑に取り組むことができた。今後は急変対応スキルの向上を目的として、訓練が実際の急変場面に活かされているか検証していく必要がある。
A病院の光学医療診療部・放射線部では、これまで8年間、毎年1回救命救急センター専従医師と救急看護認定看護師による急変対応訓練を行ってきた。急変対応訓練の実際と成果、今後の課題について報告する。
【目的】
造影剤使用後のアナフィラキシーショックを想定した急変対応訓練の成果と課題を明らかにする。
【方法】
1.実施場所:A病院CT・MRI室
2.対象者:光学医療診療部・放射線部スタッフ(医師6名、看護師13名、放射線技師11名)
3.実施方法
①救急看護認定看護師が当該部署の担当者と相談した上でシナリオを設定する。②当該部署担当者にシミュレーションを行うチームを編成してもらう。③参加者には、急変対応のポイントをまとめた資料を事前に配布、また前年度の訓練動画を事前に閲覧してもらう。④シミュレーションは、高機能シミュレーターを使用する。⑤シミュレーション後に救命救急センター専従医師、救急看護認定看護師から講評し、その後、シミュレーション実施者・見学者と感想や良かった点、改善点などについてフリートークを行う。
【倫理的配慮】
倫理委員会で承認が得られた情報公開文書を当該部署内(放射線部医師控室、放射線技師控室、看護師控室)に掲示し情報公開を行う。
【結果】
シナリオは、①造影CT検査開始直後にアナフィラキシー症状が出現、②CT台から緊急脱出、③アナフィラキシーショックに対する初期対応後心停止に陥り心肺蘇生開始、④救急部に応援要請し、患者を救急外来へ移送する内容とし、一連の流れを習得することを目的とした。急変対応はチームで協力して行うことを訓練の前に強調して説明した。シミュレーション実施者は、当該部署に配属された新任者や異動者を主体に選定されており、患者急変の認識・共有と応援要請、薬剤対処、タイムキーパーや記録等を声を掛け合いながら各々の役割を果たし、処置を進めていた。シミュレーション終了後は、過去に経験した急変場面での対応について悩んだ点や対応の適切さについて質問があり、また訓練回数を増やし急変対応を身につけたいという意見が聞かれていた。
【考察】
昨年度A病院で造影剤によるアナフィラキシーショック事例は3例あった。実際に即したシナリオの内容や検査室と高機能シミュレーターを使用したことは、より現実味があり状況をイメージしやすいものであったと考える。訓練では、放射線技師が生体モニター装着や記録開始の有無、背板挿入について声出ししている姿が印象的であった。通常、CT・MRI室の日勤帯の医療スタッフは10〜12名であり、放射線技師が半数以上を占める。多職種で訓練を行うことで各職種が何をすべきかが明らかになり、チームで円滑に急変対応が行えたと考える。
訓練の様子は例年ビデオ撮影し、いつでも振り返りが可能な状況にしている。また、CT・MRI室の至る所に急変対応フロチャートが貼付されており、急変時の対応が明確に表示されている。軽微なアレルギー症状を有した事例は 年間約160件あり、スタッフは日頃から急変発生を現実的に捉えて観察し対応している。急変への危機感を持ち継続して行う訓練は、実際の急変場面に活かされる事が示唆される。実際の急変場面で適切な対応ができているかの検証や急変時に即時の振り返りを行う事が課題である。
【結論】
訓練は現実味のある内容であり、事前にイメージ化を図ることによりチームで円滑に取り組むことができた。今後は急変対応スキルの向上を目的として、訓練が実際の急変場面に活かされているか検証していく必要がある。