[RTD10-3] A病院の院内急変発生病棟における教育実践報告~RRS導入後の課題に対する取り組み~
【はじめに】A病院では、予期せぬ院内急変や死亡退院の事例報告を背景に2017年11月よりRRSの運用を開始した。しかし、運用開始から時間経過とともにRRS起動件数は減少し、RRSが定着されない現状があった。更に、RRSが起動されなかった院内急変事例の調査では、急変前の患者の状態変化に対する判断が不十分であった事例もみられた。また、看護師に対する急変対応の教育では、心停止時対応や急変回避を目的とした集合研修が行われていたが、院内急変事例に対するフィードバックはされていなかった。そこで、2018年9月からクリティカルケア領域の認定看護師が中心となり、院内急変発生病棟における教育活動を開始した。今回、活動を振り返り今後の課題について検討したため報告する。
【方法】1.医療安全管理室と連携し、院内急変事例を把握するための連絡フローを作成。2.教育活動 1)院内急変事例の情報収集を行った後、当該病棟看護師長と共に急変事例を検証し、問題点・課題を抽出。2)院内急変発生病棟における急変事例のデブリーフィングや学習会開催等の教育活動の実施。3.教育効果の評価 教育活動を実施した病棟における実施前後6か月間の月別RRS起動件数、及び予定外のICU入室件数の調査。
【倫理的配慮】A病院臨床研究倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】1.実施した教育活動 1)院内急変が発生した3つの病棟で教育活動を実施した(2018年9月〜2018年12月)。2)実施時期 院内急変発生から7.7±4.6日経過後。3)実施内容 X病棟:課題として抽出された急変時の対応について病棟看護師と共に振り返り、改善策について検討。Y病棟:急変徴候の判断が不十分であった事例に基づき、急変徴候を的確に見抜くための第一印象の評価方法について学習会を実施。Z病棟:RRSが定着しないという病棟の問題点を踏まえ、急変事例に基づきRRSの必要性と起動のタイミングについて学習会を実施。2.教育効果の評価 1)RRS起動件数 教育活動を実施した病棟における実施前後6か月間の月別RRS起動件数では、実施前と比較し実施後で増加傾向がみられた(X病棟:2.7±1.1件/月→6.5±2.8件/月、Y病棟:1.7±1.7件/月→8.3±1.7件/月、Z病棟:1.3±1.2件/月→3.8±2.4件/月)。2)予定外のICU入室件数 教育活動を実施した病棟における実施前後6か月間の予定外のICU入室件数は、実施前と比較し実施後で減少傾向がみられた(X病棟:5件→2件、Y病棟:4件→3件、Z病棟:3件→1件)。
【考察】院内急変事例について当該病棟看護師長と共に発生要因を検証し、当該病棟における急変時対応の評価や問題点・課題の抽出を行った。それに応じて教育活動を行ったことで、患者の状態変化に対する早期発見の重要性を共有することができ、RRS起動件数増加に繋がったと考える。予定外のICU入室件数においても減少傾向がみられたが、対象病棟が少なく調査期間も短いため評価としては不十分であり、今後も教育効果の指標のひとつとして調査を継続していく必要がある。教育活動の実施時期に関しては、タイムリーに実施することができず、院内急変発生から期間が空いていた。そのため、より効果的な教育活動となるように迅速なフィードバックが行える工夫を検討していく必要がある。また、現在はクリティカルケア領域の認定看護師が教育活動を実施しているが、病棟主体で院内急変事例を振り返ることができるような支援の方法についても考えていきたい。
【方法】1.医療安全管理室と連携し、院内急変事例を把握するための連絡フローを作成。2.教育活動 1)院内急変事例の情報収集を行った後、当該病棟看護師長と共に急変事例を検証し、問題点・課題を抽出。2)院内急変発生病棟における急変事例のデブリーフィングや学習会開催等の教育活動の実施。3.教育効果の評価 教育活動を実施した病棟における実施前後6か月間の月別RRS起動件数、及び予定外のICU入室件数の調査。
【倫理的配慮】A病院臨床研究倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】1.実施した教育活動 1)院内急変が発生した3つの病棟で教育活動を実施した(2018年9月〜2018年12月)。2)実施時期 院内急変発生から7.7±4.6日経過後。3)実施内容 X病棟:課題として抽出された急変時の対応について病棟看護師と共に振り返り、改善策について検討。Y病棟:急変徴候の判断が不十分であった事例に基づき、急変徴候を的確に見抜くための第一印象の評価方法について学習会を実施。Z病棟:RRSが定着しないという病棟の問題点を踏まえ、急変事例に基づきRRSの必要性と起動のタイミングについて学習会を実施。2.教育効果の評価 1)RRS起動件数 教育活動を実施した病棟における実施前後6か月間の月別RRS起動件数では、実施前と比較し実施後で増加傾向がみられた(X病棟:2.7±1.1件/月→6.5±2.8件/月、Y病棟:1.7±1.7件/月→8.3±1.7件/月、Z病棟:1.3±1.2件/月→3.8±2.4件/月)。2)予定外のICU入室件数 教育活動を実施した病棟における実施前後6か月間の予定外のICU入室件数は、実施前と比較し実施後で減少傾向がみられた(X病棟:5件→2件、Y病棟:4件→3件、Z病棟:3件→1件)。
【考察】院内急変事例について当該病棟看護師長と共に発生要因を検証し、当該病棟における急変時対応の評価や問題点・課題の抽出を行った。それに応じて教育活動を行ったことで、患者の状態変化に対する早期発見の重要性を共有することができ、RRS起動件数増加に繋がったと考える。予定外のICU入室件数においても減少傾向がみられたが、対象病棟が少なく調査期間も短いため評価としては不十分であり、今後も教育効果の指標のひとつとして調査を継続していく必要がある。教育活動の実施時期に関しては、タイムリーに実施することができず、院内急変発生から期間が空いていた。そのため、より効果的な教育活動となるように迅速なフィードバックが行える工夫を検討していく必要がある。また、現在はクリティカルケア領域の認定看護師が教育活動を実施しているが、病棟主体で院内急変事例を振り返ることができるような支援の方法についても考えていきたい。