第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

トリアージ

[RTD13] RTD(CN)13群 トリアージ

Sat. Oct 5, 2019 10:30 AM - 11:50 AM RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:平山 幸枝(帝京大学医学部附属病院)

[RTD13-2] 当院における院内トリアージシステムの現状と今後の課題 -安全で質の高い救急外来を目指すための対策と支援-

関根 康人 (社会医療法人社団三思会 東名厚木病院救急外来)

1.はじめに
 当院は年間約5000台の救急車受入台数で、救急外来受診患者総数は約13000人に及ぶ二次救急医療機関である。土日祝日の救急外来は非常に混雑し、救急車受入もしているため医師による迅速な診療が提供出来ておらず、救急外来看護師においても患者個々の状態を把握出来ていない状況が多く見られていた。そこで、患者とファーストタッチする看護師が患者の状態を速やかに評価できるように、院内トリアージシステムを2018年9月から導入した。
 院内トリアージシステムは導入して今日で半年を迎えた。救急外来業務の一環として定着しつつあるが、救急外来看護師の一人ひとりに何らかの問題を抱えているのではないかと推察した。したがって、当院における院内トリアージシステムの現状と今後の課題を明らかにさせる。その上で、救急外来看護師が安全で質の高い院内トリアージを実践するためにはどのような対策や支援が必要なのかを救急看護認定看護師の視点から考察する。

2.方法
 救急外来に所属している看護師13名を対象とし、アンケートを配布して集計した。

3.倫理的配慮
 所属施設の倫理審査委員会の承諾を得た。

4.結果
 アンケートは救急外来看護師13名で全員から回答が得られた(有効回答率100%)。救急外来の経験年数ごとにカテゴリー化し、1~3年目(7人)、4~6年目(3人)、7年目以降(3人)で集計した。
 院内トリアージシステムを導入したことは成功だったかの問いに、「はい」が経験年数に関係なく100%であった。院内トリアージを実施する上で困ったり迷ったりするときはあるかの問いに、1~3年目は「はい」が100%、4~6年目は「はい」が66%、7年目以降は「はい」が66%であった。また、トリアージの際に困ったり迷ったりするときはどのような状況かの問いに、1~3年目は患者の訴えが多い場合どの症状でトリアージをして良いかわからない、4~6年目は第一印象において元気だが各基準で該当する項目がある場合の緊急度は高く評価すべきか判断に迷ってしまう、7年目以降は他の患者や家族がいる中での問診はプライバシーが守られていないのではないかという結果になった。自己のトリアージ判定は適正かの問いに、1~3年目は「はい」が0%、4~6年目は「はい」が33%、7年目以降は「はい」が33%であった。勤務後の振り返りは実施しているかの問いに、1~3年目は「はい」が29%、4~6年目は「はい」が33%、7年目以降は「はい」が0%であった。

5.考察
 今回、救急外来看護師にアンケートを実施したことで当院における院内トリアージシステムの現状と今後の課題が明らかになった。緊急度判定において、救急外来経験年数に関係なく判断に迷うと回答していることからは、個々のトリアージに関する知識不足と得られた情報から症例を展開していく臨床推論が十分に備わっていないことが推察される。したがって、実際あった症例を元に机上シミュレーションを実施していく必要がある。その際、個人だけが展開するのではなく、救急外来看護師全員が参加してディスカッション出来るように、救急看護認定看護師は意見の整理、統合、調整といったマネジメントをしていくことが重要であると考える。また、現在は救急看護認定看護師のみで事後検証をしているが、質の高い院内トリアージを提供するためには事後検証の細分化とサポートシステムの構築を図る院内トリアージチームを形成する必要があると考える。アンダートリアージ症例に関しては、生命の危機を招くことからも医師に医学的知見を提供して頂くことも質の高い救急外来看護に繋がると推察する。