[RTD2-3] 敗血症の早期認知 -qSOFAからはじまる-
1.【はじめに】
救急の敗血症患者の65%は高齢者という報告がある。症状の現れ方は非典型的で疾患が潜在化しやすく診断の遅れが生じやすい。敗血症の認知が遅れると、敗血症性ショックへ移行し死亡率が高くなる。救急診療を担当する看護師は早期に敗血症を認知し、医療チームとして治療的介入が行われるための調整を行う事が重要ある。今回、3事例の敗血症が疑われる患者に対して、qSOFAを使用し敗血症認知の有用性を考察した。バイタルサイン・問診・身体所見から敗血症性ショック、原因病態の認知について考察した結果報告する。
2.【目的】
敗血症の早期認知における、qSOFAスコアの有用性について明らかにする
3.【事例】
A氏:60歳男性、腹部の正中付近に痛みが出現し救急要請。
B氏:84歳男性、2日前に40度の発熱があり、自宅で療養していた。倦怠感が強く症状悪化するため救急外来を受診した。
C氏:75歳女性、数日前より、嘔気症状と腹痛、発熱、自宅で動けなくなっているところを発見され、救急要請。
4.【結果および考察】
4-1.qSOFAの認知
A氏、B氏ともにqSOFAは2項目以上であり、敗血症が疑われた。Sey-Mourらの研究ではICU外患者においてqSOFAの2項目が該当となると、院内死亡率は1項目以下と比べると3~14倍の院内死亡率があると言われている。C氏は初療室入室時のqSOFA1点であったが、1時間後の臓器障害スコアではSOFA3点であった。また、qSOFAは2点と変化していた。Williamsらの研究ではqSOFAは臓器障害に対する感度29.7%と低い結果がでている。これは重症化する症例を見逃す可能性があり、qSOFA1点以下だからといって敗血症すべてを否定できないことがいえる。qSOFAは治療や状態に応じて値が短時間で変化していくことを考慮し評価していく必要がある。
4-2.敗血症性ショックの認知
B氏はqSOFA3項目が該当し、MAP65mmhg未満・末梢冷感がありショック徴候があった。敗血症が進行すると血管内皮細胞障害が進行に伴い血管拡張物質産生は低下し、血管収縮作用による末梢血管の収縮からコールドショックへ移行し重症度が高くなる。頻呼吸は、代謝性アシドーシスの代償によるものもあり、重篤な敗血症の指標になる。B氏の身体所見やバイタルサインは敗血症性ショックを総合的にアセスメントするための指標になる。
4-3.敗血症の原因病態の認知
今回3症例すべてにおいて自宅や初療室で寒気や悪寒、悪寒戦慄などの症状が出現している。悪寒の程度と菌血症には相関があるといわれおり、感染症を疑う患者には問診時に悪寒の程度の確認が必要であると考える。しかし、問診だけでは原因病態の認知はできないため、症状より腹膜炎、急性胆嚢炎、尿路感染を想定し、身体所見をとった。A氏、B氏では背部叩打痛陽性であり腎盂腎炎、尿路感染症が疑われた。C氏に関しては、マーフィー徴候と右上腹部痛の所見があり急性胆嚢炎が疑われた。このことより、問診だけでなく身体所見をとる事は敗血症の原因病態の早期認知につながるため、治療的介入において有用であると考える。
【結論】
1 qSOFA2点以上は臓器障害を満たしている患者が陽性になる可能性が高い。qSOFA1点だからといって敗血症を否定できない。
2 身体所見やバイタルサインは、敗血症性ショックを総合的にアセスメントするための指標となる。
3 敗血症の早期認知のためには、問診・身体診察を行いリスクが高い病態への原因検索が必要である。
救急の敗血症患者の65%は高齢者という報告がある。症状の現れ方は非典型的で疾患が潜在化しやすく診断の遅れが生じやすい。敗血症の認知が遅れると、敗血症性ショックへ移行し死亡率が高くなる。救急診療を担当する看護師は早期に敗血症を認知し、医療チームとして治療的介入が行われるための調整を行う事が重要ある。今回、3事例の敗血症が疑われる患者に対して、qSOFAを使用し敗血症認知の有用性を考察した。バイタルサイン・問診・身体所見から敗血症性ショック、原因病態の認知について考察した結果報告する。
2.【目的】
敗血症の早期認知における、qSOFAスコアの有用性について明らかにする
3.【事例】
A氏:60歳男性、腹部の正中付近に痛みが出現し救急要請。
B氏:84歳男性、2日前に40度の発熱があり、自宅で療養していた。倦怠感が強く症状悪化するため救急外来を受診した。
C氏:75歳女性、数日前より、嘔気症状と腹痛、発熱、自宅で動けなくなっているところを発見され、救急要請。
4.【結果および考察】
4-1.qSOFAの認知
A氏、B氏ともにqSOFAは2項目以上であり、敗血症が疑われた。Sey-Mourらの研究ではICU外患者においてqSOFAの2項目が該当となると、院内死亡率は1項目以下と比べると3~14倍の院内死亡率があると言われている。C氏は初療室入室時のqSOFA1点であったが、1時間後の臓器障害スコアではSOFA3点であった。また、qSOFAは2点と変化していた。Williamsらの研究ではqSOFAは臓器障害に対する感度29.7%と低い結果がでている。これは重症化する症例を見逃す可能性があり、qSOFA1点以下だからといって敗血症すべてを否定できないことがいえる。qSOFAは治療や状態に応じて値が短時間で変化していくことを考慮し評価していく必要がある。
4-2.敗血症性ショックの認知
B氏はqSOFA3項目が該当し、MAP65mmhg未満・末梢冷感がありショック徴候があった。敗血症が進行すると血管内皮細胞障害が進行に伴い血管拡張物質産生は低下し、血管収縮作用による末梢血管の収縮からコールドショックへ移行し重症度が高くなる。頻呼吸は、代謝性アシドーシスの代償によるものもあり、重篤な敗血症の指標になる。B氏の身体所見やバイタルサインは敗血症性ショックを総合的にアセスメントするための指標になる。
4-3.敗血症の原因病態の認知
今回3症例すべてにおいて自宅や初療室で寒気や悪寒、悪寒戦慄などの症状が出現している。悪寒の程度と菌血症には相関があるといわれおり、感染症を疑う患者には問診時に悪寒の程度の確認が必要であると考える。しかし、問診だけでは原因病態の認知はできないため、症状より腹膜炎、急性胆嚢炎、尿路感染を想定し、身体所見をとった。A氏、B氏では背部叩打痛陽性であり腎盂腎炎、尿路感染症が疑われた。C氏に関しては、マーフィー徴候と右上腹部痛の所見があり急性胆嚢炎が疑われた。このことより、問診だけでなく身体所見をとる事は敗血症の原因病態の早期認知につながるため、治療的介入において有用であると考える。
【結論】
1 qSOFA2点以上は臓器障害を満たしている患者が陽性になる可能性が高い。qSOFA1点だからといって敗血症を否定できない。
2 身体所見やバイタルサインは、敗血症性ショックを総合的にアセスメントするための指標となる。
3 敗血症の早期認知のためには、問診・身体診察を行いリスクが高い病態への原因検索が必要である。