[RTD3-4] 発熱を呈し来院した乳児に対する院内トリアージ
【はじめに】救急外来を受診する小児患者の最も多い症候は発熱であり、稀に致死的な疾患が隠れている。発熱に伴う潜在的リスクが後々小児患者を重篤化させることもある。トリアージ看護師がこれらを的確に評価し、早期の医療介入に繋げることにより小児患者の生命予後や機能予後の改善を図ることができると考える。
【目的】発熱を呈し来院した乳児患者に対する院内トリアージについて検討する。
【対象および方法】発熱を呈し来院した生後5ヶ月の男児(以下、児)に対する院内トリアージの結果から、意図的な問診やフィジカルアセスメントについて、文献的考察を加えて検討する。
【倫理的配慮】個人情報の保護に充分配慮し、データ管理はロック付USBを使用した。
【結果】児を観察した結果、発熱による不感蒸泄量の上昇に伴う脱水の潜在性を認めた。さらに乳幼児の発熱における一般的な疾患と致死的な疾患を考慮し、問診やフィジカルアセスメントを行い、致死的な疾患を積極的に疑うような所見は認めなかった。児は、何らかの一般的な感染性疾患、もしくは前日に受けていた予防接種後の副反応を呈している可能性が考えられた。以上のアセスメントから、児の緊急度をJTAS 3と判断した。
【考察】McCarthyらが開発した急性疾患観察尺度(最良6点、最悪30点)は発熱児における重篤な疾患を特定する際に信頼性が高く、有効とされる。尺度のスコアが10点以上の発熱児に対して、菌血症を予測するための感度は87.9%、特異度は83.8%、陽性尤度比は5.4であったと報告される。児に当てはめるとスコアは最良の6点となり、第一印象から高い確率で菌血症を除外することができる。一見、明らかな重症感のない発熱児も、急性疾患観察尺度の中等度障害項目を2つ以上有することにより菌血症の可能性が高まり、緊急度を上げた早期の対応が必要である。
小児は相対的に不感蒸泄量が多く、体温が1℃上がるごとに10~15%増えるとされる。Steinerらは小児における5%超の脱水を予測する徴候として、「CRT遷延」は感度65%、特異度85%、陽性尤度比4.1、「ツルゴール低下」は58%、76%、2.5、「呼吸異常」は43%、79%、2.0であり、脱水を鑑別する所見として有用であったと報告している。児には、これらの徴候は認められず脱水の顕在化は否定的であった。脱水の3 徴候を統合した評価と共に、体液喪失についての病歴聴取が適切な緊急度判定に有用であると考える。同じ症候であっても予測される疾患や病態に応じて緊急度は変化するため、トリアージ看護師は、患者の健康問題について大まかな仮説を立てる。しかし小児が示す症候は特定の疾患との結びつきが弱く、乳児においては疾患に特徴的な症候が見られないこともある。Vanらは、臨床的には軽症に見える小児患者に対して、医師が深刻な疾患を診断するにあたり、「何かよくない」という第六感が感度61.9%、特異度97.2%の確率で有用であり、両親の「いつもと何かが違う」という発言がその第六感に寄与していたと報告している。保護者が感じる小児患者の違和感は、緊急性の高い疾患の想起に繋がる重要な情報であると考える。
Crocettiらの報告によると、保護者の56%は発熱が子どもに与える潜在的リスクについて心配し、94%は発熱が何らかの有害な影響を引き起こす可能性があると考えていた。トリアージ看護師は、保護者との関係構築に努め、待機時や帰宅後の注意点や対応を指導することにより、長期的視点に立った健全育成への支援に繋げることができるのではないか考える。
【目的】発熱を呈し来院した乳児患者に対する院内トリアージについて検討する。
【対象および方法】発熱を呈し来院した生後5ヶ月の男児(以下、児)に対する院内トリアージの結果から、意図的な問診やフィジカルアセスメントについて、文献的考察を加えて検討する。
【倫理的配慮】個人情報の保護に充分配慮し、データ管理はロック付USBを使用した。
【結果】児を観察した結果、発熱による不感蒸泄量の上昇に伴う脱水の潜在性を認めた。さらに乳幼児の発熱における一般的な疾患と致死的な疾患を考慮し、問診やフィジカルアセスメントを行い、致死的な疾患を積極的に疑うような所見は認めなかった。児は、何らかの一般的な感染性疾患、もしくは前日に受けていた予防接種後の副反応を呈している可能性が考えられた。以上のアセスメントから、児の緊急度をJTAS 3と判断した。
【考察】McCarthyらが開発した急性疾患観察尺度(最良6点、最悪30点)は発熱児における重篤な疾患を特定する際に信頼性が高く、有効とされる。尺度のスコアが10点以上の発熱児に対して、菌血症を予測するための感度は87.9%、特異度は83.8%、陽性尤度比は5.4であったと報告される。児に当てはめるとスコアは最良の6点となり、第一印象から高い確率で菌血症を除外することができる。一見、明らかな重症感のない発熱児も、急性疾患観察尺度の中等度障害項目を2つ以上有することにより菌血症の可能性が高まり、緊急度を上げた早期の対応が必要である。
小児は相対的に不感蒸泄量が多く、体温が1℃上がるごとに10~15%増えるとされる。Steinerらは小児における5%超の脱水を予測する徴候として、「CRT遷延」は感度65%、特異度85%、陽性尤度比4.1、「ツルゴール低下」は58%、76%、2.5、「呼吸異常」は43%、79%、2.0であり、脱水を鑑別する所見として有用であったと報告している。児には、これらの徴候は認められず脱水の顕在化は否定的であった。脱水の3 徴候を統合した評価と共に、体液喪失についての病歴聴取が適切な緊急度判定に有用であると考える。同じ症候であっても予測される疾患や病態に応じて緊急度は変化するため、トリアージ看護師は、患者の健康問題について大まかな仮説を立てる。しかし小児が示す症候は特定の疾患との結びつきが弱く、乳児においては疾患に特徴的な症候が見られないこともある。Vanらは、臨床的には軽症に見える小児患者に対して、医師が深刻な疾患を診断するにあたり、「何かよくない」という第六感が感度61.9%、特異度97.2%の確率で有用であり、両親の「いつもと何かが違う」という発言がその第六感に寄与していたと報告している。保護者が感じる小児患者の違和感は、緊急性の高い疾患の想起に繋がる重要な情報であると考える。
Crocettiらの報告によると、保護者の56%は発熱が子どもに与える潜在的リスクについて心配し、94%は発熱が何らかの有害な影響を引き起こす可能性があると考えていた。トリアージ看護師は、保護者との関係構築に努め、待機時や帰宅後の注意点や対応を指導することにより、長期的視点に立った健全育成への支援に繋げることができるのではないか考える。