[RTD4-1] 院内で発生したCPA症例の事後検証を通して明らかになった今後の課題
【はじめに】
当院は病床数1032床、20階建てを含む棟が4棟存在し、院内急変コール発報から院内急変対応チームが到着するまで5分以上時間を要する場合がある。そのため、院内急変時には近隣の医師、看護師が対応できるよう院内急変コールを発報するシステムを構築してきた。2018年度の院内急変コールは全59件あり、内訳は入院患者30件、外来患者29件となっている。今回救急外来とは別棟にあるタクシー乗り場でのCPA症例の事後検証を行い、課題を明確にした。
【目的】
院内急変発生時の的確な初期対応と看護師としての役割を見直し課題を明らかにする
【方法】
2018年度に発生した院内でのCPA症例のうち1事例を事後検証した
【倫理的配慮】
本事例は当院倫理員会の承認を得てまとめたものである
【事例内容】
40代女性、多系統萎縮症。定期受診の為、車内の後部座席に車椅子が設置された自家用車で来院。到着時、夫が患者の意識がない事に気付き、タクシー案内係員に助けを求め、院内急変コール対応患者となった。この事例より、以下の3つの問題点が明らかとなった。1つ目の問題点として、狭い車内からの救出が上手く行えず救出に時間を要したこと。2つ目の問題点として、院内急変コールによって招集されたメンバー内で役割を明確に出来ず、情報が一連化されなかったこと。さらに、3つ目の問題点として、院内急変対応にかけつけた看護師が初期対応時から家族の急変を目撃している夫に対し、不安や恐怖、動揺している夫への精神的ケアが行われていなかった事が挙げられる。これらの問題点に対して今後の課題を抽出した。
【考察】
初期対応をした看護師は、直ちにCPRが必要であると判断したが、狭い車内からの救出が上手く行えず、CPR開始までに時間を要したと考える。狭い所からの救助方法の知識と技術の訓練を受けていれば、より迅速にCPRを開始することができ、蘇生率が上がった可能性がある。今後、初期対応研修や救助困難な場面を想定したシミュレーション研修を行う事が必要である。また、院内急変対応チームが集まった際、リーダー不在で役割分担がされていなかったため、初期対応をした看護師と院内急変対応チームとの間で正しい情報が共有されなかった。そのため、院内急変コールによって、その場に集まった不特定で構成されたチームメンバーで、瞬時に役割を明確にし、初期対応した者が正確に情報を一連化できるよう、救急外来のスタッフがリーダーシップを発揮し指揮・情報集約を行う必要があると考える。また、院内急変コールに対応する看護師がリーダーシップを発揮するために院内急変に対応するための教育プログラムの構築が必要であると考える。初期対応時から家族の急変を目撃している夫に対して精神的ケアが見過ごされていた。夫は患者が急変したことにより精神的に状況的危機に陥ったと考えられる。院内急変対応看護師として患者の救命のみならず、家族の心理状態をアセスメントし感情の整理ができるよう、医師・看護師と話せる時間を設ける必要があった。また、急変時に家族の精神的フォローができるよう、院内急変対応チームのなかで定期的な家族看護に関するカンファレンスを実施していく。
【結語】
今回の症例を通し明らかになった課題に対し、院内の全職員がいかなる場所でも救命処置が必要となった場合に、迅速な初期対応や家族対応ができるよう、救急外来のスタッフが中心となり教育活動を通して院内全体の初期対応スキル向上を目指していく。また、院内急変コール対応看護師は、急変時にチームが円滑に活動出来るようリーダーシップを発揮する必要がある。
当院は病床数1032床、20階建てを含む棟が4棟存在し、院内急変コール発報から院内急変対応チームが到着するまで5分以上時間を要する場合がある。そのため、院内急変時には近隣の医師、看護師が対応できるよう院内急変コールを発報するシステムを構築してきた。2018年度の院内急変コールは全59件あり、内訳は入院患者30件、外来患者29件となっている。今回救急外来とは別棟にあるタクシー乗り場でのCPA症例の事後検証を行い、課題を明確にした。
【目的】
院内急変発生時の的確な初期対応と看護師としての役割を見直し課題を明らかにする
【方法】
2018年度に発生した院内でのCPA症例のうち1事例を事後検証した
【倫理的配慮】
本事例は当院倫理員会の承認を得てまとめたものである
【事例内容】
40代女性、多系統萎縮症。定期受診の為、車内の後部座席に車椅子が設置された自家用車で来院。到着時、夫が患者の意識がない事に気付き、タクシー案内係員に助けを求め、院内急変コール対応患者となった。この事例より、以下の3つの問題点が明らかとなった。1つ目の問題点として、狭い車内からの救出が上手く行えず救出に時間を要したこと。2つ目の問題点として、院内急変コールによって招集されたメンバー内で役割を明確に出来ず、情報が一連化されなかったこと。さらに、3つ目の問題点として、院内急変対応にかけつけた看護師が初期対応時から家族の急変を目撃している夫に対し、不安や恐怖、動揺している夫への精神的ケアが行われていなかった事が挙げられる。これらの問題点に対して今後の課題を抽出した。
【考察】
初期対応をした看護師は、直ちにCPRが必要であると判断したが、狭い車内からの救出が上手く行えず、CPR開始までに時間を要したと考える。狭い所からの救助方法の知識と技術の訓練を受けていれば、より迅速にCPRを開始することができ、蘇生率が上がった可能性がある。今後、初期対応研修や救助困難な場面を想定したシミュレーション研修を行う事が必要である。また、院内急変対応チームが集まった際、リーダー不在で役割分担がされていなかったため、初期対応をした看護師と院内急変対応チームとの間で正しい情報が共有されなかった。そのため、院内急変コールによって、その場に集まった不特定で構成されたチームメンバーで、瞬時に役割を明確にし、初期対応した者が正確に情報を一連化できるよう、救急外来のスタッフがリーダーシップを発揮し指揮・情報集約を行う必要があると考える。また、院内急変コールに対応する看護師がリーダーシップを発揮するために院内急変に対応するための教育プログラムの構築が必要であると考える。初期対応時から家族の急変を目撃している夫に対して精神的ケアが見過ごされていた。夫は患者が急変したことにより精神的に状況的危機に陥ったと考えられる。院内急変対応看護師として患者の救命のみならず、家族の心理状態をアセスメントし感情の整理ができるよう、医師・看護師と話せる時間を設ける必要があった。また、急変時に家族の精神的フォローができるよう、院内急変対応チームのなかで定期的な家族看護に関するカンファレンスを実施していく。
【結語】
今回の症例を通し明らかになった課題に対し、院内の全職員がいかなる場所でも救命処置が必要となった場合に、迅速な初期対応や家族対応ができるよう、救急外来のスタッフが中心となり教育活動を通して院内全体の初期対応スキル向上を目指していく。また、院内急変コール対応看護師は、急変時にチームが円滑に活動出来るようリーダーシップを発揮する必要がある。