第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

その他

[RTD4] RTD4群 その他①

2019年10月4日(金) 16:20 〜 17:20 RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:寺師 榮(東洋医療専門学校 救急救命士学科)

[RTD4-5] ドクターカー同乗看護師が抱く不安に対する取り組みと今後の課題

大宜見 宗史, 篠原 花織, 兼本 愛美, 内間 幸人 (社会医療法人かりゆし会 ハートライフ病院)

【はじめに】A病院は2017年4月より救急車型ドクターカーを導入し運用を開始した。同月にドクターカー同乗看護師にアンケートを実施した結果、71%が同乗することへの不安があり、要素として「1、知識・技術面」「2、物品・資器材の把握」「3、情報周知の不足」が抽出された。不安軽減を目的に介入を行い、再度不安の程度を比較したが、不安を抱く看護師は86%と軽減が見られなかった。そのためさらに不安軽減へ、シミュレーションや現場出動後のデブリーフィング、周知方法を専用のノートを作成し活用するなど、介入を行った効果を報告する。【目的】ドクターカー同乗看護師に対し、技術面と物品管理及び情報周知不足についての不安軽減への介入を行い、不安が軽減することを目的として取り組んだ。【方法】期間:2017年4月~2019年4月 対象:A病院のドクターカー同乗基準を満たす看護師7名 方法:1、知識・技術面に対し病院前救護活動の動画視聴、外傷シミュレーションの実施、現場出動後の動画を活用したデブリーフィング、ドクターカー業務基準ファイルの作成。2、物品・資器材の把握に対し物品の整備、日々のチェックを実施。3、情報周知の不足に対してドクターカー専用のノートを作成し活用。追加介入後、不安の程度を比較するためアンケートを実施。【倫理的配慮】倫理的配慮については、A病院の倫理審査委員会の承諾を得た。【結果】2017年にドクターカー導入時は、71%の看護師が同乗することへの不安を感じていたが、不安に対し介入した後も、86%の看護師が同乗することへの不安を「強くそう思う」「そう思う」と回答していた。不安の要素として、「1、知識・技術面」「2、物品・資器材の把握」「3、情報周知の不足」が抽出されたため、さらに病院前救護活動の動画視聴、外傷シミュレーションの実施、現場出動後の動画を活用したデブリーフィング、ドクターカー業務基準ファイルの作成を行い不安の軽減に取り組んだ。その結果、2019年4月には、不安を「強くそう思う」「そう思う」と回答した人が57%まで減少した。不安の要素は、「1、知識・技術面」のみとなり、「2、物品・資器材の把握」「3、情報周知の不足」の不安を回答した人はいなかった。【考察】今回、ドクターカー同乗への不安に対する介入で「強くそう思う」「そう思う」と答えたスタッフが86%から57%まで減少した。その背景には「1、知識・技術面」に対し、病院前救護活動の動画視聴やシミュレーションを実施することで、現場に近い活動内容を学ぶことができ、不安の軽減につながったと考える。出動事例を動画で視聴しデブリーフィングをすることは、自己の活動内容を見直してチームでの役割分担が再確認でき、次の出動への自信につなげられたと考える。「2、物品・資器材の把握」に対しては、日々車内の資器材と物品のチェックを繰り返し実施することが物品の把握につながった。「3、情報周知の不足」に対しては、ドクターカー専用のノートを作成し、新しい情報や共有したい内容をノートに記載し、周知を図ったことで統一した方法で情報の周知につながった。しかし、まだ知識・技術面に対し不安を抱える看護師は多く、さらに病院前の現場経験を重ねることが必要である。また、今回行ったシミュレーションに対し、「技術向上につながる」「定期的にシミュレーションを行ってほしい」などの意見が多く聞かれたため、今後はシミュレーションのバリエーションを増やし、より現場に近い内容で実施することを積極的に行っていきたい。また今後は、新しく同乗する看護師への育成も課題である。