第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

チーム医療

[RTD8] RTD(CN)8群 チーム医療

Sat. Oct 5, 2019 9:00 AM - 10:20 AM RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:徳山 博美(関西医科大学附属病院)

[RTD8-1] リハビリテーション標準看護計画とリハビリテーション評価表を導入して

竹内 史江 (獨協医科大学埼玉医療センター)

ICUにおいて、早期からのearly mobilizationはせん妄の発症や期間の減少、日常生活活動の早期獲得、入院期間の短縮に有効である。ICU入室患者は多数の医療機器の装着があるため、安全にリハビリテーションを行う必要がある。他職種連携しチームでリハビリテーションを取り組むことが求められ、各職種においても効果的に行うためにはリハビリテーションに対して評価の視点は必要である。当施設はICU専属の理学療法士の配置により専門的な視点から効果的なリハビリテーションの介入が行われている。しかし、リハビリテーションを理学療法士に委ねてしまい、看護師のリハビリテーションに対しての視点が低く、理学療法士不在の際に効果的なリハビリテーションの介入、継続したリハビリテーションの介入が行えないことが問題点であった。

目的:目標に沿ってリハビリテーション毎日実施・評価することで、継続的にリハビリテーションを実施することを目的とし
   て介入した。

方法:ICU入室患者全員にリハビリテーションの標準看護計画を立案とし、リハビリテーション評価表を導入した。導入の際
   には、導入の目的とリハビリテーション評価表の活用方法をスタッフへ伝達し承諾を得た。私自ら積極的に他職種チー
   ムでリハビリテーションを実践し、リハビリテーションの重要性を浸透できるよう意図的に介入した。定期的にリハビ
   リテーションの目標に対する達成度と計画立案率を算出しスタッフに提示した。

結果:ICU入室患者の94%が標準看護計画を立案し、毎日リハビリテーションの評価をしていた。リハビリテーション評価表
   を毎日記載することにより、リハビリテーションの達成度が見える化し、スタッフ全員がリハビリテーション進行状況
   を把握できるようになった。リハビリテーション評価表に沿って目標の内容を実施し86%がリハビリテーション目標を
   達成することができた。リハビリテーションの標準看護計画を導入したことに対してのアンケート調査を実施したとこ
   ろ、89%のスタッフが継続すべきであると回答した。理由としては、看護計画立案や評価表を導入することでリハビリ
   テーションの視点から患者をアセスメントする習慣ができた、リハビリテーションの重要性を理解できた等の前向きな
   回答が得られた。以前はリハビリテーションを理学療法士に委ねてしまう傾向であったが、協力してリハビリテーショ
   ンに取り組めるようになった。休日等の理学療法士が不在な際でも、リハビリテーション評価表をもとに看護師側で目
   標を検討し、実施することで継続的にリハビリテーションを行えるようになった。

考察:リハビリテーションの標準看護計画や評価表の導入により、看護師のリハビリテーションに対する意識の向上に繋がっ
   た。自ら積極的なリハビリテーションを実施することも意識の向上の一因となったと考える。今回はリハビリテーショ
   ン実施時の看護師の観察の視点の評価はできていない。ICU入室患者にリハビリテーションを実施する際には、呼吸・
   循環動態の変化の観察や、開始基準や中止基準を把握して安全に効果的に実施することが必要である。今後は看護師の
   リハビリテーションにおける評価の質の向上を目指し、リハビリテーション評価表の修正等を行っていくことが必要で
   ある。今回は、看護師視点での実践であったが、患者視点のアウトカムも関与していると考えられる。せん妄評価や
   ADL評価等も必要である。今後は看護師のリハビリテーションに対する質の向上を目指し、患者のアウトカム評価を行
   うことが今後の課題である。